ローカライズで多国語対応
ローカライズという言葉も今は結構市民権を得てきたでしょうか。
外国語対応の事ですね。
今は誰でもホームページを作れたり、今発売されるゲームやDVDもローカライズされるのがが主流なので耳にする事もあるのではないでしょうか。
昔は英語版、日本語版など別途販売されていましたが、今は一つの板の中に全言語入っているなんてのも珍しくないですね。
機械に所有者の国籍を設定できるので、それを見て出し分けているわけです。
では作る時、これはどのようにして作られるのか?
ゲームの場合、日本国内で作られるものはまず日本語で製作されます。
セリフ、文字だけを別途データベースに分けて作り、後で一斉に翻訳に回します。
なのでデータベースに分けていないとローカライズは困難です。
初めからローカライズ前提でシステムが作られていないといけない。
その仕組みを理解せずに、安易に英語対応――みたいな指令が降りてくる事もありますが、まあこれは今時のエンジニアならローカライズくらい考慮したシステムを始めから作りなさいという話なので、対応しないという結末にはまずならないです。
なので文章主体のノベルウェアでもない限りは大抵考慮されています。
まれに10年前のシステムをいまだ使ってます、で苦労する事もありますけど。
そしてこのローカライズ。問題になる事が大きく二つあります。
一つは背景のビルの看板など、絵の中に書き込まれている文字など。
カベの落書きみたいなものから、グラフィカルな文字まで。
YOU WIN. みたいな文字が派手にアニメーションするものなんかは文字データではなく、もう「絵」なんですね。
こういうのはデータベースに登録できない。
背景の一部なんかはそのまま訳さない事も出来ますが、ゲーム上読めないと困る場合もあります。
そういう物は、文字だけを別途データベースに登録し、翻訳された物を見てデザイナーが絵を各言語ごとに作ります。
これ場合によっては結構な物量になる事もあり、それだけに結構なスケジュールが取られたりもする。
なのでその手の絵が多い場合は言語幅が狭められる事もあります。
そしてもう一つは言語ごとに単語の長さが違う、という事ですね。
同じ意味の言葉でも国によって違います。
「火」と日本語では漢字一文字でも英語では「Fire」半角にしても横2倍。
特に問題となるのはドイツ語で、
ゲームなんかで「挑戦」というボタンがあったら、
英語なら 「Challenge」で、
ドイツ語なら 「Herausforderung」。
ボタンの大きさは一番長い文字に合わせて作らなくてはならない。
当然ですがレイアウトを組む時に、全部の単語を想定できるはずはないのです。完成しないと翻訳できないですから。
なので翻訳が上がってきてから「入らねーよ!」なんて事もしばしば。
そういう時は似た意味で別の単語を探してもらうのですが、中にはこの単語でいきたいのでレイアウトから作り直してよいか、なんてリクエストも。
さすがにそれは、
「お戯れと思しき言葉は適度に休息を挟みながら申し上げて頂けますでしょうか」
というような意味の事をもう少しキツめで相手に伝えますけど。
そんな前例作ってはいけない。どこの世界にローカライズに合わせて仕様切り直す現場があるか。破たんするわ。
余談ですがゲーム「トゥームレイダー2」で、「橋の鍵」というアイテムがありまして、
インディジョーンズのようなゲームなので、きっとカギを回すと橋がガラガラガラと降りてきて渡れるような場面があるんだろう――と思っていました。
しかし使うのは当分先だな、だってここは海の底だし。
海底に沈む船の中を散策。どうしても開かない扉に出くわす。
まさか、いやしかし……、と先ほどの鍵を使うとガチャリと開いた。
なぜ!? と扉を潜った先は……。船の艦橋。
Bridge Key(ブリッジ キー) ね。
誤訳かよ!
おそらくトゥームレイダーでなければそんな間違いしないんでしょうね。トゥームレイダーだから誰もおかしいと思わなかった。
普通ならなんだよ橋の鍵って、となる。
この当時はローカライズではなく日本語版を別途移植製作していたので、言葉をデータベース上で入れ替えるだけで、別途ゲームを通して確認なんてしなかったんですね。
今は同時作成されるので、そんな可能性は限りなく低くなりました。
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