第1章 ~人生の交差~

第1話 異世界と首都トウキョウ



  「ハァ...ハァ...

   早くしないと....この世界が!!!!」




 ジリリリリリリリリ.....


「う~、朝からうるさい~...

 今日からまた仕事か~......やる気起きねェ....」


 目覚ましを止め、ぽつりと呟いた一言が小さな部屋に響く

 とりあえず手元にあったテレビをつけると朝のニュースからはあまり聞かない慌てた声が飛び込んできた。


「...にか町のような突如として現れた物にトウキョウのど真ん中が占拠されております!速報です!何か町のような突如として現れた物にトウキョウのど真ん中が占拠されております!」


 は...?

 ここに映ってる場所って俺の会社の近くじゃねぇのか?

 いや、というより俺の会社どこに映ってんだ?

 まさか...??

 ハハ....ハハハハ.......

 そんな....なぁ.....??

 取りあえずTwitter見れば大体の情報は...


「んだこのTLの流れの速さは!ラピュタの時のバルスかよ...ってかTwitterじゃガセか本当の情報か分からねぇじゃん」


 独り言が思わず出た

 テレビを消し、まだ夢の続きを見ているのだと自己暗示をかけ

 スーツへと着替える

 普通の朝食をとり、普通の時間帯に家を出る

 そう...ここまでは日常とは全く変わっていない

 ガチャ....


「こんにちわ!貴方が日宮響(ヒノミヤ ヒビキ)さん?」


 ドアを開けると同時に顔を覗かせ、甲高い声がマンションの廊下の朝の静寂を劈く

 そこにはピンク色の髪をした...

 一言でくくると妖精のような見た目の可愛らしい女の子


「はぁ...?」


 月曜の朝から俺の日常が...


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 とりあえず部屋に上げたはいいものの....


「あ、あの~、どうして俺の家に...?」


「老師に言われて来ました!」


「老師って一体何者なの.....?」


「そこまでは教えられません!」


「あぁ...そうなんだ...ってかどうして俺の名を...?」


「老師が知ってました!」


 なんでもお見通しかよ...


「君、名前は...?」


「私は妖精族第21血統のフィレム!」


 スーツ姿の成人男性と妖精の女の子が狭い部屋でこんな会話を繰り広げているなど想像出来るだろうか。


「君...フィレムはもしかしてこの異世界の転生騒動に関係しているの...?」


 聞いてしまった、あくまで夢だと思っていようとしていたがどう考えても朝からこんな妖精が家を訪ねてきて老師だのなんだの言っているのは非現実的過ぎる。


「そうなんです、私たちが住んでいた世界『クリエイドラクション』の一部がすっぽりと抜け落ちてこちらの世界とつながってしまったみたいで...」


 クリエイドラクション...?その名前.......どこかで聞き覚えが....


「でも老師はどうしてこんな人の元へ行けなんて行ったのでしょうか?」


「知らされてないの?」


「はい!何か、来れば分かるって言われたので...老師もこの一件でかなり忙しくなっているみたいですし」


 そうか、この騒動で混乱しているのは俺たち人間だけじゃないのか

 向こうの異世界の住人ももちろん混乱するよな...

 でも何でだ...

 異世界が転生してきて妖精が俺の元を訪ねてきて



   初めてのことのはずなのに....

     やけに既視感が...

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