第2話 デジャヴ『既視感』
この既視感はなんだ...
この状況にじゃない...
フィレムに対してなのか....?
いや.......
声か....?
なんなんだ....??
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あ!!あれは!老師の!!」
フィレムが突然大きな声を出す
1羽の鳩がベランダの手すりに止まった
赤目の白い羽が美しい
とてもここの近くじゃ見かけないような鳩だ
足には1通の手紙が巻き付いている
「伝書鳩か、案外古典的なんだなフィレムの世界の情報伝達は」
「デンショバト??」
フィレムが首を傾げながら手紙を解くと
鳩が小さな光と共に消えた
「は.....?鳩はどこに行った?」
「不思議なことを言うんですね、あれは老師が召喚した使いです、この世界に溶け込めるように見た目は少し変わっていましたが」
「そうなのか...」
フィレムが手紙を開くと文字がぼんやりと浮かんできた
しかしそれは読める程鮮明にはならなかった
フィレムは熱心に手紙を睨んでいる
「読めてるのか...?それ....?」
「もちろんです!老子は響さんを『ヴァイへリス』へと案内しろと....」
「どこだそれ」
「今回の転生に巻き込まれた教会です」
まただ...
この聞き覚えのある名....
「よし行こう」
「私の転移魔法で一瞬です!!」
この時を待ってましたと言わんばかりに鼻の穴を広げ張り切るフィレム
さっきまで少し元気が無かった気がしたが
気のせいか.....
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
フィレムが何やら呪文を唱えている間にいつの間にか転移は終わっていた
ここまで上手く情報を飲み込みきれていたつもりだったが
目の前で自分ごとテレポーテーションしたことはやはり飲み込むには時間を要した
「ここです!!」
真正面を指差しこちらを笑顔で見つめるフィレム
余程転移魔法がちゃんと成功したことが嬉しいのだろう
しかし、教会の後ろにはトウキョウ名物の高層ビルが立ち並んでいる
雰囲気は正直言ってゼロだ
「入っていいのか?」
「いいはずです!」
教会の古びた重いドアに手を掛けた瞬間
まるで映画のワンシーンのような記憶が飛び込んできた
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「永遠の愛を誓いますか?」
「誓います」
「もちろん、誓います」
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結婚式....?
俺はここで昔、式を挙げたことが....??
相手は誰だ...?
知らない女性......
顔はよく見えなかった
しかし声は透き通っていて綺麗だった...
既視感とかいうレベルじゃない...
はっきりとした...
記憶だ.....
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