第5話あの子と同居!?
「お、おい親父! 再婚ってガチか? マジか?? これはリアルなのか!?」
家に帰ると佐藤さんがいて、親父はその母親・梨沙さんと結婚するとか言い出しやがった。さすがに一日でこんなにビッグなサプライズをされては俺のキャラもおかしくなってしまうものだ。
「佐藤さんは、再婚するってこと知ってた?」
俺とほぼ同時に同じようなことを叫んでいた佐藤さんに確認した。
「い、いや私は知ってた。でも、やっぱり再婚するって言われるとその、驚いちゃって。しかも、同じクラスの男の子と同居ってやっぱり恥ずかしいよ……和也くんは恥ずかしかったりしない?」
「いや、俺はどちらかというとこの状況を作ってくれた親父に感謝しかないな。それに……」
俺は小声でこんなことをつぶやいてしまった。
「ん? なあに?」
佐藤さんはその女神のような笑顔で俺の顔を覗き込んできた。このアングルはダメだ。シャツの胸元がいいかんじに開けて、やばい。俺の理性が失われる前に。
「いや、なんでもない。そうだな、年も年だしな。まあ、慣れればなんとかなるんじゃね」
とかいいつつも俺の心臓はありえない速さで脈打っていた。体がとてつもなく熱くなっているのがわかった。
「ほんとにー? 顔、真っ赤だよ?」
佐藤さんは俺の顔を見ながらにんまりと笑った。そりゃこんな顔も熱くなっているのにばれない方がおかしいな。
「そ、それよりもほら、親父。話を続けてくれ」
俺はこれ以上聞かれるのはいろんな意味で危険だと思ったので話をそらした。
「そうだな、あれはちょうど一年くらい前だろうか。あれは今日みたいに雲一つなくそよ風が心地よい――」
それから親父は10分ほど梨沙さんの出会いなど諸々を話した。肝心な、なぜ結婚することになったのかを話さないまま。長かった。途中、瞼が閉じかけてそれでも寝ないように頑張っている佐藤さんがとてもかわいかった。
「親父と梨沙さんの出会いとかはまた今度ゆっくり話してくれればいいんだ。それよりもどうして結婚するこになったのかを教えてほしい」
そろそろ限界が近かったので、親父にも答えやすく聞いた。
「あーそうか、そこが大事だよな。さすがにほとんど毎日家に居させるのは申し訳ないなと思ったわけだ。そりゃあお前は家事は基本何でもできる俺がいなくても生活はできると思うが、たまには家のこと気にせずに友達と出かけたいときもあるだろ?しかも、これからお前は大学受験もある。さすがに今の収入じゃ大学の学費もそんなに払えないからな。そこでたまたま梨沙さんも同じようなこと言ってたからな。これならお互いの家族が得するだろ?」
それには納得がいった。こんな親父でも俺のこと考えてくれてるんだなとすこし、ほんの少しだがうれしかったりもした。
「和也くんってお料理もできるの? 私、家事ほとんどはできるんだけどお料理はどうしてもできないんだ。」
美人で何でも出来そうな佐藤さんにもできないことってあるんだな。
「まあ人並み程度にはできる」
「そっかー、和也くんはすごいね。何でもできるね!」
こんなおれをこれだけほめてくれるとは、俺は幸せ者だなとしみじみ思った。
「と、いうわけで私たちは結婚することになったわけ。異議はないわね? あ、心配しなくてもあなたたちに弟とか妹はきっとできないと思うから安心なさい」
この
「これからよろしくね、和也くん!」
「こちらこそ、佐藤さん。」
改めて、挨拶をしてきた佐藤さんの顔は今日一日で一番の笑顔だった。が、しかし俺の返事を聞いた瞬間、ムッとした表情になりこちらに寄って来て、
「莉・奈」
「へ?」
突然のことに変な声が出てしまった。
「私、苗字変わるからね?もう佐藤じゃないんだよ?」
そういうことか、もういちいちかわいいな。俺はすべてを理解した上で、
「改めて、よろしくな。莉奈。」
「うん!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます