頭のおかしい人6 内容を全く確認しないディレクター
ディレクターというのはプロジェクトの現場責任者ですが、
その責任というのは、進行、品質に対して責任を持っているのです。
なのでディレクターがどんなゲームなのか知らない、なんて事はあってはならないですね。
しかし実際には責任者という地位を満喫するだけのハリボテディレクターというのはいるものです。
あるゲームで開始時に「名前を入力する」というのがありました。
ゲームをスタートすると、
『あなたの名前を入力してください』
と出て名前を入れるんですね。
ホラー系のゲームで、入力した名前は最後に名前を喋る、というのに使われます。
最後の場面、忘れた頃にゲームから自分の名前が発せられる、こわー。という趣向なんですが、
声優さんが50音一つ一つ録音したのを並べるだけなんで、今さら怖くもなんともないんですけど、まあそういうものです。
そして一度目のロムを確認に出した時に、
「名前入力しても主人公の名前変わらないんですが、最初のロムだからですか?」
と聞かれる。
主人公の名前が可変だという話は聞いていないし、そういう仕様もないのだが。
「名前入力があって、主人公の名前変わらなかったらおかしいと思わないんですか」
「そんな事までいちいち言わなくてはならないのか。バカかコイツは……」と言わんばかり。
いや別に変えんのは構わないんですけどね。本当にそれでいいんですかね? と3度確認。
その後のクライアントへの見せ会は目に浮かぶようです。
偉い人がプレイ開始。
『あなたの名前を入力してください』
名前入力します。偉い人は純一(仮)という名前です。
あなたの名前、なので「ジュンイチ」と入力しました。
そしてゲームが始まり、結構長めのプロローグ。事件の発端が語られる。
そしていよいよ本編スタート。
主人公が画面に表示される。
これが自分? 画面の中のジュンイチは黒髪の美人。しかも実写。
主人公です、とゲームは進む。
サウンドノベルは普通主人公像というのはシルエットになったりしてボカされるものが多いですが、このゲームはバッチリ描写されます。途中ムービーシーンでセリフもある。
この時点ではまだマニュアルもできていない。あった所でユーザーは基本マニュアルをみないものとして作らなくてはダメです。
これだけ時間たった後に突然主人公これです、とか出されても。今さら名前変える為にやり直すのめんどくさいし。
かくしてマニュアルには『あなたの名前を入力してください』の画面の説明で「主人公の名前を入力してください」と説明が添えられる。
まあ見せ会で突っ込まれた事を「それはマニュアルに記載する事で対応します」とするのはよくある事。
しかしゲームは基本マニュアル見なくてもプレイできなくてはダメです。
おそらくは多くの人間がジュンイチさんと同じ目に遭った事と思います。
僕はてっきり謝ってくるものと思ってましたが、ちっぽけなプライドが上回ったようです。
もっともそれを直したからといってゲームがより面白くなるのかと言えばそんな事もない。
そういうものだと言ってしまえばそれまでです。
上記の例とは反対に、
まるでこちらが勝手に直したみたいな体で修正を回してくる者もいます。
こちらは結果的によいように直るのですが、ディレクターとしてはアホと言わざるを得ない。
どっちもどっちなんですが、開発者としては後者の方がまだマシなんでしょうね。
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