八話、夜叉美濃
山中は今度こそ常識人が来てくれるように祈りながらとあるところに向かっていたのである。それはこの一帯で一番人口が多い、魔人である。元々は人であったがとある理由で魔人になった者たちである。そのために人間に一番近い種族である。だが、そのために変な者たちが集まっているのでないかと心配になっていたのであった。今回は一人で向かうことにした。人数が少なければ向こうも警戒はそんなにしてこないだろうと考えたのである。だが、正直なところいつもついてくる二人が問題を起こすために連れてこなかっただけであるが。
しばらくして魔人の町についてみるとなぜかゴボルトやリザードマンたちがたった一人の男に撃退されたみたいで山のように積もっていた。山中は山のように倒れていた者たちを回復魔法で治療をした後にリザードマンとゴボルトたちに何が起きたのかを尋ねたのであった。そうしてゴボルトたちが当時の状況を説明したのである。
リザードマンとゴボルトたちは先に魔人の町を様子を見てこようとした。もちろん山中にそんなことは説明なしで。そうして様子を見ていたら一人の魔人らしき人と町の外で見つけ話を聞こうとした。ついでに方法はこんな風にしたのであった。
「姉ちゃん、俺たちと少しお話をしない。悪いことはしないからさ。」
そんなセリフを言いながらナイフを舌で舐めながら言った。山中はそれはどう見ても危ない奴にしか見えないがそれとリザードマンたちは
「ついでに自己紹介するが俺たち、リザードマンのネタに命を懸ける志は世界一ーー。ついでだがネタを披露するから感想をくれ。」
山中はリザードマンたちに言いたいことはお前は本当に何しに来たと突っ込みを入れたいところであったが今はそんなことよりもどうしてこんな風になった経緯を知りたくて無視したのである。そうしてゴボルトたちが説明を続けた。
そんな風にしていたら一人の傷だらけの男の魔人が出てきてその者がそこのゴボルトとリザードマン。その女性を解放してやれ・・俺の刀を抜く前にな。
ゴボルトはそのセリフを聞いてこれは噛ませ犬になれるチャンスじゃないかと感じ事態をさらにややこしくしたのである。噛ませ犬魂が燃え上がったのであった瞬間である。
「兄ちゃん、俺たち相手に一人で戦う気かよ。面白いじゃないか、野郎ども行くぞー。」
そうしてその場に乗ったリザードマンたちもゴボルトに続いて
「俺たち、魔王軍を甘く見るじゃないぜー。」
山中はいきなり意味わからない展開が繰り広げられたが冷静に考えリザードマンとゴボルトたちに言うのであった。
「どう見てもお前たちのせいじゃないか。なんで話を聞こうとしただけでそんな展開になるのだ。それにいつから魔王軍となったのだ俺たちはそもそも魔王は・・もしかして俺なのか。ふざけるなー、俺は魔王になるつもりはありません。それにお前たち。今から魔人たちに謝りに行くぞ。」
そうして山中は本当にあの二人を連れてこなかったと思うのであった。もしいつものシナリとチャコがついてきていたらさらに大惨事になっていたに違いない。長年の勘がそう言っている。
それから山中たちは魔人の町の入り口で立ち止まり山中が話し始めたのであった。
「我は山中将と申すものでございます。つい先ほど我の配下のゴボルトやリザードマンたちが大変迷惑をかけたことをお詫びと話をしたくて来ました。どうか、責任者を呼んでいただけないでしょうか。」
山中は頭を下げてそういったのである。そうしてある男が出てきたのであった。
「まさか、大将自ら謝りに来ると思いもしなかったでござる。俺がこの町の大将をしているものでござる。山中殿、頭をあげてください。今回はこちらの女性は危害がなかった。今度はしないと言ってくれるなら別に怒りはしないでござる。」
山中はこの世界に来てようやく常識人に出会えたと思ったのである。そうして山中はありがとうございますと言って向こうが話をつづけたのであった。
「それで話は何でしょうか。あんまりい話ではなさそうなのは何となくわかるでござるが。」
山中はこんなタイプは遠回しよりも直接話したほうが良いタイプだと思い素直に用件を言うのであった。
「さようでございますか。なら言わせていただきます。我が配下になっていただけませんか。もちろん魔人たちには今まで以上の繁栄は約束します。どうかお願いします。」
その男は間を置いてから答えを返すのであった。
「そうでござるか。お主の瞳はまっすぐで信じられるものを感じられるでござるが腕はいかな者でござろうか。流石に弱い者について行くことはないでござる。そう言えば自己紹介がまだでござったな。某は原虎胤と申す。別名は夜叉美濃と呼ばれているでござる。」
それを聞いた山中はどこかで聞いたことがある名前だなと思い昔を思い出してみたら日本にいた時に腐れ縁の友人が歴史好きでよく話をしていたがその中にこの者の名前も言っていたなと思いだしたのである。
この者は武田家の家臣で夜叉美濃と別名があるほど強かった。ついでに夜叉は鬼の別名である。それと敵に情けをかけるほどのやさしさを持っている武将でもあった。だからゴボルトやリザードマンたちが傷は追っているが誰一人死ななかった理由がようやくわかったのである。だが、逆に一人で多くのリザードマンたちやゴボルトたちを死なさずに倒すということはかなりの実力者なのは結果からでもわかるがそれでも山中にとってすれば簡単に倒せる相手だなと思ったのである。そのために山中はあることを提案を出したのである。
「それでは虎胤殿、我と一騎打ちをしませんでしょうか。負けた方が勝っ者の言うことを聞くというのはどうでしょうか。そうすれば無駄な戦いは避けられるはず。」
虎胤はそれを聞いて願ってもいないことだと言って一騎打ちの準備をするのであった。もちろん山中の方も準備をしたのであった。相手は槍が得意な武将であったらしいのでこちらも相手と同じ武器で戦った方が相手も納得してくれるだろうと考え武器は槍にすることにしたのである。そうして一時間後、ついに一騎打ちの準備が両方終わり町の外で魔人、ゴボルトやリザードマンたちが見守る中、二人はただ静かに槍を構えていた。周りは風の吹く音しか聞こえなくなっていた。そうして魔人の一人が勝負はじめと合図を言うのであった。
その瞬間、二人は一気に槍を交えたのであった。山中は想像よりも速い動きに驚いていたがそれ以上に相手が驚いていたのである。だが虎胤はすぐに炎魔法を唱え山中に向かって放ったのである。もちろん、山中は流石に簡単にと言えないが炎を水魔法で相殺したのであるが今の炎魔法はアグニメアと言って炎系魔法で最強のもでそう簡単に覚えられない物であり今ので虎胤は魔人の中でも最強クラスにいることが証明されたのである。そうしてアグニメアと水魔法の相殺が何回も続きその影響のせいで水蒸気が霧状態になり視界が一気に悪くなった。山中は相手にある変化に感じたのであった。その瞬間、
「この勝負、もらいましたぞ。山中殿。」
虎胤が上から槍に先ほどと同じアグニメアを槍先に融合させて簡単に言えば魔法槍にさせて振り下ろしたのであった。ここまでくれば天才クラスどころか魔王軍にいた時代でも名のある魔族になれるほどである。この世界は最初にいた世界に比べて弱いとみていた山中であったがまさかこんな強者と出会えるとは思いもしなくただうれしかった。そしてその喜びに答えるように
「ならば我も虎胤殿と同じで勝負です。生憎、炎属性の魔法ならだれにも負けない自信があるのですよ。」
二人は槍先にアグニメアを宿しながら激突したのであった。そうして霧が一気に消し飛び立っていたのは山中である。そうして虎胤は
「完敗でござる。まさか、ここまで出るとは正直思っていなかったでござる。もし、先ほどの約束していただけるなら家臣になるでござる。」
山中はもちろん約束は必ず守ろう一人の武士としてそして虎胤殿と刃を交えた武士としてと言ったのである。そうして虎胤は家臣の礼儀をしながら
「これより魔人族は山中将殿の家臣になるでござる。ここに魔人代表して原虎胤、忠義を誓うことを宣言するでござる。」
こうして山中はこの世界に来て頼りになる常識人を家臣にすることに成功するのである。そうして山中が思ったことはこれは俺が一人で行った方がうまくいくじゃないのかと思い次も一人で行くかと考えるのであった。
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