第22話 習得
依頼は予想通り1日で終わった。
明日からまたお互いに修行に戻って、今回の修行をやり遂げなければならない。
また見て覚えろの修行だろうか。
でももう大丈夫。エレナさん、タロウ様にハナコ様、みんなにヒントをもらったわ。
「ねぇサチ、フラキさんが家督を継ぐつもりがなかったと甘えてるんじゃないか、なんて言っていたのは……」
「待って!そこは私が答えなきゃ」
タロウ様の言葉を制してから大きく深呼吸をした。
魔法は遺伝で使える、けどそれだけじゃない。
魔法を出す力は精神エネルギー。心で念じる想い。
今までそれなりに依頼を受けながら魔法も使ってきた。
そんな私が更に新しい魔法を使えるようになるには
もっと精神エネルギーも念じる想いも
強く感じなければいけないものだった。
フラキさんはそのために私に見て覚えろなんて、突き放していたんだ。
今私がステップアップするのに必要なのは手取り足取り教えてもらう技術ではなく
家督を継いだ事の誇りと責任、私なりの決意、そしてご先祖様たちから受け継いだ土岐高丸家の血を意識する事だったんだ。
ご先祖様たちから受け継いだこの魔法を唱えられる精神エネルギーを認識しないと
念じる想いがこもらない。
「私は土岐高丸サチ。土岐高丸家の家督を継いだ者。それに誇りを持ちます」
そう宣言をし祈るように手を組み合わせた。
組み合わせた手の前から薄青い球状の物が出現した。
「サチ!それって」
私は出現させた薄青い球状の物をサッカーボール大ぐらいにしてから二メートルほど先の地面にぶつけた。それは激しく弾け、そして地面に穴をあけた。
「出来たじゃん、それって水魔法だろう?サチは水魔法使えなかったのに」
「はい、出来ました」
フラキさんが唱えているのを見ているだけだった時には、どう出現させるのか
まったく分からなかった水魔法だけど
今やっと、想いの込めかたが分かった。
「でも地面に大きな穴あいちゃったね、ははは」
そう笑ったタロウ様は私が次に唱えた土魔法によって驚きの表情へと変わった。
「地面の穴も元どおりにしてみました!」
私は水魔法だけでなく、土魔法も習得した。
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