第25話 喧嘩は程々に


「カズマぁ〜まだ着かないのですか?まだならここら辺に撃って良いですか?」


「駄目に決まってんだろ、あと半分くらいだから我慢してろよ」


里から出て10分ほど経っただろうか、草木が生い茂り多少整備されたであろう道を歩き今俺達4人は昨日ゆんゆんに案内された平原へと向かっていた。


「めぐみんあんまりカズマさんを困らせちゃ駄目だよ?」


「なんかゆんゆんにそんな事言われるとイラッとくるのですが。」


「なんで!?」


「やれやれいつ見ても2人は仲が良いみたいだな」


「そ、そうですか?私達仲が良く見えますかね?」


「あぁ見えるぞ」


「そうか?俺から見たらそうは見えないんだけど。(というかめぐみんが一方的に嫌ってるようだし)」


「えっ!?」


「そうですよ、カズマのいう通りですよ、何故私がこんなぼっちと仲良くならねばならんのですか。」


「めぐみん酷いよ!!流石の私も泣いちゃうよ!あとぼっちじゃないし!」


「いやいや、今の私は何も覚えてない状態ですが、ゆんゆんが私達以外歩いてる所見たこと無いですし、大体今日カズマが誘ってくれなかったら勝手に後を付いてくる気だったんでしょう?」


「うぅ…そ、それは…」


「何か反論あるなら言って見てくださいよ、ほらは〜や〜く〜」


「うっ….うぅ…うわぁぁぁぁん!!めぐみんがいじめるぅぅ〜!!」


はぁまたゆんゆんが泣いちまったな、どうすんだこれ。


「めぐみん今のは言い過ぎだと思うのだが!」


「そうですか?」


「そうだ!ゆんゆんはお前の友人だろう!もっと大切にしたらどうだ!」


おぉ!あのドMで変態なダクネスがまともな事を言って…


「それにだ!ゆんゆんだけあんな事言われるなんてずるいぞ!私にも言ってくれ!罵ってくれ!!」


「へ?」


前言撤回こいつはそういう奴だった…めぐみんも何言ってんだこいつはって思ってんだろうなぁ。


「ふ、2人とももうその辺に!私もう大丈夫だから!」


「ゆんゆん…泣き止むの早いですね」


「そ、それは何かあればめぐみんに泣かされてたからね!それにいつまでも泣いてちゃカズマさん達に迷惑かけちゃうし!」


「ふーん、まぁゆんゆんが泣き止んだのなら良いです。カズマ早く進みましょう」


「そうだな、日が暮れる前に行くか」


「さぁめぐみん早く!私にも!」


「あぁもう!鬱陶しいですよダクネス!少しはまともにしたらどうですか!」


「…」


「な、何ですかそんな変な顔して…」


「いや期待してたのと違うなと…」


「めぐみんもうこの変態はほっとけ」


「そ、そうする事にします…」



ーーーーーーーーーーーーーーーー



「おぉ、確かにここは広いな」


「だろ?」


あれからまた歩き進めた俺たちは生い茂った道を抜け、ようやく昨日ゆんゆんに案内された平原へとたどり着いた。


「さぁ着いたとこですし早速我が爆裂魔法を見せて差し上げましょう!」


「めぐみんのやる気が凄いですね…」


「だな、変な所に撃たなきゃ良いけど…なぁゆんゆん1つ気になったんだが」


「はい何でしょうか?」


「いやさ、昨日ここに来た時そこら辺にモンスターがいたけど今日はやけに少なく見えるんだけど、この辺ってもしかしてあんまりモンスターが寄ってこない所なのか?」


「へ?あっそういえば確かに少ないですね、もしかしたらめぐみんの爆裂魔法で怯えて逃げちゃったのかそれとも…」


「それとも?」


「あ、あのカズマさん私からも一つ良いですか?」


「どしたゆんゆん?」


「その…とても言いづらい事なんですが…実は…」


ゆんゆんはモジモジしながらそう言ってきた、何だろ言いづらい事って…はっ!もしかして告白か!?めぐみんに続いてゆんゆんまで!?

ついに俺にもモテ期が来たのか!?


「カズマ何ニヤニヤしてるのだ気持ち悪いぞ」


「そうですよ、ぼっち相手にニヤニヤしてどうするんですか」


「お前らは少し黙ってろ!それでゆんゆん!何だ!?」


「か、カズマさん近い!近いですよ!」


「良いから早く!それで言いたい事とは!?」


「え、えっと…実はここ…メスオーク達の縄張りでして…」


「メス…オーク?」


「はい…昨日は色々あって忘れてたんですけど、さっきふと思い出しまして…カズマさん?」


ここがメスオーク達の縄張り?あの所構わず男を襲うあのメスオーク?


「メスオーク?何ですかそれ、というかカズマどうしたのですか?体が震えててますよ?それに顔色も悪くなってますし」


「メスオークは性欲がとても強いモンスターだ相手が男なら捕まえて里に連れ帰るらしい。

しかもカズマは一度そのメスオークの集団に襲われた事があってだな…それが今でもトラウマになってるんだ」


「そ、それはお気の毒に…」


何か2人が言ってるけど今はそれどころじゃない、ゆんゆんが言う事が本当ならやばい!早く此処から逃げないとまた襲われて…!!


「カズマさん!落ち着いて!大丈夫です!最近この辺りに変なゴーレムが出てきてメスオーク達を倒しまくってるみたいで!おかげで今では結構数が減ってるんですよ!」


「ゆんゆんそれは本当か?本当なんだな!?」


「は、はい!それにほら!もしまた襲ってきてもめぐみんの爆裂魔法や私の魔法で対処できますし!」


「そ、そうだよな!それなら安心だ!」


そうだよ優秀な魔法使いであるゆんゆんがいるじゃないか!それにもし大軍で襲ってきてもめぐみんの爆裂魔法で一気に吹っ飛ばしてしまえば!


「メスオークがどれだけ危険か知らないですが、けど私の爆裂魔法でカズマを守れるならそれはそれで良いですねニコ」


「うっ…(ここでその笑顔はずるいぞ!めっちゃ癒されます!…)」


「カズマ今度は顔が赤くなってますよ?どうしました?」


「な、何でもねぇよ!2人とも頼りにしてるぞ!」


「はい!任せてください!」


「何か流された感じですが、まぁ良いでしょう」


「おほん!3人とも一応私もいるのだが…」


「ん?あぁ悪いダクネス頼りにしてるぞ」


「私だけ雑過ぎないか!?」


「別に良いだろお前モンスターの群れに突っ込む以外なにも出来ないし。」


「そうですね、さてカズマが落ち着きを取り戻した事ですし丁度目の前にある岩にでも我が爆裂魔法でも撃ち込んで差し上げましょう!」


「確かにそうだが私結構役立ってる筈なのだが!?なぁ頼むから聞いてくれ!」


うるさいダクネスの事はほって置いてめぐみんは詠唱を始める。

俺は何時もの様にめぐみんの隣で待機する、さて今日の爆裂魔法はどれ程良くなってるか見さしてもらおうか!


「さぁいきますよ!我が爆裂魔法を見ていてくださいね!『エクスプロージョン!!』」


詠唱が終わっためぐみんは杖を狙いの岩に向け魔法を解き放つと一瞬にして爆発が起こりそして岩と辺り一面吹き飛んだ。

そして満足しためぐみんはそのまま地面に倒れこむ。


「ど…どうですか…今日の爆裂魔法は…」


「んーそうだなぁ、爆裂魔法の威力も上がっていてそれでいて爆風と音も体全身にまで伝わって震えるような感覚…うん悪くない今日は90点くれてやろう」


「90点!ありがとうございます!」


「んじゃめぐみんドレインタッチで魔力分けてやるから自分で…」


「おんぶでお願いしますね」


「りょ…了解」


俺は手慣れた手つきでめぐみん腕を俺の首周りに回しそのままおんぶする。


「はふぅ、やっぱカズマの背中は安心しますね…」


「そうかい、というか昨日もおぶった気がするんだが」


「昨日は昨日です、さぁ早く帰りましょう」


「マイペースなやつ」


とりあえずやる事済ましたし、さっさと家に帰るか。というか後ろから話し声が聞こえるな、ダクネスとゆんゆん何の話ししてるんだ?


「無視され続けられるのはちょっと精神的にくるな…」


「あはは…あっそういえばさっきのゴーレムの事ですけど」


「ん?先程カズマに話してたやつか、それがどうしたのだ?」


「んともしかしたらそのゴーレム帰り道の所に居そうだなと思いまして…」


「なるほど」


「お前ら一体何話してんだ?」


「あぁカズマ実は先程ゴーレムの話を聞いていてな」


「ゴーレム?あぁさっき言ってたやつか」


「はい、何故か最近里近くに現れた謎のゴーレムらしくて。まぁ私達人には危害を与えないみたいなので大丈夫ぽいみたいですよ」


「ほほぅ、ゆんゆんそれって私達紅魔族のみ危害を与えないとかでは無いですよね?」


「さ、さぁ?どうかしらね…」


「ゆんゆん目を逸らさないでくれ不安になるだろ」


「ま、まぁきっと大丈夫ですよ!えぇきっと!」


謎の自信で大丈夫と念入りに押してくるゆんゆん、めっちゃ不安になってきたんだけど…これ襲われたりしないよな?


「何か不安ではありますが…まぁもしそのゴーレムを見かけたら通り過ぎるまで待つとしましょう、襲われてカズマが死ぬ所なんて私は見たくないですし」


「俺だってそう何度も死にたくねぇよ」


「ん?何度も?」


「んじゃとりあえずダクネスゴーレム見つけても突っ込むなよ?めぐみんが言ったように通り過ぎるまで待つんだ、良いか絶対だぞ?」


「何故私だけそこまで念入りに!?」


「お前は頭が固くてドMの変態だからな、見つけたらやっほーいって言いながら突っ込むに決まってる」


「そうですね、ダクネスならやりかねませんね。」


「なっ!?2人とも酷いぞ!いくら私でもそんな事は…しない…はず…」


「おい目がそれてんぞ、まぁそう言う事だからゆんゆんもいいか?」


「は、はい!私は構いませんよ!では里に戻るとしましょう!」


頼むからゴーレムなんて出てこないでくれよ…もしまた死んだら…そ、想像すんのはやめよう…。

俺は少し不安を抱きながら来た道を戻るのだった。



ーーーーーーーーーーーーーーーー



「はぁ、やっと半分くらいまで来たか」


あれから特に何か起こる事は無く俺達は黙々と里に向かっていた。

あんな事言った後ここまで順調に進んでるなら本当に大丈夫なのかもな。


「カズマ大丈夫か?疲れたのなら私が代わりにめぐみんを背負うが」


「いや良いよ、どうせこいつ嫌とか言うに決まってるし」


「流石カズマ私が思ってた事良く分かっていますね」


「そりゃ今のお前は記憶が吹っ飛んだおかげで俺にひたすら甘えてくる女の子だからな?だから離れるとか絶対言わないだろ。」


「えっわ、私そんなにカズマに甘えてますかね?」


「うん、今のめぐみんは殆どカズマさんにべったりくっついてるし。カズマさんから離れた所は見た事無いかな〜。

正直前のめぐみんじゃありえないくらいに…ボソ」


「そうだな、今はめぐみんの家で寝泊まりしてるが風呂やトイレ以外は殆どカズマの隣に居るな、だがもしカズマの欲望が抑えられなくなりめぐみんをめちゃくちゃに犯して…羨ましいぞ!!」


「だってさめぐみん、まぁ俺は別にくっつかれても構わないけどな、最近慣れてきたし。」


「慣れてきたって…というか2人ともどんだけ私の事見てるんですか…ちょっと恥ずかしくなってきましたよ…//」


「今更なに恥ずかしがったてんだ、良いんだぞどんどん俺に甘えても。」


「な、何かカズマにからかわれてる気がするのですが…その今は遠慮しときます…ボソ」


めぐみんが声を小さくしながらそう言った。

なるほど今は甘えないけど後で2人っきりになった時に甘えるんだな。


「おっやっと里の入り口が見える距離まで来たか。」


「みたいだな、あと少しだ頑張ろう。」


「はい!ここまで来れたならもう大丈夫ですね!」


「今ゆんゆんから思いっきりフラグになるような事が聞こえたが…大丈夫だよな?」


「カズマあれは何でしょうか?」


「え?」


めぐみんが指を指した先にはゴーレムらしきモンスターがいた、というかあれ俺何処かで見たような…あっ。


「あっもしかしてあれがゴーレム?けど本で見たゴーレムとは何か違うような?」


「だな…俺の感だがあれはヤバイ感じがするぞ」


「どうするカズマ?このまま突っ込むか?」


「んな訳ねぇだろ、ここはさっき言った通り隠れて通り過ぎるのを待つんだ」


「そ、そうか…あのゴーレムからの攻撃はさぞ格別だろうが仕方ない…」


残念そうにしてる変態はほっといて一先ず俺達4人は近くの草むらに隠れる事に。

ついでにめぐみんを降ろしておくか、隠れながら背負うのはキツイし。


「それにしてもあのゴーレムは何だ?他のゴーレムとは明らかに違うぞ。」


「確かに私もみた事がありません…魔導ゴーレムなのかな?」


「ゆんゆんにいう通り魔導ゴーレムだと思うぞ大昔に作られたやつのな」


「え?それ本当ですか?何故そんなのがここに?」


ゆんゆんが言った通りあれは魔導ゴーレムだ、多分この前エリス様が言っていた大昔にデストロイヤーで滅ぼされた国が作ってた奴だろう。

デストロイヤーの中で見た奴と一緒だしな。


「まぁそれは一先ず置いといて、お前ら静かにしてろよ、見つかったら死んだと思え。」


「わ、分かった…」


「ひぇぇ…私まだ死にたくないよ…」


「カズマ大袈裟ですよ、大丈夫ですいざという時はゆんゆんを餌にでもすれば…」


「めぐみん酷いよ!薄情なし!」


「なにおう!?私の何処が薄情なしか言ってもらおうじゃないか!」


「何処って全部よ!何で私が餌にされなきゃいけないのよ!」


「それは…ん〜…ぼっちだから?」


「ぼっちは今関係無いでしょぉぉぉ!!」


何故この2人はちょっとした事ですぐ喧嘩し始めるのだろうか…。

そんな2人がぎゃーぎゃー騒いでる間に敵がこちらに気づいたのかこっちにゆっくりと向かって来た。


「おい!お前ら喧嘩は後でやれ!敵が迫って….」


「うるさい子ですね!何ですか別に良いじゃありませんか!」


「良くないから!というか爆裂魔法撃って動けないめぐみんの方が充分餌向きよ!」


「んな!?こんなか弱い美少女をあの得体の知れないモンスターの餌にするなんてゆんゆん最低ですね!!」


「何でそうなるのよ!最初に言いだしたのはめぐみんの方でしょう!?」


「ふ、2人とも喧嘩はその辺にしないか!敵がもう近くまで来て…カズマ?」


「お前ら…良い加減静かにしろ!」


「へ?」


「え?」


「おぉ!!」


俺は未だぎゃーぎゃー騒ぐ2人に向けて思いっきり胸を掴む。

ゆんゆんは顔を赤くし困惑しており、めぐみんの方はそんな反応を見せず何バカな事してるんだという目で俺を見てくる。

ダクネスはとても羨ましそうにしており自分にもしてくれオーラを出してくる、うん実に鬱陶しい。


「カカカズマさん!?ちょこここでそんな事されるととても恥ずかしいのですが!!」


「カズマ早く私の胸を掴んでいる手をどけてください、さもないとアクセルで私にした事を暴露しますよ。」


「お前なにさらっと脅しかけてんだよ…俺はそんなのに屈しないぞ!んでお前ら騒ぎ過ぎだ!これで少しは反省しろ!『ドレインタッチ!』」


「「ひゃぁぁぁぁ!?」」


突然魔力を吸われ始めたゆんゆんとめぐみんはその場に座り込む。


「ふっふっふ…胸を揉まれながら魔力を吸われる気分はどうだ?」


「どうだと言われても困りますよ!早くこの手を離してください!じゃないと変な気分に!」


「そうですよカズマさん!早くこの手を!」


「ほぅ?俺にそんな態度を取るのか良いだろうならもっと吸ってやるよ!」


俺はまたドレインタッチで2人の魔力を吸い込む。

ただあんまり吸い過ぎると危険なのでゆっくりと魔力を吸っている。


「ひゃん…!か、カズマさんそんなに吸われると…魔力が…!」


「ひぅ!?か、カズマそんなに吸ったら意識がぁ…」


「安心しろこれでも手加減してるんだ、早々意識なんて飛びはしねぇよしかし2人の胸を揉み比べるのも良いもんだなぁ。ぐへへへ」


「くっ…この男は!」


「カズマさんなんて卑猥な…ってそうじゃなくていい加減離してくださいよ!じゃないとゴーレムが!」


「ゴーレム?そんなもん知ったこっちゃねぇ!こうなりゃお前ら2人が立てなくなるまで吸い続けて…ぎゃふ!?」


2人から更に魔力を吸い上げようとした途端、突然後頭部からものすごい衝撃がやってきて、その後ものすごい痛みが来たと思ったら俺の意識はそこで途絶えたのだった。






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