メッセージ
雨乞いの花開く折に、と彼女は言い残していた。正確にはそれすらも伝聞であるので、果たして本当にそう言ったのか、言っていたとしても花が開く頃にどうするのか、といった要たる仔細が私には残されていない。何故こうも大切なことばかり言伝るのか、もはや足跡を追えはしない彼女に文句を言うことはできないし、彼女はいつもそうやって追われることを嫌がると、幸か不幸か私は気づいてしまっていたから仕方なく、持ち前の律儀さでもって「雨乞いの花開く折」を毎年待ってやることにした。だがそれももう終わる。たった二十や三十、それを繰り返しただけで人の身体は脆く耐え難い。せめてこの慈雨の上がるまでと願うも、私は日々終の夢を見た。
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