第2部

第11話 第2部 修行

 土岐高丸家は、藤春家(勇者家)に仕えているが決して下では無い。旅の最中に身の回りのお世話をする事もあるが、それは戦いや依頼がスムーズにいくようにするためのフォローなのだ。


 子どもの頃から、そう教わってきたからだろうか?タロウ様に対して、さまを付けるものの決して下というか家来という感覚では無かった。

 藤春家の方々もそれを認識してくださっているのか、旦那様や奥様も私が藤春家に住み込んで家事をするようになってからも私の事を娘のように扱ってくださっている。


 ルイスの山でのドラゴン退治から三ヶ月。もう少ししたら私とタロウ様は世間一般でいうところの高校3年生になる。

 と言っても、私もタロウ様も高校には行っていない。

 勇者や魔法使いの養成科のある高校もあるが藤春家も土岐高丸家も家督を継ぐものは高校に行かずに実践での修行に入る事になっている。


 中学を卒業してから私は藤春家に住んで、タロウさまと魔物退治の依頼を受けるようになった。

 それは一人前になるための修行の第一段階だった。そして、高校3年生になるのと同じ時期に私たちは新たな修行に入る。それが一人前になるための最終段階の修行になのだ。

「タロウ様、明日からしばらくお互いの修行に入りますね。少し寂しいけれどもっと強くなって戻ってきます。タロウ様もお怪我などされない様、頑張ってくださいね」

「うん、ありがとう。サチも気をつけてね」

 明日からの修行は、それぞれの家の先輩たちから教わるもので、私は土岐高丸の家の本家の屋敷で。タロウ様は藤春家の別荘にて行われる。

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