第四球目「兄達は心配なんです。」
...私と大吾が付き合い始めてから数週間後。
「あ〜最近あのねーちゃんこねーな。」
「大吾〜あのねーちゃん知らね?」
「今日は来るって言ってたけど...っていうかなんでみんな気にしてるの?」
「え〜...だって...あのねーちゃんエロいじゃん。胸でかいし。可愛いし。」
「エロっ...!?そういうの、よくないよ!」
「ほんとほんと。」
「...っ!?ねーちゃん!?」
「まったく...胸でかいかなぁ私...ま、せいぜい練習して可愛い彼女作りな。」
「くっそー!ねーちゃんちゃんと見てろよー!大吾だけじゃねーんだからな!」
へー...ちゃんと大吾の実力は認めてるんだ...。
「んじゃ、練習後でな、大吾。」
「う、うん。」
...こんな所にグラウンドがあったとは...
「ほえー...小学生の頃の友樹みたいな感じだな大吾...さっきのセクハラ小僧もそれなりにうまいじゃん...」
...もしかしなくてもあいつは...
「...美穂?」
驚いた。
こんな所で美穂と会うとは。
「あ、お兄ちゃん。おいっすー。何やってんの?ちなみに私は小学生の野球練習ずっと見てる。楽しい。」
「適当にブラブラしてた。」
「私と一緒の辿り着き方。」
「ふーん...ここ、いい所だね。」
「あ、わかる?落ち着くんだよね〜」
「バレてるから隠す必要はないよ。」
「ちっ...和馬か...」
美穂、鋭いな。
「うん。美穂はショタコン気質あると思ってたけど、小六と付き合うとはね。」
「うっ...だって大吾可愛いし...」
「出来上がってるショタコンじゃん。」
「私はブラコンでもあるんだよ?」
「あーはいはい、情熱的な告白情熱的な告白。受け取っとくよ。」
「リリースしてんじゃん。彼女持ってる男に彼氏持ってる女が告白とか一番ありえないし。」
「うん。わかってるよ...あの子うまいね。あの子が大吾?」
「うん。かっこいいよね〜」
「...どっち?」
「かっこいいけどかわいいの!」
美穂はからかうと結構可愛い反応をする。
やり過ぎると怖いからあまりからかわないようにしてるが。
「...筋がいいね。フォームとか、送球とか走塁とか、打撃もしっかりとしている。」
「お兄ちゃんから見てもそう思う?」
「あぁ...うーん...一言、友樹だね。」
「だよね。」
「ちょっと考えて打ってたりする分にはあの時の友樹より上手いかも。」
「それなりに賢いんだよあいつ。」
「へー...じゃあ僕そろそろ帰るね。」
「おう。転ぶなよ。」
「小学生の頃の話はやめよっか...?」
...小学生の頃僕は物凄い転び方を何も無いところでするという謎のことをしてしまいそれ以来美穂には弄られている。
「うわっ!?」
「ぶふっ...また何もないところで転けてる...アハハハハハハハハハハハ!!!」
「...うぅ...笑うなぁ...」
「終わった!」
「おう、お疲れさん。」
「途中のあの人、誰?」
「あ〜お兄ちゃん。」
「女じゃなかったんだ...」
「あれでも男らしいよ。現役高校生野球部員だけど、上手いし筋があるってさ」
「ほんと!?やったー!」
「可愛いなぁ大吾お前...」
思ったことが普通に声に出てしまっているがいつもの事なので大吾は気にせず話をする。
「あ、そうだ。海斗がごめん。」
「あ〜セクハラ小僧か。気にしてない気にしてない。」
何とも思ってなかったので、私は笑ってそう答える。
「...後美穂は胸でかいと思うよ。」
「ほう?そういうの、興味あるんだ?」
「そ、そりゃ...うぅん...ある...」
「エロガキめ。」
「うっ...ごめん...」
「素直で偉いとは思うけどな。
...ちょっと目を閉じてな。」
「えっ...」
「あぁもう!早く閉じろ!」
「わ、わかった...」
「...開けるなよ。」
頬にキスをしてやる。
この程度で満足してくれるなら今はとても助かるのだが...私の理性的に。
「...今はこれだけだな!」
「え、あ、み...」
「うっわ〜...大胆...」
それを覗いていたと思われる和馬が声を上げたので、私は人を殺せそうな目で睨む......が、駄目だ、全く効いてない。
「あ、兄ちゃん!」
「覗き魔。」
「人がいるかも知れないのによくキスなんて出来るな。」
「...ふっ...気付いてないと思ってたの?見せつけてたんだよ。『彼女いない男』にね!」
「...お前の方が大吾より餓鬼だよ...」
痛い所を突かれて固まりながら和馬がつっこむが、いつものように勢いがない... かずまにこうかはばつぐんだ!
「兄ちゃん!怒らせると美穂怖いんだから煽っちゃだめだって!」
「...知ってるよ...どれくらいが怒らないとかは見極めてるつもりだ。」
「悲しいことに本当に見極められてるのよね。さ、邪魔者は野球部らしくランニングがてらに走って帰れ!」
「美穂!てめー大吾に変なことすんなよ!」
和馬が家の方向に走っていく。
「...さて、邪魔者が消えたね。」
「...う、うん...」
「...大きくなったらこれ以上でもなんでもやってあげるからさ。」
「...約束だぞ!」
「おう。勿論。約束だ約束。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます