男と女は分かり合えない。同じ人間であるはずなのに、性別が違うというだけで、分かり合えない。だからこそ面白いのが男女関係でもあるわけだけど、それは破滅につながることもある。 箸の持ち方が気にいらない。たったそれだけで、徐々に男の嫌な部分が許せなくなって、気づかないうちに破局してしまうということもある。 この主人公と恋人との関係にも、そういう背後関係を感じたりする。 恋人と別れたあとの卵焼きの味は、どんな味がするのだろう、と興味がそそられる話だった。
今、私の目の前で、ちかちゃんと一臣君がいるようでした。リアリティがあり、描写力もあり、さらに文章がとてもやわらかく、きれいな文章でするっと体に入りこんでくるようです。ストーリーとしては切ないお話ですが、卵焼きのシーンが美味しそうで最後は、なんだか優しくほっこりとなれる不思議なお話です。りよさんの作品はいつも不思議な魅力とリアリティのある繊細な描写、そして独特の個性のありつつも、きれいな文章が魅力です。これからもすてきな作品を待っています。