秘密の朝
なんなんだ、この頭の痛さは。
コンタクトをしたまま寝たみたいで目が開かない。
目をパシパシさせて、段々と涙がたまるとやっと開けることが出来た。
「あれ、ここどこ?見たこともない部屋?」
え?、ここって男の人の部屋?でも見回すと誰もいない。
パニック。
頭の中が?????
何とか記憶を思い起こす。昨日はカラオケにいって、、、
断片的に思い出して来た。
あれ?私ブラしてない。Tシャツ一枚だけ。それに下はショーツだけ。
シャツを引っ張って隠しながら恐る恐る部屋の扉を開ける。
部屋を出て、階段を降りると、見知ったリビング。沙良の家だ。
ということは、ミチルの部屋だったの?
なぜ?
ミチルと沙良はどこ?
私、どうしてミチルの部屋で寝てたの?しかもこんな格好で。
リビングのソファーにしゃがみ込むと、後ろから扉が開く音がした。びくっとなって振り向くと上半身裸のミチル。
「お、目が覚めたか芽衣。どうだ、気分は」
「あの、私なんで・・・」
まともに顔を見れなくて俯くと、自分の恰好に気づく。
「きゃー」
慌ててクッションで隠した。
「今さらなに恥ずかしがってんだよ。すっきりするからシャワー浴びて来いよ。脱衣所にお前の服あるから」
そぉ言って階段を上がっていった。
「ねぇ、あの、ミ、ミチル。ちょっと待って」
訳が分からないままリビングで茫然とする私。
(今さらなに恥ずかしがってんだよ。)ってどういう意味?もしかして私・・・。
のそりのそりと、お風呂場に入った。
シャツを脱いて、ドキドキしながら自分の体を点検したけど、特に違和感はない気がする。
訳が分からないままシャワーを浴びてお風呂から出た。
脱衣籠には昨日着ていた私の服、とその下にはブラとストッキングもある。
服を着てお風呂場から出ると、沙良がいた。
「沙良ーーーーー」
半泣きで沙良にしがみつく。
「芽衣?どうして家にいるの?たしか昨日、ミチルが家に送っていったんじゃ無かったっけ?まさか・・・ミチルの部屋に泊まってたの?」
「わたしどうしょうーー。なにをしたのーー」
あまりの悲しさに沙良に抱き着いたまま泣いてしまった。
「おい沙良、いいかげんにしろ」
「いたっ」
ミチルの声がしたと思って顔を上げると、沙良がいたずらっぽい悪い顔になって笑っている。
「これくらいイジメないと割に合わないわよ~」
「ど、どういうことー」
「おまえ、昨日酔っぱらったのは覚えてるよな。カラオケのロビーにいたことは?」
「・・・うん。覚えてる」
「その後、結局寝てしまって、俺と沙良でここに連れて帰った」
「ご、ごめんね。ありがとう」
「家に戻ってからの事は覚えてるか?」
「え、いや・・・」
「だろうな」
「わたし、何かしたのかな?」
「吐いた」
「え、うそー。ごめんなさい。ほんとごめんなさい」
そこまで、黙って聞いていた沙良が笑いだした。
「しかも服脱ぎだして。見事な脱ぎっぷり」
「えーーーーっ」
「あ、言っとくけど俺は見てねえからな。お前が吐いたから部屋に着替えに戻ってる間の事だ」
「あたし、死にたい」
「まぁ、まぁ。今はこれ以上聞くと立ち直れなくなるかもだから、この辺にしといてあげよっかなー」
沙良ってばひどい、っていうか自分のせいだけど。
「あぁ、そうしとけ」
「もう十分に立ち直れそうにないんだけど・・・、まだ何かしでかしてたの?」
冷蔵庫を空けながらミチルは、「芽衣なんか食べれそう?」とミチルが聞いてくれた。
「このまま何も食べずに死んでいきたい。なにも入りそうにないよ」
「じゃぁ、これでも飲んどけ」
そういってスポーツドリンクをくれた。
「でも、意外だったなー。芽衣がカラミ上戸だったとは」
「ほんとにごめんなさい。迷惑かけて。このお詫びはかならずします」
今日はとりあえず、いったん家に帰って反省しよう。
「はーーーっ」
家に帰ってからも、ため息しか出ない。
まさに醜態を見せてしまった。
ミチルはどう思っているのか怖くて聞けなかった。
京都に来てから、いろんなことがあったけど、最近私たるんでる。
自分の事、学校の事、もっと真面目に考えなきゃ。
ちゃんとしなきゃ、沙良やミチルに置いて行かれちゃう。
ぼーっとしていると携帯のバイブが鳴って、びっくりして画面をのぞいてみるとお母さんからのメールだった。
「芽衣、元気にしてる?学校はいつまでなの?夏休みに入ったら一度こっちに帰ってきて引っ越しの準備を手伝って欲しいわ」
そうだ。夏休みだって浮かれてばかりいられない。補講もあるし、家の手伝いもある。それにミチル、、、旅行に行くって言ってたし。
休み中会えないのは寂しいけど。
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