第4話初めまして!?
「さ、佐藤さん!?」
リビングのソファに腰を掛けていたのは、今さっき帰り道で話題になっていたあの佐藤利奈さんだ。俺は驚きを隠せなかった。
「は、はい! ……えーっと、誰?」
お、おい、まじか。予想外の言葉に俺は次の言葉が思いつかなかった。
「なんだぁ、おまえ莉奈ちゃんと知り合いだったのか! なら話が早いな!」
「いや、たぶん俺が一方的に知っているだけだ。さっきの言葉でそう確信した」
悲しいが親父にはそう言うしかなかった。そんな微妙な空気の中、親父より少し若い見るからに優しそうな女性が、
「驚かせてごめんなさいね、和也くん。長話になるから座りましょうか」
と優しく微笑みながら言ってくれた。ん? 今、俺の名前を……なぜだ? 女性と佐藤さんが座っている反対側のソファに腰を下ろしながら俺は疑問に思っていた。
「どうして俺の名を? どこかでお会いしたことありましたっけ」
「あら、そういえば挨拶がまだだったわね。初めまして、私は佐藤梨沙。雨宮さんの結婚相手ってところかしらね。結婚相手の息子さんの名前を知っているのはおかしなことではないわよね? 和也君?」
さっきと同じような笑顔であったがその意味は180度違っていた。
「は、はいそうですね。」
苦笑いするので精いっぱいだった。ん? 親父の結婚相手? この
「それで、私の隣にいるのが……」
俺の戸惑いに気づいているであろう梨沙さんは、それでもそれに触れることなく佐藤さんに自己紹介のバトンを渡した。
「は、初めまして。佐藤莉奈です。あの、その制服私と同じ高校ですか?」
まあ予想はしていたからそこまでショックではなかった。全然気にしていない。気にしていないからな! なにはともあれ、聞かれてしまっては仕方ない。真実を話そう。
「俺は雨宮和也。佐藤さんの言った通り、俺は佐藤さんと同じ高校だ。しかも、佐藤さんとは同じクラス。だから、初めましてではないんだ。」
そう、これが真実だ。ただ、そう簡単に信じてもらえる訳ではなかった。
「え、え、ほ、本当?」
動揺しながらも佐藤さんは聞いてきた。こうなることは容易に想像ができた。なんせ俺は学校では女子との関りがないに等しいからだ。だから俺は今日の時間割を佐藤さんに言ってみせた。
「本当に同じクラスなんだね、びっくりだよ~」
さすがに信用してくれたようだ。
「ああ、俺もかなりびっくりした。ガチで心臓止まってたかもしれない」
「ふふ、面白いこと言うね和也くんは」
こんなつまらないことでも笑ってくれる。その笑顔を見ただけで天にも昇れるような気分になった。本当に完璧な女性だ。
お互いの自己紹介が終わり、佐藤さんも俺のことをクラスメイトと認識してくれたところで、
「じゃあ、本題に入ろうか! ここからが本番だぞ、和也よ。」
親父の変なテンションで話題はついに本題に入った。もちろん本題というのは、
「俺、梨沙さんと再婚しようと考えている」
だろうな。ん? ということは…
「俺が!?」「私が!?」
「佐藤さんと!?」「和也くんと!?」
「同じ家に住むのか!?」「同じ家に住むの!?」
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