第26話 空気が読めない駄目神様



「ん…ここは…」


俺は目を開けるとそこは見慣れた薄暗い空間があり、そして目の前にはまた来たのかと

言いたそうなエリス様がいた。

そして俺は今の状況を理解し死ぬ前の事を思い出す、そいえば確か突然後頭部からもの凄い振動がやってきてそれで…


「カズマさんあなたは何度ここに来れば気が済むのですか…」


「ははは…すんませんまた来ちゃいました…」


「またじゃないですよ全く…」


「そ、それでエリス様あの後皆んなはどうなりました?無事ですかね?」


「ええ皆さん無事ですよ、カズマさんが死んだ後すぐにダクネスが動き

ゆんゆんさん達を守る為デコイを使い注意を引いてると

一体今まで何処にいたのかアクア先輩が突然出てきてそのままゴーレムを倒しちゃいましたね

今アクア先輩がカズマさんの体に蘇生魔法をかけてる所です」


なるほど、というかダクネス防具着けてないのにデコイ使ったのか…確かにあいつの硬さは随一だが、流石に防具無しじゃ危険なのに

まぁどうせ何時もの変態行為の為にしたんだろうけど。


「ただ…ゆんゆんさん達にとってはちょっと精神的にきつかったかもしれませんね」


「えっそうなんですか?」


「はい、さっきまで自分の胸を揉んでいた人の首が突然無くなって血が噴き出す所を見てしまい少しの間ゆんゆんさんとめぐみんさんは放心状態に…

今は2人とも正気に戻ったみたいですが…」


「まだ何かあるんですか?」


「それは戻って確かめた方が早いと思いますよ」


「は、はぁ?」


戻ってから?何だろう凄く気になるんだけど、アクア早く生き返らせてくれんかな。


「カズマさんその…一つ質問して良いでしょうか?」


エリス様が顔を少し赤くしながらそしてどことなく恥ずかしそうにしながらそう言ってきた。

おっ?なんだこの恥ずかしそうにするエリス様は。

はっ!もしや今度こそ告白か!?


「ふっなんですかエリス様水臭いですよ別に遠慮しなくても俺で良ければ何でも答えますよ」


「それじゃ遠慮なく…その…めぐみんさんとはどこまで進んでるんでしょうか?」


「え?」


「そのこの前下界に降りていた時にたまたまアクセルで2人を見かけたんですが、とても良い雰囲気…というかもはや恋人同士みたいな感じでして…もしかしてもうあんな事やこんな事までしたのかと思いまして…モジモジ」


「いやいやいや!ちょっと待ってくださいエリス様!!今なんと!?」


えっ何いつ見られてたの!?というかあんな事やこんな事ってなに!?


「んとその…エ、エッチな事は既にしたのかなと思いまして!!」


「はぁぁぁぁ!?」


「だって普段あんなめぐみんさん見た事ないしもしやもうそういった行為を済ませたのかなと!!

それに最近めぐみんさんとはいい感じだとおっしゃってましたし!!

でっどうなんですか!したんですか!?してないんですか!?ちょっとその辺を詳しく!」


「お、落ち着いてくださいエリス様!俺とめぐみんはまだそういう関係ではありませんし!

別にそれ以降進展とかは…あっ」


「あったんですね!その反応見るにあったんですね!!」


「い、いやまぁあったといえばあったというかなんというか…」


確かにあったがあれを告白と捉えて良いものなのか…恋人未満の関係になるとかならないとか…

やば思い出してきたら恥ずかしくなってきた。


「ひゃーーーー!なんですかこの初々しい反応!というかカズマさん絶対めぐみんさんの事好きなんでしょう!?」


「ななななな何を言うんですかエリス様!!お、俺は別にめぐみんの事なんか…」


「いや!絶対好きに決まってます!今のカズマさんを見てたら分かりますよ!それに今顔真っ赤になってますし!」


「っ…///」


だ、駄目だ恥ずかし過ぎて頭が回らん…

というかエリス様、段々興奮してきてるし…これ以上質問されると…アクア様早く!早く俺を生き返らせて!!


『カーズマー!!首繋げてリザレクションかけたから!戻ってきて良いわよー!というかめぐみんがまた大変な事になってるから早く戻って欲しいんですけどー!!』


「わ、わかった!!すぐいく!そそそれじゃエリス様どうやら時間が来たみたいなんで俺はこれで…」


「あっ!カズマさんずるいです!!」


「ずるくないですよ!エリス様早く何時もの指パッチンを!!じゃないと俺のスティールが炸裂しますよ!!」


「ぐぬぬぬ…カズマさん後で覚えておいてくださいよ…パチン!!」


エリス様が悔しそうに何時もの指パッチンをすると足元に魔法陣が浮かび上がり俺の体は徐々に浮き上がっていく。


「そ、それじゃエリス様また!!」


「きぃー!!カズマさんもう二度とここにきませんよーにー!!」


悔しそうに俺を見るエリス様を後にし俺の意識は薄くなっていく。

さぁ皆んな今行くぞーー!



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「カズ…!…ズマ!早…目を覚まし…!」


意識がまだぼんやりしていて、よく聞き取れないが誰かが俺を呼んでる気がする。

声的にめぐみんだろうか?というかお腹辺りが重く感じる。

まるで何か乗っかってるような…

とりあえず目を開けて確認してみるか。


「うぅ…うるさいぞさっきから…」


「!カズマ…!」


目を開けて確認するとそこには俺の腹の上でまたがり服とマントが血塗れになって目を紅く光らせためぐみんがいた。

えっ何これ何でめぐみんが血塗れに?もしかしてこれ俺の返り血でも浴びたのか?


