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「見苦しい」


少女らしからぬ声音が辺りに空気のように広がった。


「境界の審判、並びに魂の管理補佐官の名において」


鈍い音が更に広がっていく。


どれだけの苦痛を感じても決して死することができない、許されない力。


「両二名を永久なる苦痛と恨みの晴らされる場への幽閉を命じる。許可ならば門を開けよ」


ぐりゃりと世界が歪み、部屋内の全てのものを吹き飛ばす程の強風が吹き荒れた。


その間にも二人の体は奇妙に歪み、鈍い音が響き続ける。


風の影響を一切受けることなく、宙に浮き続ける少女は手を下ろした。


がこんっと少女の背後で何かが開く音がした。


それは少女専用の赤い審判の門。


「受理して頂けたこと感謝する」


少女の言葉と同時に門が空気を吸い込んだ。


少女以外の物を容赦なく吸い込んでいく。


歪み続ける二人が勢いよく、少女の横を通り過ぎて吸い込まれていくのを少女は無言でちらりと見ただけだった。

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