第21話 二日目にして放つ爆裂魔法

チュンチュン


「カズマ〜起きてください〜もう朝ですよ〜」


「ん…もぅ朝?…」


「はい、朝ですよ」


ボロい窓から太陽の光が部屋に入りそしてめぐみんの声で起こされた俺、何か朝が来るの随分と早く感じるなぁ…眠いがとりあえずめぐみんが起こしてくれた事だし起きるとするか。


「ふぁぁ…おはようめぐみん…」


「おはようございます、カズマ何だか寝不足な感じですね」


「そりゃ昨日の夜は色々あったからな…それで今何時だ?」


「朝の6時ですね」


「早えよ」


6時とか起きるにはまだ早過ぎるだろ、普通起きるなら7時か8時だろうに。よし決めた二度寝しよう


「あっカズマ二度寝しちゃだめですよ!今日は朝から出かけると決めたんですから!」


「いやいや勝手に決めんじゃねぇよ!出かけるのは昼からで良いだろが!俺は眠いんだよ」


「昼出かけたらあんまり里の事が分からないじゃないですか、それに昨日カズマは明日なら爆裂魔法撃って良いって言ったじゃないですか!」


「へ、へぇ…俺そんな事言ったっけかなぁ?」


「言いました!とぼけないでください!」


ちっ覚えてたのかめぐみんの奴め、しかしなぁ朝から爆裂魔法撃ってそれおぶって帰るのは俺だしなぁ…あぁめんどくせぇ…


「そんなめんどくさそうな顔をせずに一緒に来てくださいよ〜」


「おい抱きついて体を揺らすな!寝起きの状態でそんな事されると気持ち悪くなるんだよ!」


「だってカズマが…」


「だってもくそねぇよ、それに此処は紅魔の里だどんな敵がいるか分かったもんじゃない」


「うぅ…」


今にも泣きそうな顔をしながら俺の胸元に抱きつきこっちを見てくるめぐみん、すまないが今はとっても眠いしあんまり行く気力が全くないんだ。


「本当にだめなのですか?せめて今日だけでも…」


うっそんな可愛い顔されると…!いやだめだ堪えろ!堪えるんだ!


「…分かりましたカズマがそう頑なにそうするなら…」


「わ、分かってくれたかめぐみん。大丈夫だ確かに昼から撃っちまうとあまり里を回れないが今日でまだ2日目なんだだから別に…」


「昨日夜カズマが私にしたセクハラ行為をアクアとダクネスにばらします」


「おいそれはやめろ!それだけはやめろ!」


今こいつなんつった!?ダクネスはともかくアクア何かにバレたらどうなるか分かったもんじゃない!


「嫌ですもう決めた事なので」


「お、お前それまじで言ってんの?」


「えぇまじで言ってますよ?」


「えぇ…」


「まぁカズマが今から一緒に爆裂魔法を撃ちに来てくれればやめてあげても良いですけどね〜、どうせ駄目なんですよね〜カズマ〜?ニヤニヤ」


くっ、ニヤニヤしやがってこのロリっ子が!しかしダクネスはまだ良いとしてアクアにバレればまたロリニートだのロリマだと言われ最悪それを超えるような称号を付けられたら…ちっしょうがない…


「分かったよめぐみん俺の負けだ、だから夜した事は黙っててくれよ」


「よし!やりました!では決まったなら早く行きましょ!」


めぐみんは行くと決まった事が嬉しいのか突然俺の目の前で着替えを始めた


「おっおい!いきなり人の前で着替えようとするなよ!」


俺は咄嗟に身体を後ろに向けた、何してくれてんだよ全く…


「はっ!す、すみません!嬉しくてつい…」


ついでそんな事されると色々ときついのだが…主に俺のアレが。


「あの!着替え終わるまで振り向かないでくださいね?すぐ終わらせますので!」


「分かったよ、んじゃ早くしてくれよ俺も着替えたいんだから」


「はい!」


めぐみんはそう返事し急いでまた着替え始めた、しかしこんなに嬉しそうにしてるなんて記憶が抜けても爆裂狂なところが抜けないのはある意味凄いな。まぁそれがめぐみんらしくて良いんだけどな。


「カズマすみません、着替え終わったのでもう良いですよ!」


おっどうやらめぐみんの奴着替え終わったみたいだな、俺はぱっと振り向くとそこには何時もと同じ赤い服を着て黒いマントを羽織り何時もの帽子を被っためぐみんがいた。


「さぁカズマも早く着替えてくださいね!私は先に外で待ってますので!」


「へいへい、先走って変な所に行くなよ?」


「分かってますよー!」


バタン


「ふぅ、とりあえず着替えるか…」


しかし日課をやるとしても爆裂魔法撃った後もしモンスターに襲われたら色々やばいし一応武器とかは持って行くか。


俺はジャージから何時もの冒険者の服に着替え何時ぞやに鍛冶屋で作ってもらった刀を腰にかけめぐみんの後を追うように部屋を出たのだった。




ガチャ




「カズマ来ましたね!さぁ早く爆裂魔法を…ってカズマその腰に付けてる武器は?」


「ん?あぁこれはまぁ護身用だよ、もしモンスターに襲われた時手ぶらだったら何もできないからな」


「なるほど…しかしその武器カズマにしては中々良いセンスしてますねとても似合ってますよ」


「ありがとよ、んじゃゆっくりで良いからちゃっちゃと行こうぜ」


「いえ時間というのはあっという間に過ぎてしまうので此処は少し走って行きましょう」


「いやいや走るってお前…こんな朝っぱらから走りたくないんだけど」


「まぁまぁそんな事言わずに。さっ行きましょ!」


「えっうぉ!?ちょめぐみん!?」


突然手を握られたと思えばそのまま引っ張られるようにめぐみんが走り出した、こいつどんだけ力あんだよ、しかも走るスピードも何気に早いし。


「うぉぉぉぉ!早く私に爆裂を!!」


はぁ、どうか何事も無く日課終わりますように…!。





「ふぅ、さてカズマ此処からは歩いて行きましょうか」


「はぁはぁ…ちょっと待てって…少し休ませろ…」


あれから5.6分ほど走ったかようやく里の入り口前にあるグリフォンの像の所まで来ていた


「はぁ、カズマは冒険者なのに体力あんま無いのですね」


「うっせぇよ…冒険者っつても俺は最弱職なんだよ…」


「あぁそういえばそうでしたねそこだけ忘れてました」


「おい…」


「まぁそんな事はどうでも良いとしてそろそろ行きますよ」


「どうでも良いってお前な…」


ちょっとこいつ爆裂魔法撃った後置いて行ってやろうかな。


「ん?あれは?」


「どうしましたか?」


「いや門の外に人の様な姿が見えた様な…あれ何だろうあのピンクのスカート凄く見覚えが…」


「カズマは何処見てるんですか…しかし何でしょう私もあの幸薄そうで常にぼっちでいて日々友達欲しいと言ってそうであのぼっちオーラは…もしや!」


「ちょっとめぐみん何人の悪口言ってんのよ!何時も友達欲しいとか言ってないから!たまにしか言ってないから!」


「そこは否定せんのか…ていうかゆんゆんいつからそこに?」


「あっカズマさんおはようございます!今日はいい天気ですね!んと朝の6時前くらいに目が覚めてそれで何となくあぁ〜めぐみんとカズマさんが朝早くから爆裂魔法撃ちに行きそうだなぁ〜と思ったのですぐ朝ご飯食べてその後急いで家から出てそれで」


「よし分かった!分かったからもう何も言わなくて良いから!」


「?」


「カズマ…ちょっと私怖くなってきたんですが…ちょっとこれ警察呼んだ方が…」


「お前までそんなに引くなよ!一応友達だろうが!」


「いえ、私にはゆんゆんが友達という記憶が一切ございませんし」


「がーん…」


「なぁお前さ記憶が無くなってからというものゆんゆんの扱いがかなり酷くなってる感じがするんだけど」


「そうなのですか?私は普段からこんな感じだとおもってるのですが」


「いやいや前は嫌々ながらもこんな雑な扱いしてなかったからな?」


「私…めぐみんに怖いって言われた…これ嫌われちゃったのかな…ブツブツ」


うっ…ゆんゆんが更に落ち込み始めたぞ…


「カズマこんなのほっといて行きましょう」


「いやいや少しは慰めてやれよ!」


「嫌ですキッパリ」


「うわぁぁぉぁん!!!」


あかん!!ゆんゆんがマジ泣きし始めた!


「完璧にめぐみんに嫌われたよぉぉぉ!!わぁぁん!!」


「何言ってんですか、元から嫌われてるようなもんでしょうこの泣き虫ぼっちが」


「ウッ…グズ…泣き虫ぼっち…!わぁぁん!!」


「おいおいこれ以上ゆんゆんを泣かせるなよ…」


「んーそう言われましても私は思った事を言ってるだけなので」


いやいや普通そう思ったとしても言わないと思うんだけど…。しかしこれ以上ゆんゆんに泣かれて誰か来たら何言われるか分かったもんじゃない。


仕方がない、ここは俺が…


「な、なぁゆんゆんそのめぐみんはこう言ってるけど俺はゆんゆんの事友達だと思ってるし大切な仲間だと思ってるんだぞ」


「え…グズ…それ本当ですか?…ウッ…」


「あぁ本当だぞ、実際俺達は何度かパーティー組んだりして冒険したじゃないか。それに今はこうやってお互い会話するようにまでなってるしさ」



「は、はい!そうでしたね!カズマさん!確かに私たち一緒にぼ、冒険とかしましたね!」


うんうん、実際王都で最前線出た時だってゆんゆんのテレポートが無かったらそのまま死んでたかもしれないしな


しかし何だろうちょっと軽く友達と言っただけでここまで嬉しそうな顔されると…うん今回は仕方がないんだ許せゆんゆん!


「だろ?だからゆんゆんもう友達いないとか言わなくて良いんだぞ、そしてそんな友達であるゆんゆんに頼みがある」


「友達…!はい!何でしょうか!」


「実はさっき言った通り俺とめぐみんはこれから爆裂魔法を撃ちに行くんだけど、この辺りの敵は強い奴ばっかじゃん?」


「そうですね、確かに里周辺のモンスターはとても強いですしめぐみんの爆裂魔法の騒音で引き寄せられて囲まれる可能性は無くはないですね」


「おい私の爆裂魔法をそこら辺の騒音と一緒にしないで欲しいのだが」


「だって本当の事じゃない」


「なにおう!?今私に喧嘩売りましたね!?そこの友達と言えば簡単に騙せるゆんゆんちょっとこっちに来てもらおうじゃないか!」


「や、やめて!髪を引っ張らないで!それにめぐみん目が光ってるんだけど!!」


「さぁさぁ!早くこっちに来て喧嘩しようじゃ…痛い!?」


「おい、せっかく良い感じに話進んでるんだから邪魔せずにお前は黙ってろ」


「うぅ…私は邪魔したくてした訳じゃ…そこにいるぼっちに喧嘩売られただけですし…」


「ぼっちって言わないでよ!」


「はぁ…例え喧嘩を売られたとしても買うなよ、全く…」


「むぅ…」


「か、カズマさんそれでそのさっきの話は?」


「あっそうだったゆんゆん、ちと話が逸れちまったが俺達と一緒に来てくれないか?ゆんゆんみたいな強い魔法使いが居てくれると助かるんだが」


「えぇ良いですよ!友達頼みなら尚更!」


ふぅ、何とか話がまとまった…まぁゆんゆんが付いて来てくれるのは本当にありがたい。ゆんゆん程の強い魔法使いはそう滅多にいないしな。


「ありがとなゆんゆん、おいめぐみんそろそろ行くぞ」


「はぁ」


「?何だよいきなりため息して」


「別に何でもないですよ、さっ早く行きましょうか、あっゆんゆん付いてくるのであれば見晴らしの良い場所案内して下さいよ、私はここら辺がどうなってるか知らないので」


「分かったわ、まぁ見晴らしの良い所ならここから真っ直ぐ行けば広い平原に出るわよ!そこなら的になる物もあるかも!」


「そうですか、それなら良かったです。では行きますよカズマ」


「おう、なぁお前さっきより何かテンション低くね?」


「気のせいです。ではゆんゆん案内お願いしますね」


「えぇ任せて!こっちよ!」


んー明らか気のせいでは無い気がするんだけど…

はっ!もしやゆんゆんに妬いて…?んな訳無いかさっき酷いくらいゆんゆんに罵声浴びせてたしな。


「カズマー!そこでぼうっとしてるなら置いて行きますよー!」


「あっ悪い今行く!」


けどまぁ何か気になるし後で聞いてみるか、俺とめぐみんはゆんゆんに連れられて近くにあるという平原へと向かったのだった。




「おぉ…ゆんゆんが言った通りここはとても良い所ですね、アクセルの近くにある平原より全然広いですね」


里の入り口から歩いて10分程してゆんゆんが言っていた平原へとたどり着いた

確かに見晴らしがとても良くてアクセル付近にある平原よりそこそこ広い、そして辺りをよく見てみるとまだ朝方のおかげかそこそこ強いモンスターが身を隠す為か岩の側で寝ていたりしていた。


「おっめぐみんあそこに丁度的になりそうな岩があるぞ、ついでにモンスターも近くにいるし良い経験値稼ぎなるんじゃないか?」


「ふむふむ…少し遠いですがまぁ良いでしょう今日の的はあれにします!」


的が決まっためぐみんは早速詠唱を始める、ちなみに俺は万が一岩が降って来た時に直ぐにめぐみんを守れるように近くで待機する。また前みたいにめぐみんが頭打って大怪我してる所は見たく無いしな。


「さぁいきますよ!喰らうが良い我が爆裂魔法を!『エクスプロージョン!!』」


詠唱が終わっためぐみんは狙いの岩に向けて爆裂魔法を放たれ眩しい光りと爆風に包まれながらもその側にいたモンスター達は驚き逃げるすべもなく一瞬にして消え去った。

そして数秒程して光りと爆風が収まると一昨日見た時より少々大きいクレーターがそこに出来ていた。

そして魔力を使い切っためぐみんは倒れそうになったが慣れてる俺は素早く手を貸し直ぐに背負える体制になっていた。


「ふっ…ふふふ…どうですかカズマ…今日の爆裂魔法の点数は何点ですか?」


「そうだな前久々に見た時より威力も上がってるしそして詠唱の速さも上がってるな、他はまだまだだが…よし70点くれてやろう」


「くっ…70点ですか…無念…」


「まぁそんなに落ち込むな、明日もまた頑張れば良いさ、ほれドレインタッチするからじっとしてろよ」


「あっ魔力補充するなら里に戻ってからで、少しだけだっこお願いします」


「えぇ〜…」


「そう嫌がらずに〜お願いしますよ〜カズマぁ〜」


「はぁ〜しょうがねぇなぁ〜。里に着くまでだからな」


「やりました!では早速お願いします」


「へいへい、じっとしてろよ」


俺は手慣れた手つきでめぐみんを背負っていく。全くこいつは背負うする身にもなって欲しいものだ、もし今襲われたらどうするんだか。


「大丈夫ですよカズマさん、今は敵が寄って来る気配が無さそうですし!それに襲われてもこの私がいるので安心してくださいな!」


「ゆんゆんまで俺が思ってる事を読むなよ…何かヘコむんだけど」


「えっ!?それは何かすみません…」


「ふぅ…カズマは何考えてるか1番分かりやすいのですよ、ついでに言うと何かあると直ぐに顔に出たりしますね」


「えっそれマジで?俺そんなに顔に出てんのか?てか何でお前そんな事まで知ってんの?」


「ん、それは里に来るまで寝る時以外は何時もカズマの側にいたからですよ?まぁカズマが怪我をしたついでに記憶を無くした私の事を心配して側にいてくれただけだと思いますけどね」


「そ、そういえばそうだったな」


何か思い出すと恥ずかしくなってきたんだけど…やばい俺今顔赤くなってないかな!?


「ぷっ…ふふふ…本当カズマは分かりやすいですね」


「わ、笑うんじゃねぇよ!置いてくぞ!」


「ふふっ私はカズマがそんな事言っても本当にしないと思ってますからねギュッ♪」


「!?」


ちょっと強く抱きしめて来たせいかめぐみんの僅かに感じる胸の感触が!お、落ち着け落ち着くんだ俺!


「わわわわ…め、めぐみんがあのめぐみんがカズマさんに甘えて…」


「あっすみません影の薄いゆんゆんの存在を忘れていました」


「影の…薄い…ガックシ」


「だからゆんゆんをいじめるなよ…」


「いやぁつい言葉が出て来ましてえへへ」


「えへへじゃねぇよ全く…おっ二人とも着いたぞ、めぐみん降ろすぞ」


「むぅ、もう着いてしまいましたか」


「私…そんなに影薄いのかな…ショボン…」


「よいしょっと、ゆんゆんそんなに落ち込むなよ俺はゆんゆんが影が薄いとは思ってないからな」


「カズマさん…そうですよね!私影薄くないですよね!」


ゆんゆん立ち直り早いなぁ〜落ち込むのも早いけど


「おやぁ?そこにいるのはめぐみんとゆんゆんじゃないか久々だね元気してたかい?ついでに外の人も」


「ん?あっあるえ!お久しぶりね!元気してたよ!」


里に戻ったばかりの俺達に話しかけてきたのは、めぐみんと同じ眼帯をし髪を後ろに一本に整えそしてマントではなく黒くて長いローブを羽織った紅い瞳をした少女がそこにいた。





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