コピープロテクト

 ゲームに限らずアプリケーションは単なるデータなのでコピーする事ができますね。


 時間とお金をかけて発売してもすでに買った人からコピーすればお金を払う必要が無い。


 そうなると次に買う人が出なくなる。


 そうするとメーカーは潰れてしまいますね。


 現在はシリアルコードによるプロテクトが一般的で、コードが流出すれば簡単にコピーできてしまいますが、コピーすること自体が違法なのでメーカーの利益は守られています。


 昔はデータをコピーする事自体は違法ではなかったんですね。


 コピーした物を勝手に販売すると著作権やら何やらと違法性が出てきますが、コピーしたり、それを譲渡したり、またコピーする為のツールを販売する事自体は違法ではありませんでした。


 海外では通信環境とハードディスクも普及していたので、割と初期からネットを通じてアプリケーションがコピーされる事は問題でした。


 加えて通信費が日本と比べ物にならないくらい安価。


 そんな中で考案されたのがマニュアルプロテクト。


 ゲームを立ち上げると「解説書の〇ページに書いてある暗号を入力してください」と入力を要求される。


 マニュアルを持っていない、ネットでコピーしただけの人はそれが分からないのでゲームできない。


 でもこれはその情報も一緒に撒かれれば解決してしまいますね。


 実際そうなる事もありました。


 そこで暗号もランダムに。


 どのページの何を聞かれるか、そのパターンが多ければそれだけ強固なプロテクトになります。


 しかしこれは普通にゲームするのにも面倒な上に、全てのパターンが列挙されてしまえばそれまでです。


 そこで一見それと分からないよなマニュアルプロテクトも。


 ゲーム起動すると「攻撃力を入力してください」


 何か入力すると「違います」


 何が違うねん!


 となるのですが、マニュアルにはちゃんと書いてあるんですね。


 それもネタが割れてしまえばそれまで。


 当時ゲームなんてするのはマニアばかりですから。


 対処法が知れ渡るのも早いですが、それでも一定の抑止力はあったようです。


 日本ではフロッピーディスクでの供給が前提だったので、コピー時にはマニュアルも全部コピーするものでしたからあまりマニュアルプロテクトは見られませんでした。


 プロテクトはディスクそのものにかけられています。


 フロッピーディスクのプロテクトとは、分かりやすく言えばフロッピーディスクに傷をつけて、傷があるかどうかを判定するものです。


 コピーする人間が意図して同じ傷をつける事は無理ですからね。


 実際にはデータ的にエラーを埋め込むものですが、それも技術によって再現ができたりできなかったりあるものでしたが、それらは結局チェックしている部分のプログラムを修正してしまえば意味のないのもでした。


 それをやっているのがバックアップツール。


 バックアップツールはあくまでバックアップを目的としたツールで、


「大事なソフトウェアが破産したり磁気で消えてしまったら大変です。そんな時に備えてバックアップを取っておきましょう」


 という名目で販売されるもので、それでコピーした物を二次販売したりすると違法ですが、個人でバックアップを取る事は自由で、それをサポートするソフトウェアの販売も自由です。


 しかし実際にはその目的で利用される事は稀で、不正にアプリを入手する為に使われるのが横行し、メーカーは頭を悩ませていました。


 一本が数万円するような業務用アプリケーションが簡単にコピーされてはメーカーは簡単に潰れてしまいますね。


 そこで登場したのがキープロテクト。


 今でもUSBに差すプロテクトキーがある物もありますね。昔はRS-232C端子、一般にはプリンタケーブル差しておく所に付けてました。


 ハードウェア上でプロテクトをかけるので強力ですが、一般的に業務では一つのアプリだけ使うわけではないのですね。


 大抵複数の魁アプリ併用するのですが、立ち上げるたびに付け替えていては大変な労力です。


 普通RS-232C端子はマシンの裏側にあるので場合によってはケーブル全部外して引き出さなくてはならない。


 なのでほとんどの場合全部付けとくんですが、多いと柳の枝のようにしなる。異常に後ろに突起する。


 そこまでするプロテクトも結局アプリ側のチェック部分を潰してしまえば同じです。


 メーカー陣は結構長い道のりを経て、ソフトウェアの配信、ダウンロードを違法化する事に成功しました。

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