第5話 発明

 ある学生が、自動的に答えを書いてくれるペンを発明した。

 コンピュータから様々な情報を取り入れて、数学でも物理でも完璧に解を書いてくれるペンに仕上がった。


「これで何も勉強しなくて済むぞ」


 次の日、彼は意気揚々と学校に行き、期末テストに臨んだ。

 そしてテスト返却の日、帰って来たテストは予想通り満点ばかりだった。


「このまま全部満点かな」


 しかし、彼の予想とは外れ、1教科だけ0点を取ってしまった。


「そんなばかな! このペンは完璧のはずだ!」


 その0点を取ってしまった教科は国語だった。

 内容は小説で、どの問題も人の心情についての問題ばかりだった。

 いくら現代のコンピュータといっても、人の気持ちを理解することは機械には出来なかったようだ。

 何より、そんなペンが作れる頭があるのなら、真面目に勉強しろという話。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る