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これではいけない。
自身を奮い立たせ、ぎこちないまでも人との交流を試みた彼の目の前に現れたのが彼女だった。
「そんなに緊張しなくても大丈夫よ」
同じ学課の少し親しくなったグループのなかに彼女はいつの間にか現れ馴染んでいた。
気さくで人懐っこく、面倒見のいい彼女は誰とでもすぐ打ちとけ仲良くなっていく。
その姿に憧れを抱いていたからかもしれない。
彼はいつの間にか彼女を目で追いかけるようになった。
くせのない真直ぐな肩までの髪を少し茶色に染め、猫のようなくるくるとした瞳を輝かせ、バイトの規則に違反しない程度に綺麗に手入れをしたネイル。
その全てが愛おしく思えた。
「ねぇ、今度、映画に行かない?」
その想いが届いたのか、ある日、彼女が彼にそう言った。
但し、二人でよ?
悪戯っ子のように笑う彼女の表情を彼は未だに覚えている。
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