第21話 魔法薬

今回の依頼はダンジョンの奥にある泉の水を汲んでくるというものだ。

フェアリーダンジョンというところなんだけど

場所としても近いし、ダンジョン自体も浅い。

けれど魔物がそれなりに強いというのが今回、一番の試練になっている。


ここの泉の水は超軟水で普通に飲んでもとても美味しいのだが

胃腸系の魔法薬に使用すると、一般の薬よりはるかにいい効果の物が出来る。

そのために重度の胃腸系の病気の魔法薬の材料に使われる。


魔法薬に使う水は、採取してすぐに魔法薬に使う用の魔法をかけないと鮮度の影響もあって

効果が薄れてしまう。

そのためにその魔法が使える者が採取に行かないと

魔法薬に使う水は採れないのだ。

そんなに難しい魔法じゃないので私も使える。

なので私の仕事は魔法薬にする前段階まで採取後に魔法をかけておく事。



「サチは魔法薬も作れるだろう?今回の依頼、前段階までで良いの?」

「特別な医療機関などで使う魔法薬だから私程度の知識や技量の魔法使いより、それ専門の魔法使いが作った方が本当の本格的な魔法薬になるのよ。私のは民間療法程度」

「そうなんだ、改めて凄いなと思うよ」

「何がですか?」

「サチがだよ、そして土岐高丸の家の魔法使いが」

「何故、そんな話になるんですか。私の魔法薬は民間療法程度だって言ったのに」

「でもそれ、俺は出来ないよ?サチだから、土岐高丸の家の者だから出来るんだよ。凄い事なんだよ」

私が土岐高丸の家の者だから魔法薬が作れる。そして魔法も使える。


エレナさんが首の下から鎖骨の辺りまでが冷えない家系だと言っていたけれど

それはエレナさんがそういう家の者だから。

タロウ様は剣を使って魔物を倒せる力と技を持つ家の者。

私は魔法が使える家の者……。


何だか少し、新たな魔法を使うための物が見えた気がした。

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