1-3
桜の姫…それは宮原が入学したばかりの頃に出会った女性の呼び名だった。
通いなれていない学校内を探検しようと、早めに登校した日。
教室の鍵は既に誰かが開けていた。
「…誰だ?」
当時、それほど親しい人間がいたわけでもない宮原はそこそこに緊張しながら教室の前のドア開けた。
春の柔らかな日差し、ふわっと少し肌寒くも暖かさが混ざる春風が宮原の頬を撫でカーテンをふわりと揺らした。
それと同時に教室にこんにちはと舞い込む桜の花びら。
まるで夢のように綺麗な光景だった。
「おはよう」
不意に声を掛けられ、宮原は慌てて教室の後ろに目線を移した。
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