第13話 更に緊張

道場に行くと瞑想のように胡座をかいて座っている40代ぐらいの男性がいた。

髪が短く角刈りのような髪型をしているので、何だか怖そうな人に見えてしまう。


「すみません、遅くなりました。土岐高丸サチと申します」


道場の入り口からお伺いを立てるように声をかけた。

目を開けたフラキさんは目つきも鋭く怖そうだった。


入り口にずっといるわけにもと思い、フラキさんの前まで行き正座した。

誰が座っていいと言った、とか言われるかと思ったが

フラキさんは何も言わない。


よくあるじゃない?そういうの。

いかのも言いそうな雰囲気出してる人だったのだもの

緊張してドキドキしてしまった。


初めて会うんだし、自己紹介とかしてくれないのかな?と思ったが

「フラキだ」

しか言わない。

ちょっとした沈黙が流れる。


今までも一族の人に指導を受けながら修行した事は何度かある。

けれど学校の先生のような指導であって

今回のように、何かの気むづかしい頑固な職人さんみたいな態度の指導者は初めてだった。


「あの、よろしくお願いします」


沈黙を破りたかったのと、この先どうすればいいのか知りたくて

更に挨拶をしてみた。


「今回、何を修行するか分かっているか?」

「あ、あの一人前の魔法使いになるための卒業テストみたいなもの、ですよね?」

「テストについて俺は特に教えない。ただ、一通りの魔法は見せて行くから見て覚えろ」

うわ、見て覚えろなんて、やっぱり頑固な職人さんみたい。


不安と緊張で怖くすらなってきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る