第7話 ドラゴン

翌日、私とタロウ様はルイスの山に登っていった。宿の女将さんに聞いたところ、ドラゴンは山の中腹辺りの草原を好んで居座っているという。

「タロウ様、戦闘方法はいつものように私が氷魔法でドラゴンの動きを軽く止めますから、そこからタロウ様が攻撃してくださいね」

「うん、分かった」

 私の氷魔法は、威力が小さいので大きなダメージを食らわせるまでにはいかない。けれど短時間でも敵の動きを止めるのに使う事が出来る。

 五合目辺りの森を抜けた草原のようになっているところまで辿り着くと女将さんが言っていたようにドラゴンが眠っていた。

 私たちの到着にニオイで変化を感じたのかドラゴンが目は閉じたまま鼻をヒクヒクさせている。急がなくては。

 私はドラゴンの足を狙って氷魔法を放った。ドラゴンの足が氷で固められる。けれどそれによってドラゴンが完全に目を覚ましたようだ。

 タロウ様が動けないドラゴンの額目掛けて剣を振り下ろしに行く。けれどドラゴンは向かっていったタロウ様目掛けて炎を吐きかけた。それをタロウ様は横に避ける。そのまま今度は胴体に向かって剣を振り下ろしに行こうとした時、ドラゴンは自分に攻撃してくるタロウ様では無く木が生い茂っている森の方に向かって炎を吐き出した。

 タロウ様の振り下ろした剣はドラゴンに軽いながらも傷を負わせた。けれどドラゴンはそれを気にする事無く、更に森に向かって強く炎を吐き出したのだ。

「どうしましょう、このままでは山火事になってしまいます」

「サチ! 氷魔法で何とか炎を鎮められないかな?」

「駄目です。私の氷魔法では威力が少ないので焼け石に水になってしまいます」

「それでも何もしないよりマシだろう。何か他に手立てが見つかるまでサチは山の方を頼む。俺はドラゴンの方を何とかする」

「はい」

 何なのこのドラゴン。自分が気に入って住み着こうとした山を焼いてしまうつもり?

 これ以上、森に炎が回らないように私は必死で氷魔法を唱えた。

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