2055年 10月27日(水)

第92話

 唯奈は今医療施設に半拘禁状態で隔離されている。もちろんレッドシェルターの施設ではなくレジスタンスのだ。

 治りかけとは言え完治していない脚であれだけのことをしたため、傷がさらに開いていた。


「不快だわ」


 紲とともに入室するなりベッドの上の唯奈が不満そうに愚痴を垂れ流した。


「病室に入って顔を見られた瞬間に、そんな反応されるとは思ってもみなかったよ」

「そういう反応もするわよ。考えてもみてよ、面会謝絶状態で数日間、こことは別の金属壁で窓一つない隔離部屋に閉じ込められてたのよ。で、ようやく陽の下に出られたと思ったら、最初に見た顔がアンタの間の抜けた顔なんて……不快なんてもんじゃないわよ」


 腰掛ける彼女は頬をひくつかせながらため息をつく。


「悪かったなこんな顔で」

「アンタのビジュアルを否定してるわけじゃないっての」

「あはは、仲良しさんだね」

「どんな節穴な目をしてたらそう見えるんだか……まあいいわ、織寧紲、アンタもお見舞いに来てくれたわけ?」

「あ、時雨くんと二人きりにしてあげた方がよかったかな」

「そういう気づかいが一番気分害するのよ、素直に吐き気を催すわ」


 本気で不快そうな顔をして見せる。こちらとて悪魔と逢引あいびきなど冗談ではない。きにされるのが関の山だ。


「それで、どうだ脚の容体は」

「見ての通り、完治まではまだしばらく掛かりそ」


 ベッドから投げ出された彼女の右足。そこには包帯が巻かれている。以前見た時のように痛々しい赤の色に染まっていることはないが。

 紲は彼女の傍にまで歩み寄り来客用の椅子に腰掛ける。


「そうか……」

「一応感謝しとく。アンタが応急処置してくれたおかげで、ひとまず切断するような事態は免れたみたいだし」

「せ、切断……」


 紲はわずかに顔色を青くして言葉に詰まる。そこまで彼女の傷は深かったのか。


「瓦礫に押しつぶされたらそうなるよな……」

「急に萎れないでよ。何度も言うけどこれは私がしたことだし。それにしても皮肉なことに、もしあの時防衛省の連中に見つけられなかったら、確実に細胞が壊死してたって話。この足は使い物にならなくなっていたかもって言われたわ」


 彼女が言っているのは十中八九デルタボルトでの一件のことだ。彼女が防衛省に捕縛されるきっかけとなった襲撃作戦。


「そういえば、どんな手荒な扱いを受けたんだ?」

「少なくともアンタが思ってるような諸悪の限りを尽くしたような拷問は受けてない。傷跡も残らないような、そんなことばっかり。正直拍子抜けしたわね。捕まった時点で、ギリシャ拷問器具のラインナップでも片っ端から試されるものかと思っていたのに」

「それは流石に死ぬな」

「死は覚悟の上。まあでも、苦悩の梨だけは御免。あんなので死んだらボルスに笑われるわ」


 彼女が口にした拷問器具がなんであるのかはしらないが、まあ唯奈にとって屈辱的なものであることは間違いがない。追求は避けたほうがいいだろう。


「ほう、詮ずる所、そのボルスなるお方と唯奈様は、苦悩の梨ですら鼻で笑えるほどにまで互いの体を開発し合った仲であると……」

「んなわけないでしょ。てかボルスは四十代半ばの妻子持ちのオッサン、そういう趣味はないわ」

「実はボルス様のほうが苦悩の梨よりも立派であったと……拷問器具程度では快感すら感じ得ないと」

「ぶっ飛ばすわよ。私は未だに破瓜はかの痛みさえ……死ね」


 時雨が軽蔑の目線を向けられるいわれはないのだが。


「ボルスが道行く安産体型を見るたびに発情する変態だっただけ。私は至って正常」

「で、その無慈悲な性的干渉の餌食に、幼き頃の唯奈様は、」

「だからなってないって言ってんでしょ」

「ちっ」

「……ねえ烏川時雨、何なのこのAI。ホントに人工知能? エロオヤジが遠隔で喋ってんじゃないの?」


 奇遇だな、同じことを考えていた。


「まあ唯奈様の体に残された打撲痕やあざの後を見るに、おそらくはスタンガンの類ですかね」

「スタンガンって……柊さん、大丈夫だったの?」

「言った通りよ。別に大したことはなかった」

「でも、辛かったよね……」

「辛くなかったといえば嘘になるわね。でも正直拷問とかよりも、毎日のようにあのアダムとか言う前髪チャイニーズ男の顔を拝まなきゃいけないのが、一番堪えたわ」


 思い出すことすら嫌なのだろうか。彼女は表情をしかめては僅かに体を震わせ、頭をふるってその記憶を振り払う。


「それで、アンタがここに来たのはあたしの心の傷をえぐるためじゃないんでしょ?」

「ああ、お見舞いの品か? そう急かさずともちゃんと持ってきている」

「は? いや私が言いたいのはそうじゃなくて……ってお見舞いの品?」


 不審そうに見てくる。どうやら本当にその目的ではなかったようだ。持ち合わせていた袋から急遽用意した物品を引っ張り出す。


「ほら、C.C.Rion特注人形」

「……ば、バカにしてんのっ?」


 抱えるほどに大きな凛音を模したぬいぐるみを差し出すと、唯奈は一瞬の硬直ののちにそれを奪い去った。

 C.C.Rionボトルと肉まんを手に持つ凛音の姿は、作り物にしてはなかなかリアリティがある。

 

「こんなもの貰っても嬉しくないに決まってる」

「といいつつもちゃっかり受け取っている唯奈様でした」

「うるさいわね……嬉しくなくないに決まってんでしょ」

「あ、本音が」

「――――ッ……!」

「落ち着け……シエナが作ってくれたんだ。唯奈の傷が少しでも早く完治できればと」

「こんなもの貰っても傷の治りが早くなるわけ……なにこれモフモ、ッ、ま、まあシエナ・スファナルージュの厚意を無碍にするのもあれだから貰っておいてあげる」


 シエナの言うとおり、なかなか効果覿面こうかてきめんであったようだ。


「それで? さっさと本題に移ったら?」

「ああそうだな。色々とこの三日間でレジスタンスの指針に整理がついたから、報告しようと思って来た」

「助かる。要所要所は聞かされていたけど、詳しいことは何も解ってない」

 

 怒涛のように過ぎた唯奈救出作戦。作戦というにはお粗末なものであったが、結果的には彼女を奪還することに成功した。


「紲の助力がなかったら絶対になせなかったことだ」

「そんな、私はレッドシェルターへの潜入の手伝いをしただけだし……」

「それが私たちにとって最難関な課題でしたからね。難攻不落のレッドシェルター。そこに革命軍が足を踏み入れた事例なんてありませんから」

「え、そうなの?」

「そ。私が知ってる限りだと、これまで潜入しようとして成功した事例は一度もなかったはず。強いて言えば、そもそも挑戦したことすらなかったといえるけど」

「妃夢路様やSM兄妹のおふた方のように諜報員として内部潜入している方を除けば、の話ですが。紲様はあまり実感できていなかったかもしれませんが、唯奈様は紲様に救われたといっても過言ではありません」


 誇大表現というわけではないだろう。紲がいなければあの二時間程度しか残されていなかった時間の中で、時雨はレッドシェルターにすら入ることができずにいたはずだから。

 というかSM兄妹とは一体誰の話だ。

 

「そういうこと。助かったわ、ありがとう織寧紲」

「う、ううん……柊さんが無事で何よりだよ」

「ただ問題が一つある。事後処理に関してだが、織寧重工の輸送車両があの時間帯にレッドシェルターに通行していたという記録は消せなかった。時間的にもどんぴしゃ、防衛省の連中に織寧重工が疑われるかもしれない」

「それは最初からわかってたことだよ。それにもう織寧重工は存在しないしね」


 紲の言うとおり織寧重工は存在しなくなった。それはあの講演会襲撃事件によって本社が破壊されたから、という意味ではない。

 あの一件の後、織寧重工の経営全権を持つ社長が死去して、その権限は娘である紲に移行した。

 紲は織寧重工が影で暗躍していたことや防衛省と結託して外交問題を起こしていたことを知り、すべてを無に帰す決断をしたのである。すなわち織寧重工業の正式なる廃業だ。

 これによって紲には織寧重工という強大なバックがなくなったわけだが、紲はその決断を躊躇しなかった。

 

「佐野警備員については、織寧重工グループの元々の伝で他の警備員職を提示させていただきました」

「今回迷惑かけちゃったもんね……」

「リミテッド中にある織寧重工の下請け企業は、すべて解散しました。織寧重工の台頭によって重工業界から姿を消した企業ですね。大手の鈴谷重工、技術重工桐ケ谷、四菱重工、それらを含む八企業。これらはいったん解散したのち、おそらく独立して再び起業するものかと思われます。紲様のご厚意によって、それも現実的なものとなりえましたからね」


 紲は財産を受け継いだがそれに着手することはなかった。何より彼女の行動に平伏したのは、その財産のほとんどをそれらの下請け企業の復興に回したことである。

 自分が自立するまでに必要な資産だけを温存し、その他の財産全てを重工系列に寄付した。並大抵の決断力ではできないことである。


「お父さんは、防衛省と結託して優遇されていただけだから……それで、下請け企業に格下げされちゃったほかの企業の皆に、ずっと申し訳ないと思ってたんだ」


 以前、紲がそういう発言をしていたことを覚えている。初めて織寧重工に偵察で出向いた時彼女は言っていた。


「でもそのレッテルの下には沢山の廃業になった中小企業があるわけだから、私はあんまり誇れないかな」


 と。

 今回の事件が起きる以前から何か彼女は感づいていたのかもしれない。

 織寧重工の立場に関することだけでなくリミテッドそのものの在り方についてさえ。


「アンタの決断は立派ね。ある意味、解放目的で活動してる私たちレジスタンスよりもリミテッドのことを考えてるといえる」

「でも、私がこの決断をしたことによって、問題が起きちゃわないかな」

「問題?」

「だって、お父さんたちはレッドシェルターを防衛するためのA.A.を作ってたんでしょ? それなら、その後釜になるような重工業企業を立ち上げる手伝いをしちゃったら……またレッドシェルターの防衛網が固くなっちゃう」

「ふっ、アンタもなかなか、私たちみたいな考え方するわね」

「仕方ないよ、だって防衛省が皆の味方じゃないことはもう解っちゃったもん。一番の敵は防衛省なんだよね。それならその戦力を増強するような行動は……」

「アンタが言いたいことは分かるしその危惧が実現しないとも言い切れない。でもね私はアンタの行動が間違っているとは思わない」


 唯奈は普段の彼女からは想像できないような、そんな慈愛に満ちた声音で告げた。

 正直唯奈も紲の発言したような思考をすると思っていた。真那や棗ほどではないにせよ、唯奈もレジスタンスの活動の弊害となる物は極力排除する思考の持ち主だ。

 それ故に彼女がこんな優しげな顔を浮かべたことに驚嘆を隠せない。


「アンタはリミテッドだとか防衛省だとか、レジスタンスだとか。そう言った限られた規模の中で、利潤を基盤に物事を考える私たちのような人間たちとは違う。アンタは本気で他人のことを考えられるような優しい人間なのよ。必ずしも優しいことが正しい結果を招くとは限らない。優しいアンタが損をしないとも限らない。でも私は確信を持って言えるわ。アンタがやったことは間違ってなんてない。どんな結果につながっても、アンタの善行はきっと誰かを幸せにする」

