修学旅行 6
旅行の荷物はバスに積み込み、手荷物だけを持ち出して我々は歩き出した。
湯ノ湖の脇の山道から川沿をくだり、戦場ヶ原へと抜けるルートを取る。移動に要する時間は1時間程度で、途中で休憩を20分ほど挟む予定となっている。
この湯ノ湖という湖は中禅寺湖とくらべると一段高い位置にある。当然、標高が上がれば
そんな木々を横目でちらちらと見ながら湖の
湖から流れる川にそって進んでいくと、水音は大きく轟音となり、湯滝の落ち口へとたどり着いた。
落口とは、水が落ち始める位置で、ようは滝の始まりの部分をしめす。
乗り越えられそうな腰までしかない低い柵の先には崖になっており、それまではゆっくりと流れていた川の水が急に白波を立て始め、有るはずの地面が
この光景は少し不思議で、なにか人の不安と共に体を吸い寄せるような、ある種の魅力のようなものがあった。
水の流れはいつまで見ていても飽きそうにもないが、まだハイキングは始まったばかりだ、いつまでもここで立ち止まっている訳にはいかない。
それに湯滝の見所はここではない、滝に寄り添うように階段が設置されており、流れに沿って下る事が出来る。
覗き込むように滝口を観察した我々は、途切れた滝の先を追うようにその階段を下りはじめた。
階段は山の森を抜けるように設置されており、人がようやくすれ違うくらいの幅しかない。
また、滝に合わせて下るのでかなり急な勾配になっている。
手すりを使いながらようやく降りていくのだが、もしこれが上りだったら一苦労だろう。最近は控え目になったといえタバコに浸食された肺が悲鳴を上げそうだ。
余計な事を考えながら視線を横にずらすと、木々の間から白い滝の流れが見える。
滝の様子をよく見たいのだが、どうもこの位置からは見づらいものがある。観光ガイドも下の正面の写真ばかりなので、やはり滝壺近くから見た方がよさそうだ。
降りにくい階段の先を見るとレストランのような休憩所があり、その前に展望テラスが広がる、そして人だかりが出来ていた。おそらくあの位置がベストポジションなのだろう、はやる気持ちを抑えて、我々は安全を優先させてゆっくりと階段を降りていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます