第39話

「で、聞きにくいことを聞くんですが、いいでしょうか」


「いいですよ。なんなりと」


「さきほどスライムを倒しましたが、そこそこ苦労しましたよね。それで……」


「それで?」


「ラスボスの前のやつはスライムよりも強いんでしょう。そしてラスボスはそれよりも強い。それで……」


「それで?」


「大丈夫なんですか?」


「相手の能力や戦闘力は“目”でもわかりません。ですからそれについての答えは一つです」


「なんですか」


「戦ってみなければわからないと言うことです」


「そうですか……」


魁斗が言った。


「やる前から負けることを考えるなんて、阿呆のやることだぜ。俺なんか勝つことしか考えたことがないぜ」


「そりゃああんたは、そうでしょうよ」


「それにしても“目”のやつ。なんでリーダーである俺じゃなくて、飛燕に報告を入れるんだ。どう考えてもおかしいだろうが」


「どう考えても、おかしくないわよ。あたいが“目”でも迷わず同じことをするわ。三人の中ではあたいが一番若くて経験も浅いわ。だからあたいが外されるのは、無理ないわね。そうすると飛燕かあんたの二択になるけど、それなら消去法で一発よ。馬鹿は論外だから、飛燕しかいないわね」


「そうそう。馬鹿は論外だから……って、誰が馬鹿だってか」


「あっ?」


「あん?」


「二人ともやめないか。ほら、神社が見えてきたぞ」


飛燕の言うとおり、木々の先に神社があった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る