〇月25日(日) 記録者:海塚 琴音、他。

・海塚です。

 この地域における神隠しですが、伝承では我が神社にて封じられている荒御霊の仕業とされています。ただ、調べてみたところその痕跡は見られませんでした。


・あかり。遅くなってすまない。

 井上のおっさんによると、神隠しのような能力持ちは結構いるみたいだが、あかりとひかり両方を察せられることなく連れ去るほど強力な存在はいないという話だった。


 そこで海塚とも話して、そっちで確認してもらいたいことがあるんだが。

 この間から確認している、街の淀みがあったポイントを回ってみてくれないか?

 そこに変わらず淀みがあるかどうかを知りたい。


・兄様。海塚様。わかりました。やってみます。

 ただ、今日はもう暗くなってしまうので明日でもよろしいでしょうか。

 こちらは街灯がつかなくて、暗闇を歩き回るのは危険な気がするのです。


・それは……。わかった。無理はしなくていい。

 どうか自分の身を守ることを優先してくれ。


・はい兄様。

 あと、昨日あのあと考えてみて気になることが。


 海塚様に言われた時は出てこなかったのですが、考えてみれば。

 ここ数日呼ばれても気づかなかったり、17日の日誌にあるように、ひかり様の時に大声を出しても気づかれなかったり。

 そういうのが、今考えると何かの予兆だったのではないかと思うのです。


・海塚です。17日の喫茶の件読み返してみました。櫛見君は本当に心当たりがないと言っているわ。

 ええっと、光里さんは字が書けないのよね。読むことはできるのならやり取りできるかしら。

 ダメか。すみません灯里さん、櫛見君に聞きました。


・こちらこそすみません。

 兄様がひかり様と契約したことで、あかりとひかり様とでは直接やり取りできなくなってしまって。


・いえ。光里さんなら何か感じ取ることもできるかと思ったのだけれど、やり取りができないとなると難しいわね。

 あれ、でもそれなら光里さん状況わからないのよね。

 まって。光里さんに切り替わっている時に何かをして、あるいは何かと戦って、そこに行ってしまった場合、灯里さんはその経緯を知ることはできるのかしら。


・ズボンのことも気づかなかったように、あかりが眠っている間、ひかり様が出ている時のことはわかりません。

 あ、すみません。そろそろ字が見えなくなってきました。今日のところはこれで。


・ああ。今はゆっくり休んでくれ。

 こちらは引き続き手がかりを探すから、安心して待っていてくれ。

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