スタッフロール

 ゲームでも映画でもエンディングにスタッフロールがありますね。


 初めて関わったゲームで、スタッフロールに自分の名前が流れてくるのを見るのは感慨深いものがあります。


 もっとも僕の場合、一番最初はウィンドウズのアクセサリー集なのでスタッフロールありませんでした。



 余談ですが、


 僕が管理しているゲームではスタッフロールというのは一番最後に作ります。


 関わったスタッフが出そろうのが最後なので通常後の方になりますが、中にはスタッフロール作成後にもまだ大変な作業が残っている、なんて事もあります。


 スタッフロールを作っていると「ああ、終わったなー」という気がするので、その後に大変な作業が残っているのは正直かなりツライ。



 そしてスタッフロールには画面に名前が出て切り替わるタイプと下からまたは横から流れてくるタイプがありますね。


 この流れるタイプというのが結構メンドクサイのです。


 要はトイレットペーパーのように縦に長い紙に名前をズラーっと書き並べて、それをプログラムで動かしているわけですね。


 その間エンディングテーマが流れるわけです。


 そして曲が終わると同時に最後の名前が出て、ピッタリと終る。


 人間が手でトイレットペーパーを巻き取る所を想像してもらえれば分かると思いますが、ピッタリ合わせるなんて難しい。


 手動なら「間に合わないな」と思ったら加速できますがスタッフロールは常に同じ速度で流れなくてはなりません。


 なので大体の速度を計算して、あとは一度流してみて、早いなと思ったら調整してまた最初から流して確認して、遅かったらまた調整して……を繰り返す。


 エンディングテーマが4分あったら一回の確認に4分かかる。


 その間じーっと流れる名前を眺めていなくてはならないのです。


 最後の行、「提供なんたら」みたいなメーカー名が真ん中に来た時にピタッと曲が終わるように~なんて注文なら大変だ。


 しかも速度というのは自由に変えられるものでもない。


 画面には解像度と言うものがあって、点の大きさの最小単位のというのは決まっているのですね。要するに秒間~ドットというように速度が決まり、0.5ドットというのは出来ないのです。


 計算上はできるのですが、どうしてもガタついてしまう。


 なので必然的にキレイ見える速度というのにも限界があります(今はかなり解像度高いので昔ほどではないですけれど)。


 そんな時は名前を横に二つ並べたり、行間を調整したりと長さで調整します。


「ああ~、やっと終わった~」


 と息をついて清々しい汗を拭いていると、


「スタッフ二人増えたから足しといて」


「ふざけんじゃねえぞテメェ!」


 となんて事も。


 殺しちゃえば「~に捧ぐ」と後に出せるんじゃないか――イヤイヤイヤ。


 流れる文字は早送りできても曲を同じように早送りする事はできない。そんなシステムを導入している所はまずない。それをするくらいならムービー化した方が早い。


 なのでムービーにしている所も多いです。その場合、修正の度にデザイナーに出し直してもらう手間があるデメリットがあります。


 プログラム制御の場合は、プログラマーでなくても調整自体は誰でもできるものです。大抵僕がやってますケド。



 余談ですが、


 昔PC-98 で出したゲームを FM-TOWNS という富士通のマシンに移植し、それをさらにプレイステーションに移植した事がありました。


 移植の度にスタッフは増えていく。


 単純に3倍。エンディングテーマ同じなのにスタッフ3倍ですよ。一回目の移植でも結構速く文字流したのに。


 デザインも変更されているし、仕方なく被っている人は削減、でも期間も空いているから結構人も違う。


 なのでPC版スタッフの大部分は、オリジナルスタッフという括りにして割愛、それでもまだキツイ。


「あの、麻宮騎亜さんと菊池通孝さん一緒にしてもいいですか?(漫画家名義とイラストレーター名義で分かれている同じ人)」


「それはダメ」

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