第2話
「イリサ。ホルザードの街中見て来たけど、一応は大丈夫そうだぜ」
関所を入ってすぐの
「そう? よかった。いつもありがと」
すでに自国を出て久しく、情報もあまり入ってこないため、新しい街へ入るときはエゼトが必ず一度偵察をしてから行動するようにしていた。
少しずらしたフードから、勝ち気そうな大きな紅い瞳が微笑むのが見えた。
すっと、立ち上がろうとするイリサに手を貸してやる。
置かれた手を引き上げてやると、イリサは「ありがとう」と言ってすぐ手を離した。
エゼトはいつもの事ながらイリサの熱がすぐになくなってしまったのを
「さてと…。夕飯にはまだ早いけど、どうする? 街を見て回るか?」
イリサがようやく日が傾き始めた、しかしまだ抜けるように青い空を見上げる。
「そうね。久しぶりに大きい街に来たから、買い出しでもしましょうか。食材も足りなくなってきたし…。そういえば、短剣とかももう予備がなかったわ」
確認するようにがさごそと戦闘服のスカートの
「お、俺も
「じゃあまず武器屋に行きましょう。そのあと、食料市場に行く。あ、でもその前に宿決めちゃった方がいいかな…」
関所を通ってきた感じでは、あまり
イリサが顔に手をあてて呟く。
「まあでも一応最初に宿取って、買い物して、その後夕飯くらいでちょうど良いんじゃないか?」
頭ひとつ分ほど上から言ったエゼトに、イリサが目線を向けずに頷く。
「ん、そうね、そうしましょう。…と、その前に」
イリサが体ごとエゼトを向く。
「エゼト、さっき『一応は大丈夫』って言ってたでしょ? あれ、どういう意味?」
「ああ…」
説明し忘れていた。
「ホルザードは立地的に少し閉鎖的な街なんだ。だから、過激ってわけじゃないんだけど開戦論者が多いんだよ。ここは武器商人とかがいるわけでもないし、あくまで通るだけだ。だから――」
「ここはまだ慎重に、目立ったことをするなってことね?」
イリサが結論を言う。
「……まあ、そういうことだ。気をつけてくれ」
はーいと頷くイリサにエゼトは
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます