1-6
その日を境に二人の距離はどんどんと近づいて行った。
彼女のおかげもあり、彼は周りの人達を友人と呼べるようになり、疎外感を感じることもなく大学に馴染むようになった。
「人付き合いって大切なんだね」
そう言って彼女に感謝の言葉を伝えると、彼女は変なのっと無邪気に笑った。
彼女と何回目かのデート。
季節は夏になっていた。
最近では、彼女の行きたい・食べたい・見てみたいという要望が増えてきた。
毎回、自分の分は払うよという彼女の申し出を断り、支払っていた彼はお金が足りなくなってきていた。
彼の両親も心を鬼にとは言っていたが、やはり心配なのか彼にはお小遣いを渡していた。
頼めばその金額も増やしてくれるだろう。
しかし、それは彼の望むことではなかった。
「もっと人と関わった方がいいし、自分の分は自分で働いて稼ぐよ」
両親のお金でいつまでも遊んでいるわけにいかないと思ったのか、彼は両親からのお小遣いを断り、バイトを始めた。
1ヶ月の給料は両親からのお小遣いより少し多い程度。
その中でやりくりし、足りないと判断したときは彼女とのデートを断る。
デートを断っても彼女は嫌な顔一つせずに笑顔で仕方ないねと無邪気に笑ってくれる。
「次に期待してるからね」
茶目っ気たっぷりにそう言って寄り添ってくれる彼女。
彼女の髪を触る度に彼はその時間が幸せで尊いものだと感じていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます