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「あの」
何を買おうか迷っていると、女性はおもむろにクリームパンを宮原の手に置いた。
「えっ?」
「ありがとうございましたー」
そう言って料金を渡す間もなく列から弾き出された宮原に女性は小声で呟いた。
「またね、宮原君」
その言葉に振り向いた瞬間、女性の姿は他の生徒達の列によって見えなくなっていた。
「あれ?宮原もパン買ったのか?珍しい」
無事に定食をゲットした武田に適当な相槌を打ちながら、宮原は弁当を食べ始めた。
「やっぱ定食はこのとんかつハンバーグデミグラスソースエビフライ添えだよな!」
いかにも胃もたれしそうな定食を大盛で食べながら、武田は満足そうに頷いている。
その隣で弁当を食べ終えた宮原は先程、手渡されたクリームパンを口に運んだ。
それは2年前に食べたクリームパンそのものだった。
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