三十日目

祭りは今日の昼で終わりだった。

終わりを告げるのは町長だ。中央広場でくじ引きが終わったあとに行われる。

このくじ引きというのは街の人間全員に3桁の番号が割り振られ、その番号が読み上げられたものが景品を取得できるシステムである。

とはいえ家族世帯やら老人夫婦、ドワーフのおっさんやら不良神父、それから俺らみたいな冒険者まで多岐に渡りすぎているわけで。

全員が喜ぶものを用意する、なんて不可能だから子供が喜ぶものを用意することになる。この街の人々は子供好きが多いのだ。それに、幼い頃からここで育っている子は同じように子供本意で景品を選ぶ。良い循環だ。


ちなみに今年は

特賞:特大メアぬいぐるみ

一等:玩具各種(三千円~五千円くらいのもの)

二等: 同上 (千円~千五百円くらいのもの)

三等:ケーキ五種

四等:お菓子の詰め合わせ


……まあ実はこれとは別に大人だけ集めてやる酒くじもあったりするのだが。カンパ出し合ってやってることだから見逃して欲しい。

ミリーはメアのぬいぐるみに目を輝かせていた。なんだかんだお子様である。

ここでそれを当ててプレゼントでもすればかっこいいのだろうが現実はそんなに甘くはない。代わりに当たった三等の景品を渡しておいた。それでも嬉しそうにしてくれるのだからいいやつだ。


ところで昨晩の、いや祭りが終わる直前まで飲み続けていたんだが、飲み会はこれまた盛り上がっていた。

無礼講だ、と各々が秘蔵のツマミやら酒やらを持って集まるのである。

なかでもあの不良神父のが特別美味しい。

……つーかこの前も飲んだがあの神父、どうやって酒仕入れてんだ?しかもなんかめちゃくちゃ酒強いし。

それにしてもみんな真っ赤な顔して飲んでいたが、明日大丈夫だろうか。

ま、それは俺もか。

明日起きてこの日記開いた時、まともに読める字書けてるんだろうか。


……今日で、一ヶ月か。

明日からのことは、あとで、かんがえ よ う……

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勇者の日記 蒔田舞莉 @mairi03

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