引きこもりを問題視する

 最近よくニュースになってますね。


 引きこもりのニートは国にとっても不利益なので、他人事ではありません。


 事件を起こしそうかどうか以前に、日本国民である以上、生産する義務があります。


 義務を果たさず権利だけを受けている人間がいるならそれは社会のダニでしかない。


 だから非難するのはむしろ必然。そこに間違いが無い事に異論のある人はいないのだと思います。


 あまり批難ばかりするのもどうか、という人は、

「そんな事は本人も分かっているのだから。批難する事で返って追いつめて、逆に悪化させてしまう」

 というのですね。


 まあそういう人がいるのも事実なんでしょうけれど。

 でも僕は実際に見た事はないんですよね。


 引きこもりとニートはまた違うという話はあるかと思いますが、

 実際に見聞きした例を紹介してみます。



 とあるニート。


「親の収入で生活が出来ているのに、なんで働かなくちゃならないの?」


 と平然と言ってのける。


 親はいつまでも健在じゃないでしょ。


「それはその時考えればいい事であって今じゃない」


 いや、社会人年齢というものがあるからね。


 履歴書いらない会社はまず無くて、履歴書に空白部分があったらそれを説明しなきゃならない。


 その間何もやってなかったら社会人一年生です。


 なら新卒採ればいい。あなたを採用する必要ある?


 とも思うのですが、日本国民ではあっても僕は親じゃないので、そこまでとやかく言うまい。


 ホントはこの先どうするつもりなのか興味があったのですが、

 実際その時が来て泣いている。


「なんでこんな事になってしまったんだ」


 と自分の不幸を呪っている。



 ちゃんと説明してあげた例もあります。


 なぜニートではいけないのか、なぜアドバイスをしてあげているのか。


 その時はちゃんと納得してくれたんですね。


「やっぱりそうだよね。何かしないとね」


 となるのですが、その後の動向を見ているといつまで経っても何もしない。


 そして結局同じ結果になってこっちも泣いている。



 信じられない。


 しかもいい大人がホントに泣くんだ。


 こっちはただただ唖然。


 ハッキリ言って友達でもないんで何かしてあげる義理もない。



 ニートに限らず仕事場でもありました。


 全く仕事をしない奴がいるんですね。


 それを指摘しても「~が無いから」「相手が悪いから」と言い訳ばかりする。


 こっちは契約社員だから、会社潰れた所で余所に行くだけだが、そいつは創設メンバーでいわゆる幹部なんですね。


 そして結局プロジェクト潰れて会社倒産して借金背負わされてホントに泣いている。





 先にある事を予測する能力が無いのではないか?



 道を歩いている時に犬のうんこちゃんが落ちていたら避けないのか?


 なぜか彼らは踏んでしまう。


 踏んでから怒る。


 あるよ……って教えたんだから。避けたら?


 別に何かに気を取られて気が付かなかったとかではない。教えてるから。



 僕は道行く先にうんこちゃんが落ちているのを見つけたら、


 別にギリギリまで引きつけて避ける、みたいな事はなくて、


 かなり前から方向を補正して、うんこちゃんに辿り着く頃には、匂いも虫も届かない十分な距離、にさらに余裕を加えた間合いになるように調整し、


 通過後は目的地に対して、これまた無駄が無いよう方向を決定。


 導線に無駄が無いように、方向転換で間接に無理が掛からないように自然にスプライン曲線を描くように進路を計算して歩く。


 それをうんこちゃんを凝視する事なく行える。


 付け加えるなら、道にうんこちゃんが落ちていないかと常に細心の注意を払っているわけでもない。



 という事をやっているが、誰かに教えてもらった事はないし、プログラムを学ぶ前からやっている。


 ていうか人間なら誰でも出来るんだと思う。人間はそういう風にできている。



 だからなぜ彼らにそれができないのか分からないし、

 どう説明してあげたら理解するのかも分からない。


 上記の説明をしても「何わけの分からん事言ってるんだ」みたいな事になる。


 そりゃそうだろうね。


 僕もうんこちゃんの避け方を教わった事ないし、詳しく説明した事もない。


 だからかなり変な事言ってるんだろうな、と自分でも思う。


 うんこちゃん避けられる人も上記の説明聞いたら「んん? ……んん」となるのではないか?





 要するに、

  分かってはいるんだけど、精神的に追い詰められて自分でもやるにやれない。

 人も確かにいるんだろうけれど、今社会で問題になっている人はそういうのと違うのでは? という事です。



 私見ではありますが、冒頭の批難されているのは、


 うんこちゃん避けられない人達なんじゃないかと思うんですね。


 実際僕は何人も見てますし。


 踏んでから怒ればいい。犬を散歩させるのが悪い。行政が悪い。


 と何度でも踏み続ける人達なんですね。



 そもそも避ける行動の概念が無いから、無理矢理やらせようとしても、


「避けた先に石ころがあった時の対応が説明されていないから悪い」


 と「だーかーらー」という事にしかならない。





 これを人間の脳の構造と、本能という初期プログラムという概念で考えると、


 もう「不良品」と言って差し障りないのではなかろうか。



「不良品と呼ばれた者の気持ちが……」


 というのは極めて正しいとは思いますけどね。


 ではあなた「不良品」と弾かれた車に乗って高速走れるのか?



 そういう人間を仕事に組み込む、というのは同じ覚悟が必要です。





 もっとも僕は、実際そういう目に遭って尻拭いをしている立場にいるから、

 引きこもりを問題視する人達の気持ちも分かる……と言っているだけです。



 なのでそういうのを見聞きして「そうなんだ」と思って批判したら悪質な風評被害ですよ。



 僕も表立って批判した事はない(まあこれがそうとも言えるんだけど)。





 結論としては、「批判」で終わらせるのではなくて、きちん「問題定義」として対策を練る必要があると思うんですね。



 実際そういう人間がいる事は事実で、僕らはそういう人間と相対している(最近は少ないんですけどいる所にはいて集中する傾向がある)。


 目に見える引き籠りなんてのは実は問題ではなくて、


 本当は社会に溶け込んでいる同種の人間。


 本当に指導、直さなくてはならないのはそっちの方。社会に組み込まれている不良品。



 むしろ引き籠っている人達は、自身が社会に浸透しない事を知って退いているだけなのでむしろ彼らの選択は正しい。


 それをただ無理矢理表に出しても大変な事が起こるだけ。



 対応は間違っていない。


 末端からケアしていく事で直していこうと言うのも正しい。


 不良品であれ精神的に追い詰められている人であれ、正しいケアは必要です。



「引き籠っている人」を一括りにするのではなく、まずは適切にカウンセリングして区別する事が必要だと思うのですね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る