「柊さん……」

「私のことは唯奈でいい、いまさらだけど」


 あの唯奈がここまで他人のことを認めるとは。


「柊、ちょっと変わったな」

「何よそれ」

「前までは効率重視思考だっただろ。少なくとも優しさが効率に勝るような、そんな発言を看過する性格でもなかった」

「……うっさいわね、どこぞのお人好しバカのせいでこうなってんでしょうが」


 呆れたようにそれでいてどこか可笑しがるように彼女はふんっと目を背けた。


「唯奈様はツンデレですし、少しくらいこう言った素の優しさがあった方がかわいらしいですしね」

「だからそう蟻塚ありづかに自分の骨突っ込むような発言しなくてもいいだろ」

「まあいいわ、織寧重工のその後に関しては分かった。それで? 織寧紲、アンタは今後どうするの?」

「今後かぁ……あんまり深く考えてないんだよね」


 考えてないと言いつつも紲の面持ちはひどく思案気だ。将来への不安や葛藤などがあるだろう。


「まあそれも仕方ないか。突然現実を目の当たりにさせられたわけだし。でもさっき烏川時雨が言っていたように、防衛省は織寧重工嫡女であるアンタに目をつけてるはず。アンタはもうただの民間人ではいられなくなったわけ」

「厳しい話だが、もしかしたら円満な一般ライフはもう送れないかもしれない。もちろん俺たちレジスタンスが紲のことをサポートはする。だが……」

「うん解ってる。レジスタンスには所属しないよ」


 紲は言い淀んだ時雨を気遣ったように答えた。

 これは何度も紲に言い聞かせたこと。紲の援助はちゃんと責任をもってするが、彼女にはレジスタンス所属はさせないということ。一度関与してしまったからと言って完全にレジスタンスの指針に染まる必要はない。

 普通に生活する選択肢も紲にはあるのだ。その道を彼女に歩んでほしかった。こんな危険な陰謀と凄惨さにまみれた世界に彼女を巻き込みたくはない。


「ふーん。アンタもなかなかフェミニズムなところあるじゃない」

「まだ戻れるなら戻るべきだ。この世界の汚れた部分を正すのは、すでに汚れてる俺たちの仕事だ」

「それは分かってるよ、だからもうわがままは言わない。でも何か私が役に立てることがあれば、頼ってね」

「……ああ」


 そんな時が来ないことを願うほかあるまい。


「時雨様、そろそろ次の議題に移ってはいかがですか?」

「それもそうだな。何話すべきか」

「まとめてから来なさいよね。まあいいわ、それじゃレジスタンスの指針について確認したいんだけど」

「ああそのことか……まず、これを言うのは少しばかり抵抗があるんだが」

「そういう前置きはいらないわ。散々レジスタンスの汚れた部分を内側から見てきたのよ。いまさらちょっとやそっとのことじゃ何も動じないわよ」


 唯奈は時雨が何を言おうとしてるのかおおよその予想ができているようで、神妙な面持ちのまま手を軽く払う。


「解った。端的に言う。最初、皇たちは柊奪還をしない指針を貫いていた」

「そうだと思った」


 対し彼女は特に落胆した様子もない。効率重視のレジスタンスが救助という行動に及ばないことは理解していたのだろう。


「当然ね。私なんかの命を助けるために、レジスタンスそのものが危険に身をさらす道理はないもの」

「ああ、だから運がよくなければ柊は助からなかったかもしれない」

「そん中で、どこかの無鉄砲さんが独断専行に走ったわけね……ま、その無鉄砲さのおかげで私は助かったわけだけど。感謝はしてるわ」

「最近何となく、唯奈様がツンデレというよりはチョロインになってきたような気がしてなりま」

「ファイルクラッシャー」


 何でもございません、とネイは間を置かずして口走る。


「とにかくだ。だから俺たちは独断で動いた。何の心境の変化があったのかは知らないが皇たちもまた動いた。柊が規定時間に公開処刑されなかったのは、皆が自立駆動カメラに細工をしてくれたおかげだ」


 唯奈が公開処刑される予定だった午後十時。その時間になるタイミングでワールドラインTVの報道が鎖世のライブに切り替わった。

 結果、全国に報道されていない状況で独断で唯奈を殺害することができるはずもなく。執行人のその一瞬の躊躇が唯奈の命をつなぎとめたわけだ。


「私たちの勝因は、防衛省の恐怖政権思考だったといえるでしょう。リミテッド全域に、防衛省の権威を見せしめるための公開処刑ですが、そのためには当然全国民が視聴できる、という条件が加わります」


 テレビという概念の存在しない現代ではそれがなせるのはスファナルージュ・コーポレーションの運営するサーバーのみ。レジスタンスが付け入るすきがあったのはそこだけだったわけだ。


「大体のことは把握した。でも一つ解らないことがある。なんであの皇が私の救出なんかを決断したのかってこと」

「詳しいことは分からない。柊がさっき言った通りなんじゃないのか?」

「なにそれ」

「必ずしも善行が結果に比例するとは限らない。効率、こうむるリスクを鑑みれば救済は優先度が低かった。だがそれでも皆人間だ。仲間を助けたいという思いはある。その良心の呵責に苛まされたんじゃないか」


 いまさら良心の呵責なんて感じるとも思えないけどね、と唯奈は鼻で笑う。

 しかしその表情は安堵とも喜びとも取れる感情で彩られていた。照れ隠しのつもりなのだろう。


「いまさら、だからなんじゃないかな。今更って言えるくらい長く一緒に戦ってきたから。だから皇さんたちの中で、唯奈さんのことを助けたいって感情が強く根付いちゃったんだよ」

「なにそれ……ばかみたい」


 唯奈は複雑そうな顔をしながらもどこかおかしそうにふふっと笑った。レジスタンスの在り方が少しだけでも変わったことに喜びを禁じ得ないのかもしれない。

 今回の一件で救われたのは唯奈だけではない。おそらく唯奈を助け出すという決断をしたことによって、その決断をした皆の心も救われたはずだ。


「他にはそうね……燎鎖世はどうしてるの?」

「燎さんは、私と同じでレジスタンスの宿舎に住むよう言われていたみたいなんだけど。でも断ったみたい」

「前に行った、台場の高架下に住んでるみたいだな」

「今回の一件もあって、少なからず防衛省は燎鎖世とレジスタンスの関係性について調べてると思うけど。一人でいさせるのは危険なんじゃない?」

「皆そう考えたが燎は折れる気はないみたいだな。不詮衡ふせんこうな世界を変えるためにも、自分は詮衡されたままではいけないとかなんとか」

「相変わらず叙情的で意味不明。でも助けてもらった恩もあるし、そのうち出向かないとね」


 まったくである。


「防衛省の方は顕著だった動きは見せていませんね。唯奈様やほかのレジスタンスメンバーに懸賞金をかけるようなことも一切していません。時雨様たちの顔写真などの公開もです。一体何を考えているのですかね」

「防衛省はともかく、アイドレーターの方はどうなったの?」


 件の偶像崇拝団体に関してだが現状では何ともいえないというのが実情だ。

 禍殃は泉澄を連れて行って、それから一切表舞台に顔を出していない。毎日解放サーバーで報じていたアイドレーター日報とかいう報道の形跡もない。サーバーは閑古鳥かんこどりが鳴いている始末だ。


「正直、今回の一件でさらにアイドレーターの目的が解らなくなったわね。倉嶋禍殃の目的は、いったい何なのかしら」

「ただ防衛省を叩き潰そうとしているだけ、という感じには見えない。それならそもそも、俺たちに敵対する理由がない。あまつさえ俺たちを殺害しようとすらした。その前提もあって、レジスタンスは今回明確にアイドレーターに対しての指針を定めた」


 そこで一息つく。

 

「アイドレーターを、殲滅する」


 

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