ララバイ
彼は随分と足早にこの季節を通り過ぎた。まだまだこれからだったのに、なんて、来るも逝くも刻限を知らないわたしたちに言えるはずはないけれど、僅かばかりでも同じ庭にいたわたしには、えも言われぬ虚しさが残ってしまった。もうひとり残ったあの子はあまり多くを語らないが、少しだけやつれて見える。このままわたしだけが遺されるのだとしたら、どうか、懇願したい。還す時もまた、同じ庭に入れてはくれまいか。偶然が出会わせた、それだけに過ぎないと知っていても我儘な茶番で家族になれるなら、わたしはそこから愛を芽吹かせよう。
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