第23話 お姉ちゃん
道場に行くと、フラキさんの仁王立ちで迎えられた。
怖いけど、前ほどじゃない。
「あのぉ、今日も見て覚えるというやつでしょうか?」
上目遣いになりながら遠慮がちに尋ねてみた。
「いや、今日からは俺からの修行は終わりだ」
え?終わっちゃう?まだ私、水魔法と土魔法が使えた事をフラキさんに見せていないのに。
「今日からはワタシが修行をつけるわ」
道場の入り口にお姉ちゃんが立っていた。どういう事?
お姉ちゃんは道場に入ってくるとフラキさんの隣に立って話し始めた。
「フラキさんからの修行は終わりよ。もう、使えるようになったんでしょ?」
「な、どういう事?」
「種類や威力はどうあれ水魔法と土魔法、使えるようになったんでしょう?」
「……使えるようになったけど、どうして分かったの?」
「フラキさんが連絡をくれたわ」
フラキさんが連絡?ますます分からない。
「今回、フラキさんが厳しく『見て覚えろ!』の修行をやったのはサチが甘えていないからこそ、だったのよ。それと土岐高丸家の誇りをもっと感じて欲しかったの。もうサチは今までだってある程度の魔法は出来ていたわ。それを更にとなると普通の修行では難しい。魔法は精神エネルギーとそれを唱える想いだから。精神エネルギーを高める事と、魔法にかける想いを強くするために精神を鍛えたかったのよ」
「だから『見て覚えろ』を?」
「サチ、あんたは甘えるどころかワタシに代わっていきなり家督を継ぐ事になったにも関わらず不満の一つも言わずに14歳の時から藤春家に行ったわ。そして真面目過ぎる。キツイ事、無茶な事を言われても投げ出さない。だからこそ、追い込まれた事によって自分で魔法への想いを練り上げてくれるはずだと思ったのよ」
「それは……エレナさんや、タロウ様、ハナコ様などが応援してくれて私を励ましてくれたから」
「ほら、アンタは自分が頑張ったと言わない。本心から謙虚なのよ。だから追い込んだのよ。ごめんね」
「お姉ちゃん……。それとフラキさんはどうして私が魔法を習得したのが分かったんですか?」
「昨日帰ってきてから帷子を脱いでいたから」
「帷子を脱いで?」
どういう事?確かに昨日、帰ってきてフラキさんと挨拶した後に着替えたけれど。
「ハナコさんがつくった帷子は特殊帷子だ」
だから何と?っていうか何故、フラキさんがあの帷子をハナコ様が作ってくれたって知ってるの?
「フラキさん、この子には全部内緒だったのよ。もう話しましょ」
お姉ちゃん、何言っているの?意味が分からない!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます