〇月26日(月) 記録者:大神田 萠、他。

・萠です。今皆出ています。櫛とか、呪術儀式でルートを回るとか、やるみたい。

 神隠しの対処法らしいんだけど。

 助けてもらってばかりで、こんな時に何もできないのが口惜しいなぁ。


・そんなことはありません萠様。萠様が居なかったら、ノートに気付いてもらえなかったかもしれません。

 今も。外界との繋がりがあるだけで、安心できています。

 私たちは似た境遇で、背負った業は違いますが、あかりは萠様のおかげで助かっていますよ。


・いや私が励まされてどうする!!

 全く、みんなお人よし過ぎ。


 似た境遇ねぇ。

 流石に私には、鬼神をその身ごと封じるなんて想像もつかないけど。


・霊的に強く、巫女の素質がある。あとは時代の差ではないでしょうか。

 あかりが生まれた時代は、とかくそういったものの影響は大きかったですから。


・まぁでも、なんとなく裕哉君が必死になる理由はわかるかなぁ。


・兄様ですか?


・うん。

 そんなことがあって、何年も眠っていたあなたたちの封印を解いたんでしょ?

 そうなったらもう、幸せになってもらわないと。

 あ、帰ってきた。例の調査はできたのか? だって。


・そういう、ものでしょうか。

 あ、はい。日が昇ってから見てまいりました。

 簡略ですが地図も描きますね。


 結論から言うと、淀みはありました。

 ただ、ちょっと気になることがあって。

 丸をつけた部分の淀みだけが、そちらより薄いみたいです。


・というか何の話をしているんだお前ら。


・兄様、女子トークを盗み見るのはいけませんよ?


・海塚です。なるほど。

 原因の特定ができなくても、その領域を感知さえすれば道を繋げられるはずです。

 櫛見君と少し商店街のあたりを探ってみます。


・何が影響して切り離されたかはわからないが、直接どうこうしてこない以上何者かって線は低いと見ている。そこは安心して良いだろう。

 ま、いざとなればひかりが居るんだ。一人じゃない。ノートの先には俺たちも居るしな。

 それじゃ行ってくる。


・はい兄様。二人ともお気をつけて。



・行っちゃった。

 この、淀み? が薄くなってるところって何かあるの?


・特に何かというわけではないのですが、このあたりを中心に薄くなっているみたいで。

 兄様と海塚様は、淀みが「多世界に渡ってのもの」故に、そちらは遠く。淀みが同程度の、商店街のあたりがこちらとそちらが近いと読み取ったんだと思います。


・そっかそっか。でもなぁ、なんかあった気がするんだよねぇこのあたり。なんだったかなぁ。

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