第8話 水

やっぱり私の魔法では、広がらないようにするのが精一杯で消す事までは出来ない。それも残り少ないパワーではそれほどは持たない。どうしよう……。

 そう思っていた時、向かいの方から勢いのいい水が放たれてきた。


「タロウさーん、サチさーん、ご無事ですか?」

 ダニエルさんの声だ。

「こっちです」


 炎の先を覗き込むと、傘のようなものを持って放水しているダニエルさんとエレナさんがいた。二人の持つ傘からは何故か大量の水が噴射されて、火は見る見るうちに鎮火していった。


「助かりました」

「良かった。中腹辺りから煙が見えたので、何かあったのではと思い駆けつけたのです」


 山火事は落ち着き、ドラゴンと戦っているタロウ様の方に行ってみると、まだ苦戦しているようだった。無理も無い。いつも二人ががりで戦うところを一人で戦っている上に、私がかけた氷魔法はすでに溶けてドラゴンは自由に動けるようになっていた。

 再び私は残っている力を使って氷魔法をドラゴンの足めがけて放った。


 そしてダニエルさんとエレナさんが先ほどの水が噴射される傘でドラゴンの目元を狙って水を打ち込む。視界も動きも止められたドラゴンにタロウ様の剣がトドメを刺した。

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