「カズマ!本当にカズマなのですね!?」


「あ、あぁカズマだよ?というかめぐみん何でお前そんな血塗れにな」


「カズマぁぁぁ!!」


「!?」


何がどうしたのか俺の腹の上にまたがっていためぐみんは今度は抱きついてきた。

普通女の子に抱きつかれるのは嬉しい事だしドキドキするもんなんだが…

その抱きつかれてる相手が血塗れのせいか嬉しくもないしドキドキもしない。

むしろ恐怖感が湧き出てくるんですが!

というか抱きつく力が強過ぎて脇腹が痛い!


「良かった…本当に良かったぁ!ギュュュ」


「め、めぐみん脇腹が…!脇腹が…!折れる…!!」


「はっ!す、すみません!」


「ふぅ、また死ぬかと思った…」


「ごめんなさい…カズマが生き返ったのがあまりにも嬉しくて…力入れすぎちゃいました…」


「そ、そうか…」


めぐみんの発言があまりにも直球過ぎてつい俺は顔を逸らしてしまう。


「ねぇせっかくこの私が生き返らせたのに何だか忘れられてる気がするんですけど」


「あっなんだアクアいたのか悪い気づかなかった」


「いたわよ!!私がいなきゃ生き返られないでしょうが!!」


「そう言われればそうか、すまん」


「むきぃぃぃー!!!」


「まぁまぁアクアそう怒るな」


「そうですよ、せっかく良い雰囲気なのに」


いつの間にかいたアクアの側には傷だらけになったダクネスと血塗れになったゆんゆんがいた。


「2人とも無事だったか、悪いな色々と。」


「わ、私はただダクネスさんに守られてばっかで…すみません」


「ゆんゆん良いんだ目の前であんな死にかたされたら誰だってそうなるし、それに2人を守るのはクルセイダーである私の役目だ」


「ダクネスさん…!」


「なんかかっこよく言ってるけどダクネスは普段全く活躍しないしな、こういう時くらいはしっかり目立っとかないとそのうち忘れられるしな。」


「カズマ!?」


ダクネスは俺が言った事に驚く。

そんなに驚く事なのだろうか、本当のことなのに。


「まぁそれよりめぐみんとゆんゆんが血塗れなのは俺の側にいたせいなんだな、悪いな服汚しちまって」


「…」


「どうしたゆんゆん?」


「す、すみません…思い出したら吐き気が…うっぷ…ちょっと吐いてきます…」


「そ、そうか…なんかすまん…」


ゆんゆんはそう言って近くの草むらに隠れるとすぐにとんでもない音が聞こえ始める。

どうやらゆんゆんにとって相当ショッキングだったらしい。

こりゃしばらくトラウマになるな…。


「ダクネスは大丈夫か?吐きそうならお前も行ってきて良いんだぞ?」


「確かに今回はやばかったが普段からお前が死んでる所を見てるおかげか私は大丈夫みたいだ。」


「そ、そうか」


「ねぇさっきから私だけ置いてきぼりなんですけど、寂しいんですけどー」


「悪いまた忘れてたわ」


「ちょっとカズマ!またって何よ!どんだけ忘れられるのよ私は!!」


「まぁまぁそう怒るなアクア」


「なによダクネスはカズマの味方でもする気!?」


「べ、別にそういう訳では…」


なんか勝手にもめ始める2人。


「やれやれ…というかめぐみん大丈夫か?さっきから静かだけど?」


「…」


声をかけても反応しないめぐみん、どうしたのだろうか?もう一度声をかけてみるか


「おーいめぐみん?大丈夫かー?」


「…」


また声をかけたり体を揺さぶってみたりするが反応なし。

一体どうしたんだ?さっきまであんなに嬉しそうに俺に抱きついてきてたのに。

それにアクア達はまだ変な言い合いしてるし…


「めぐみん大丈夫か?アクアに魔法かけてもらうか?」


「ねぇカズマさんめぐみんを大事そうに抱えてに必死に声かけてる所悪いんだけど」


「なんだよ寂しがり屋話し合いは終わったのか?」


「寂しがり屋じゃないわよ!!いい加減にしないとゴットブローかますわよ!」


「悪い悪い、それで何だめぐみんがどうしたんだ?」


「たくもう、めぐみんの事だけど今気絶してるわよ」


「は?いつ?」


「いつってあんたがゆんゆんに何で血塗れになったのかって話してた時かしら?」


「ええぇ…」


どうやらめぐみんも相当ショッキングな事だったみたいだ、まぁ首吹っ飛んで血が吹きだす所みたらそりゃ吐いたり気絶くらいするわな。


「す、すみません…戻りました…」


「ゆんゆんまだ顔色悪いが大丈夫か?」


「は、はい…大丈夫ですよ…この通り…プルプル」


大丈夫と言い張るゆんゆんだがよくみるとプルプルと体が震えている。


「んじゃゆんゆんも吐き終わってスッキリしたみたいだしさっさと帰りましょ、あたし早くお酒飲みたいの」


「お前よくこの状況みてそんな事言えるな」


「だって本当に飲みたいもん」


なんでこいつはこういう時に限って空気読めないんだろうか…。


「あはは…まぁアクアさんの言う通りいつまでもここにいるのもあれですし里に戻りましょう」


ゆんゆんも顔色を悪くしながらもそう言ってきた、確かにいつまでもこんな所に居ては危険だし仕方がない。


「そうだな、ゆんゆんもまだ顔色悪いし帰るとするか」


「さぁ早く帰ってぱぁーっと飲むわよー!」


1人はしゃぐ駄目神、よしとりあえず家に帰ったらこいつが持ってきた酒奪って飲むとしよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る