7章 激突! 一年エクレア組VS一年ババロア組


 水萌ユイラ、国民的アイドルグループ「YUI☆RIS」(ゆいりす)のメンバーで、その名を知らぬものはいないだろうと言っても過言ではない人物である。その美貌から歌って踊るだけではなくドラマに出演したりモデルの仕事をしたりとあらゆる方面から引っ張りだこで、アイドルという枠にとどまらない人物として注目されている……

「どうだい……惟斗? まさかこんな隠し玉がババロア組にあったなんて想定外だっただろう? 降参してもいいんだよ? ほら、僕は負けましたって言ってもいいんだよ?」

「ふん! 誰がそんなこと言うかっての! 勝つのは俺たちエクレア組だ!」

 光樂と夕影が対峙する。

《天上天下ユイちゃんが独尊カップ》一回戦の幕は今、まさに切って落とされようとしていた。

そして、光樂幽絲の隣にいたのは、

「お姉ちゃん……なんでここに……」

 紛れもない、水会雪凍乃の姉、水会柚苺良。テレビの中にいるはずの「YUI☆RIS」の水萌ユイラだった。

「雪凍乃じゃないの。こんなところで何やってんの? まさかあなた、舞台に立つつもりなの?」

――やめときなさい。どうせ、また出来ないから。

 水萌が辛辣な言葉で水会を突き刺した。水会はうつむいたままで一向に言い返すような気配がない。

「雪凍乃ちゃんはッ!」

 天彩が水萌に対して抗弁しようとしたところを水会が左手で遮った。その手は弱弱しくかつての水会と同じように、小刻みに震えていた。

「いいんです……いいんです……」

 控室に入った一年エクレア組のメンバーはすっかり意気阻喪の様子だった。

「まさか、あの国民的アイドル、水萌ユイラが相手とはな……そりゃクラス全体の動きもプロっぽくなるはずだな……」

「それにあの惟斗の友だちの光樂という奴はどうも油断ならないな……」

 彈野原とユルゲンスがいつになく冷静に相手のババロア組について分析している。

「どうする……夕影プロデューサー? って……いない?」

「何言ってるんだ、我舞谷、俺はここにいるぞ!」

「…………?」

 我舞谷の前にいたのは見慣れないただの美少女、まさかこの美少女が夕影惟斗だとは到底信じることが出来ない。

「私と有意味ちゃんのメイク技術に感謝してよね、夕影君!」

「……!?」

 夕影は鏡を見て愕然とする。

――俺の目の前にいるのは……誰だ?

 我舞谷が目を丸くしたのも無理もない。特殊メイクを施したのではないかと錯覚するほど、夕影の顔は変貌していた。

「すごい! 自分の顔じゃないみたいだ! 天彩も無相もメイクの才能あるよ!」

 夕影は二人を絶賛したが、もちろんこの一連の夕影メイキングにはトリックがあった。

「そりゃあ……まあ……使っちゃったからね……」

「まあ、ちょっとだけだし……必要経費ってことで……」

――まさか……二人とも……

 夕影と目を合わせようとしない二人、夕影の嫌な予感は的中した。素人レベルを遥かに凌駕するその技術は、この世界でしか実現することが出来ない、《克巧力》を使ったものだった……

「《白粉卵白》(メイキングメレンゲパイ)! 実はこれを使って一発変身ってわけでした!」

 無相はパイ投げに使われるようなホイップクリームたっぷりのパイを自身の体内のカロリーを消費して生成した。

「なるほどこれを使ったのか……《克巧力》ってのはこんなところにも使えるんだな……って戦い前に簡単に《克巧力》を使うなよ!」

 夕影は二人の軽挙妄動を咎めようとしたが……

「待てよ……これを使えば……」

 これを見た夕影はあることを閃いた。

「そうだ! 牧ノ矢、我舞谷! これに突っ込んでくれ!」

 我ながら妙案が浮かんだものだな、と自画自賛している夕影であったが、もちろん二人は了承するはずもなく……

「嫌よ」

「遠慮するわ」

 一瞬の迷いもなく、一蹴されてしまった。

「そこをなんとか頼む!」

 折れることなく夕影は二人に懇願の姿勢を貫く。

「どうして私たちがそんな芸人みたいなことをしないといけないのよ」

「まずはそれを説明してからにして欲し……ぶふぉ」

 牧ノ矢の顔に真っ白のパイがめり込んだ。実際こうして目の前でこのパイ投げを受けているのをみるとなんともシュールでコメントするのも難儀であった。

周りが唖然としている中、彈野原とユルゲンスが親指を立てて夕影を一瞥した。

「四の五の言わずにとっとと覚悟を決めるしかないだろう」

「ああ、私もユイアーネの意見には賛成だ」

 さあ次はお前だと言わんばかりに、二人は指をボキボキと鳴らしながら、我舞谷に迫っていく……

「ちょ、待って、まだ私、心の準備がま……ぶふぉ」

 彈野原に後ろから羽交い絞めにされた我舞谷は身動きをとることが出来ずに、ユルゲンスから白磁のようにそして雪原のように真っ白な白粉をいただくことになった。

「さあ! 天彩、無相、ちょっと今から俺の言う通りに二人をメイキングしてくれ!」

 夕影は顔面蒼白、というか顔面白白の牧ノ矢、我舞谷をものともせずに冷静に二人に指示を出していた。

「あいあいさー!」

 二人が作業に取り掛かろうとした、その時……

 ガチャン。

「皆さん! お待たせしました! そう、私はもう大丈夫ですっ! 過去の因縁と決別しました、かつてのトラウマを克服しました、もう今までの私じゃないんですっ! 私は今度こそお姉ちゃんに追い付いてみせますっ! そんでもってお姉ちゃんを越えるアイドルになってやるんですううううう!」

――って、なんですかこの状況。

 水会が部屋に戻ってきたときには意気阻喪だったはずの皆の顔に精気が宿っていた。というかリラックスしすぎて今からババロア組と戦うなんて想像できない。むしろこれからホームパーティでも開催されるんじゃないかと思えるほどの安心感……

「ほんと、ここはもっと私にスポットライトを当てて、私の葛藤を丁寧に描くとこじゃないんですか? なんでこんなにもないがしろにされてんですか? 誰か私を追ってきてくれても良かったんじゃないですか? もしも私がこのまま戻ってこなかったらどうするつもりだったんですか!」

 しばらくの間放っておかれたままだった水会はここぞとばかりに不満を口にしていたが、それに夕影があっさりと答える。

「それは水会を俺が、いや、俺たちが信頼していたからだよ……」

「いやいや、私は夕影さんに言ってるんです! 全く、部外者は黙っててください!」

 水会には目の前にいる少女が夕影であるとは分かるはずもなく、その存在を無下に扱っていた。そして、あろうことか水会は牧ノ矢の目の前で止まり、牧ノ矢に向かって言った。

「あなたですよ! 夕影プロデューサー! 私はあなたを信用して舞台に立つ決意をしたんですから!」

「いや……まあ……私にそんなこと言われてもねえ……私は牧ノ矢 弓射流、みんな知ってる牧ノ矢さんよ」

 苦笑する牧ノ矢、水会が間違うのも無理はない。水会が熱弁しているうちに、天彩と無相が牧ノ矢のメイクを終了させ、その容姿をそっくりそのまま夕影惟斗のものとしてしまっていたからだ。

「だから俺はこっちだって言ってるだろう……」

 夕影は水会に向かってもう一度説得を試みたが、その結果水会は……

「だって、牧ノ矢さんが夕影さんなわけないじゃないですか。いや、夕影さんが牧ノ矢さんで……あれ、あれ、あれ……」

 水会はいともたやすく惑乱に陥った。

「雪凍乃ちゃん……あのね……」

錯乱している水会に対して天彩が事情を説明することで、この事態は収束した。

「なるほど……そういうわけだったんですね……」

 全てに合点が行った水会はようやく平静を取り戻した。

「……みんな! 準備は出来たか? 少し俺の話を聞いてくれ」

 夕影が皆に呼び掛け、皆の視線が夕影に集まる。

「俺は今までみんなと頑張ってこれて良かったと思ってる。俺はみんなと一緒に一生懸命になれたことで大切なことを教えてもらった……俺は……」

「なんなんですか夕影惟斗、このいかにも最後のお別れ的なお話は……」

 無相は夕影の話の途中で無粋に不格好に口出しする。

「……そうだな、無相! こんな前置きはいらないか! ……俺たちは今からババロア組と戦うわけだけど、俺はこの初戦を突破することは何よりも大切だなんて大仰なことを言うつもりはない。俺が言いたいことは一つ! 勝ってまたみんなで美味しいお菓子を一緒に食べようぜ! ってことだけだ!」

――ってなわけで、一年エクレア組! 各々作戦通りに行動せよ!

「「「了解!」」」

夕影がいつになく指揮官らしく皆をまとめようとしている。皆は夕影の言いたいことを承知した上で皆は各自の配置につき始めた。

「全く口下手な学級委員ね」

「ほんと……言い回しが完全におっさんの最後はパーっとお酒を飲もうってのと同じなのよね」

「それでもまあ……言いたいことはなんとなく伝わってるんだよな」

「さあ! ゆくぞ!」

牧ノ矢、我舞谷、彈野原、ユルゲンスはそれぞれ自分の成すことを理解し、静かなる闘志を燃やしていた。

「雪凍乃ちゃん……ちょっといい?」

 天彩が舞台に上がろうとしていた水会を引き留めた。

「さっきはみんなあんな感じで騒いでたけど、ほんとはみんな緊張してたんだ。まあ、雪凍乃ちゃんはきっと私たちなんかよりもっと緊張してると思う。今だから言えるけど、夕影君は雪凍乃ちゃんが戻ってこなくても、どれだけ駄々をこねても、俺が意地でも連れてく、舞台に上げるって言ってたんだよ。ほんと強引だよね。でも、戻ってきてくれて良かった……やっぱり雪凍乃ちゃんは強いね。きっとお姉ちゃんだって越えられる……応援してるからね!」

――ってのは建前で……

 天彩は一呼吸置いて、さっきより強い口調で言った。

「ほんとは私も舞台に立ちたかったんだから! 私だけじゃない! 他のみんなだってそういう子もいると思う! だから……」

――手を抜いたりしたら許さないからね!

――必ず、ババロア組に勝つんだから!

「天彩さん……」

 天彩は水会の背中を押しながら、水会を見送った。

「……がんばります!」

 力こぶを出すしぐさをしながら水会は元気よく言った。

「さあ……いくぜ! 最高のステージにしよう!」

 彈野原、ユルゲンス、水会、そして夕影がステージの上に立って下を見下ろす。夕影は自分がこの舞台においては主役なのだと思うと少し自分に陶酔しそうになった。

 ステージから見る景色は夕影がこれまでに体験したどんな景色よりも美しく、そして重圧を感じるものだった。曲が始まるまでの須臾。その時間は夕影にとっては永遠とも思えるような長く苦しい瞬間であった。気がつけば、緊張で呼吸の仕方さえも忘れてしまうような、今まで練習してきたことがあっという間に吹き飛んで頭が真っ白になってしまうような、絶望的な想像をしてしまっている自分がいた。

イントロが流れ始めた時、夕影はそんな自分を掻き消すように、

雷光隕星エクレアスターダスト!」

《克巧力》を豪快にかつ大胆に使い、空に大きな流星を降り注がせた。

――よしっ! 掴みはばっちりだ!

 第一関門であった始めの技が華麗に成功を収める。夕影はほっと胸をなでおろした。

「それじゃあ、私たちも行きますか……」

「そうね、今までのストレス発散の意味も兼ねてパーっと派手にいきましょう」

 牧ノ矢、我舞谷の敵舞台攻撃部隊も夕影の合図を見届けて敵地へ赴いた。

「私たちは……夕影君達を何が何でも守るんだから!」

「全て吸収していなしてみせる!」

 天彩と無相の後方支援隊も準備万端でいつでも敵からの攻撃を対処できる体制が整っていた。

 実のところこの夕影プロデューサーが考案した部隊編成は一年ババロア組に対しては完璧ともいえる布陣であり、このまま何事もなければエクレア組とババロア組、一切の波乱なく順当なダンスバトルとして勝敗が決することとなった。

――だが、しかし、夕影は一つミスを犯してしまった。

 夕影は勝ちにつながる可能性を模索するあまり、堅実な勝利を求めるあまり、逆に勝率を下げる行為に及んでいたことに気がつかなかった。

 結論から言えば、夕影は光樂を逆上させてしまった。

夕影は光樂が一瞬でも、わずかでも動揺してくれれば御の字だと考えたのだが、その作戦は光樂を動揺させるどころか、狂化させてしまう結果となる。

「惟斗! ゆいとおおおお! なぜ惟斗がこんなところに! どうして! どうして! どうして!!!」

 慨嘆する光樂の目線の先には夕影の顔をした牧ノ矢が映っていた。そしてその隣には水会の顔をした我舞谷がいた。

「《直線鋭刺》(ストレートプレッツェル)! ってなんかものすごくこっちみて睨んでるんですけど……」

「まずい! 攻撃、くるわよ!」

 我舞谷はババロア組の生徒が攻撃態勢をとっているのに気が付いた。牧ノ矢は光樂に気をとられたままで全く気がついていない。

「食らいなさい! 《蜂巣蜜止》(ワッフルペースト)!」

 我舞谷と牧ノ矢はそれを避けようとしたが間に合わなかった。鳥黐のように粘着性の高い蜂蜜色の液体を浴びせられた二人は身動きが取れなくなり、忽ちその場に固定される形となった。

「まずは……二人……《円盤裂切》(ガレットスリッド)!」

 円形の犀利な鋸が空気を切り裂きながら、圧倒的速さで二人の方へ向ってくる。進退きわまった牧ノ矢は自分のミスを悔い、心の中で負けを認めた。

「みんな……ごめんね……」

 牧ノ矢が呟いた、その時、

「なーに諦めちゃってんのよ! 《灼熱焦土》(バーンクレープシュゼット)! 《焼挟炎囲》(アルタータルトタタン)!」

 途端、火柱が辺りから次々と立ち、あっという間に周りは火の海となった。

「さあ、戦いはここからよ! 私たちはまだやれる! やってやるわよ!」

 我舞谷が大気炎を上げて応戦する。牧ノ矢は弱気になってしまった自分が恥ずかしくなった。

「我舞谷さん! あれ……いくわよ!」

「そうね! いくわよ!」

「「せーのっ!」」

――紅蓮龍弓ホットケーキドラゴニックアロー

 我舞谷由龍の炎と牧ノ矢弓射流の弓を組み合わせた炎の弓矢、その一撃が一年ババロア組の生徒に向けて照射される。炎塵舞う中、真一文字に先行する矢はまるで向う見ずで無鉄砲な二人を暗示しているようでもあった。

「さあ! こっから! こっからっ!」


 一方、エクレア組舞台周りでは……

「なんで、こんなに敵がきてるんですか! 私たちだけじゃ捌ききれないじゃないですか!」

「有意味ちゃん的に言うと、これってとっても意味ある仕事じゃない? 私たち……」

「そうですけどぉ……」

 天彩と無相の元には四人の生徒が集合していた。本来ならばババロア組の光樂と水萌以外のメンバーは舞台の防御に徹し、一切の攻撃を行わない手筈であった。

 だが、光樂は夕影が約束通り舞台に立たなかったことに対して憤りを感じ、その憤懣が作戦の変更を招く結果となった。光樂は全力で夕影の、そして一年エクレア組の、舞台を瓦解させようと考えたのだった。

「《千裂傷葉》(ミルフィーユパーティ)!」

「《黒曜泥積》(ティラミスマッド)!」

「《速影攻斬》(マッハトルテ)!」

「《針山刺栗》(モンブランザクリ)!」

 一斉に詠唱を行ったババロア組の攻撃部隊、葉っぱや泥や針なんかがそこらじゅうにまき散らされ、その攻撃に対して無相は、

「《衝吸撃収》(アブゾーブスポンジケーキ)!」

 和らげ、吸収し、

「《緩和柔和》(リラクションメレンゲパイ)!」

 やはり、和らげ、吸収していた。

「こんなのっ! きりがない! 意味がない!」

 無相が無責任に、無謀にもさじを投げようとしたが、

「ダメ! 私たちは夕影君を! そして雪凍乃ちゃんを守るんだから!」

――《弾力膨返》(マージナルマシュマロ)!

 天彩の作りだした巨大なマシュマロは羽毛布団のように全てを包み込み、そしてその吸収した夾雑物を優しく吐き出し、浄化する。

「ど……どうだ……私だってやればできるんだから……はあ……はあ……」

 天彩は体内の《克巧力》の大半をこの技に使ってしまったようで満身創痍の様子であった。

「くっ……でも、これで終わりよ……」

――《超極大冷製固形物》(ビルザードババロア)!

 天彩が《克巧力》を使って相殺したのに怖気づくことなく、一年ババロア組の四人は持てる力を結集させ、バケツプリンの何百倍もの大きさのババロアを天彩と無相の頭上に生成し即時追撃を図った。空気は一瞬にして冷凍庫の中にいるかのように寒々しいものとなり、突如現れた巨大なババロアによって上方は覆われた。その影は暗く重く、二人は絶望する暇もなく不気味なスケールの超極大冷製固形物に押しつぶされてしまった。

「――天彩ッ!」

――《雷光嵐》(ライトニングエクレール)

光の速さで夕影の雷撃が冷製固形物にぶつかる。だが、そんな攻撃をもろともせずに、ドシンと大きな音を立てながらそれは地面に着地した。

「くっ……くそっ……って、おっと……」

夕影は右に下がるはずのステップを誤って逆方向に進んでしまい、隣の水会にぶつかりそうになった。体勢を崩した夕影はそのままステージに手をついてしまうという大きなミスを犯してしまう。

焦ってダンスを間違えてしまった夕影とは裏腹に、相手の四人は全く動じることもなく冷静だった。敵を倒したはずなのに笑み一つ浮かべることなくその場に佇み、夕影たちをただみつめていた。

「今だ! 《中心空虚》(ドーナッツリング)!」

 ユルゲンスが練習していた技をここぞとばかりに開放する。《克巧力》を使って作りだした輪っかは見事にババロア組の四人を捉えた。隣にいた彈野原がすかさず……

「《黒烈激流波》(チョコレートフォンデュ)!」

 黒く禍々しい濁流を発生させ、身動きの取れない四人をきれいさっぱり洗い流した。

「ふう……奴らも、力を消費してしまえば呆気なかったな」

 ユルゲンスは心の中でそう考え、安堵していた。

「ちょっとやりすぎたか……」

 彈野原は自分の強大な力に内心酔いしれていた。

――だが、それらは、甘かった……

「なッ……」

「いつの間に……」

 ユルゲンスと彈野原の足元には何か縄のようなものが巻きついていた。そしてその縄は突然二人の足を引っ張り、そのまま二人は舞台から強制退場させられた。

「夕影、水会……すまない……」

 ユルゲンスと彈野原は黒い濁流にすっぽりと呑みこまれてしまい、二人の姿はあっという間に消失した……


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