1-12

二人でイルミネーションを観て、彼が予約した場所でディナーを食べ、彼女の為に購入した鞄をプレゼントした。


「ありがとう。嬉しいわ」


くるくるとした猫のような瞳を細め、にっこりと笑う彼女の姿は明らかにいつもと違う人物だった。


(この人は誰なんだろう)


妖艶に色気を振りまき、大人っぽく笑う彼女を彼は知らない。


大体、大学生にはすぎるブランド物を持ちすぎている。


次第に不安になっていく彼の気持ちを知ってかしらずか彼女は目の前で楽しそうに話し続けている。


このとき、彼は気付くべきだったのかもしれない。


彼女の瞳が一切の光は放たず、笑っていなかったことを…。

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