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「君がいたクラスが一番桜が見える場所でね。誰もこないと思って見てたのよ。そしたら君が現れたらびっくりして」
慌てて同級生のふりをしてごまかしたんだと女性は笑った。
「どうしてクリームパン?」
思考が定まらない宮原の唐突な質問に、女性はあーっと苦笑した。
「家があのパン屋でね。適当に朝ご飯で持ってってたんだけど量が多くて」
でも、運命かもと思ったんだ。
「教室に入ってきた君を見たとき。一瞬で君を気に入ったんだ」
「いや、俺、平凡ですけど」
夕日に照らされる女性は本当に綺麗で桜の姫と武田が言っていたのが現実味を増してくる。
そんな女性が宮原を気に入る理由が分からなかった。
「感じ方は人それぞれじゃない?私は君を気に入った。だからどうしても会いたくて、大学に進学してからも家のお手伝いの一環としてここに来てたの」
なのに君が全然来てくれなくて。
「夢だったのかなとか思っちゃった」
女性はそっと宮原の手を握ると夢じゃないと嬉しそうに微笑んだ。
「改めまして。私の名前は姫野 桜子。宜しくね」
桜の姫…武田のあれは予知だったのかもしれないと姫野の手を握り返しながら、宮原は微笑んだ。
それは… 釉月 @yutsuki_chizukey
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