2/夕闇に鐘は響く -終

【♪ 二束三文の空模様、耳のない猫が風になったから──】


 即席のステージ。

 並べたレンガの上にコンポジットパネルを敷いただけの段差を、白熱電球が照らし出している。パネルの上に影を落としているのは、制服姿のキートとカミ、そしてピカソの三名だ。シモは、スピーカーに繋げたタブレット端末を用い、細かな調整を行っているようだった。

 当然のことながら、キートとカミの表情は硬い。初めてのライブで緊張しない胆力の持ち主など、そうそういない。

 そうそういないはずなのだが、すぐ隣に泰然と演奏している男がいる。コンクール慣れしているためか、あるいは単純に性格によるものか、それはわからない。ピアノの鍵盤を叩くピカソは、時折目蓋さえ下ろしている。指が勝手に動くのだろう。

 付け焼き刃のギグ。それぞれの歌に、演奏に、わずかだが確実なずれがある。十分な練習期間があれば、完璧に息の合った演奏もできただろう。

 しかし、これでいい。このほうがいい。

 大学時代、コトラに付き合わされて行ったインディーズバンドのライブイベントを思い出す。スタジオで収録されたものには遠く及ばない、がさつな演奏。熱気。興奮。たったいま自分の目の前で演奏が行われている事実、その生々しさ。

 暗い店内に響き渡る彼らの演奏が、予想以上の迫力でもっておれの五感に肉薄する。非現実が離人感を誘発し、おれは幾度も強くまばたきをした。

「──…………」

 想定の倍以上に膨れ上がった聴衆は、皆、前菜を食べる手を止めていた。唐突に始まったミニライブに唖然とする者、イベントの一環であると理解し楽しそうに手を振る者、目を閉じて静かに聞き惚れるもの──

「……よかった」

 おおむね好評のようだ。

 そっと胸に手を当てる。心音は正常。いや、正常に戻った──と言うべきだろう。

 サプライズは、いつだって賭けだ。時間と費用をかけて慎重に進めてきた準備が最後の最後のミスで台無しになったり、相手の性格や健康状態、はたまた機嫌のひとつで白けさせてしまうこともある。

 ともあれ、コース料理の前菜のみを出しておいて正解だった。しっとりとした雰囲気のパーティであると思わせたところで、唐突に照明を落とし、来客が戸惑っているうちにミニライブを開始する。ジェットコースターじみた急転直下を味わわせることに成功したはずだ。

「……ね、宗八、宗八」

「ん?」

 客席から見えない位置にある舞台脇──つまりトイレの出入口にて、沈鬱な声音と共におれの制服の袖を引くものがあった。

 窓海だった。

「いちおう、関係者とトイレ行く人以外立入禁止だぞ」

 奥にプレゼントも保管してあるし。

「……わたし、関係者じゃない?」

 本気で怒りそうな気配がしたので、素直に話を聞くことにした。

「それで、どうかしたのか?」

「あの、あの、怖くなってきた……」

「……怖い?」

「プレゼント、これでいいかな、これでよかったかなあ……」

 なんだ、そのことか。

「わからないよ。おれは惑ヰ先輩じゃないから、こればかりは渡してみないとな」

 誕生パーティを企画立案した時点で、架空の従妹を口実にしたリサーチの真意は惑ヰ先輩に伝わってしまっている。よって、そのものズバリではなく、意図的にずらしたものを用意する必要があった。

 そのずれが、吉と出るか凶と出るか、現時点では誰にもわからない。

「……宗八、たまに冷たいよねえ」

「おれは現実主義者リアリストなんだ。緊張するのはわかるけどな」


【♪ 画用紙からはみ出した少年が、世界にキャンバスを作り出す──】


 キートの歌声を聞きながら、呟くように口を開く。

「──でも、不思議だと思わないか? まだ起こっていないだけで、答えはとうに決まってる。一喜一憂するタイミングが遅すぎやしないか、ってさ」

「えと……」

 窓海が当惑する。

「窓海がプレゼントを買った瞬間、惑ヰ先輩の反応はおおよそ確定した。だから、いま悩んだって意味はない。だって、そうすべきタイミングは既に逸しているんだ。やっぱりあーげない、なんて、まさか言わないだろう?」

「宗八、それ、元気づけてる?」

「元気出ないか?」

「……だいたい予想の斜め上なんだけど、不思議と気持ちは楽になるんだよなあ」

「なら、よかったよ」

 あとすこしで楽曲が終わる。当初の予定より参加人数が増えてしまったため、プレゼントの披露は、くじ引きによって選ばれた数名のみとした。実を言うと、そのあたりはどうだっていい。インチキなどいくらでもできるのだから。

「だいじょうぶ、だいじょうぶ……」

「──…………」

 本当に大丈夫かな。

 胸に両手を当てて呟き続ける窓海を横目にして、すこしだけ不安になった。


【──…………】


 シンセサイザーとピアノの余韻が、耳鳴りに取って代わる。粗末なパネルを即席のステージに見せていた照明が徐々に絞られていき、店内は数秒のあいだ暗闇に包まれた。

「──……!」

 ぱあ、と。

 昼寝から目覚めたときのように、店内が明るくなった。

 すべての照明が点灯し、ステージに並んだ四名が照れくさそうに頭を下げる。

 歓声と拍手とが狭い店内に鳴り響いた。

 四者四様の反応。

 いちばん顔を赤くしているのは、意外なことにカミだった。小太りの体を縮こませ、挨拶が終わるまで耐えしのごうとしているように見えた。万事につけ飄々としているくせに、芯の部分ではナイーブなのだろう。

 シモは、なんでもないような顔をして、あさっての方向を向いていた。聴衆を直視したが最後とばかりに、決して前を向こうとしない。

 肝が座っているのは、笑顔で両手を振るキートだけである。女性は強い、という安直な答えに飛びついても構わないのだが、最も目立つボーカルをこなしたという事実が何より大きいだろう。

 ピカソは──

「──…………」

 直立不動のまま、まだ舞台脇にいるであろう窓海に海軍式の敬礼をしていた。そんなことされても、窓海も困るだろうに。いや、それどころではないか。

「こほん」

 おれは、ちいさく咳払いをして、腹から声を張り上げた。

「──さあ、惑ヰ先輩生誕十八周年記念パーティの始まりを告げる素晴らしい演奏をしてくれたのは、してくれたのは……、おいお前ら、わかりやすいグループ名とかないのか」

 カミが、顔を真っ赤にして答えた。

「こ、このタイミングで聞くことか普通!」

 三十名からなる観客が、どっと沸いた。期待通りの反応だ。

 忘年会などで、この手の司会進行はお手の物である。

「ああ、失敬! グループ名は募集中、カミ・シモ・キート(仮)withピカソの面々でした! 物販は後ほど出入口正面で行いますので、」

「なにを売るんだよ!」

 いい突っ込みだ。

「ベース売ってギター買いなさいよギター! 三人中二人がベースなんだから!」

「……ソーハチ、キャラ変わってる?」

 キートが呟くように言った。

「変わっていますとも! 今宵のわたくしめは司会進行! よって、多少の無礼は御容赦いただきたい! わかりやすく言えば、あとで怒ったりしないでね!」

 そう言って、大仰に頭を下げてみせた。

 都合のいいことにコトラはまだ到着していなかった。正直に言えば、もうすこし遅れてきてほしいくらいだった。いかに必要な役回りとは言え、売れない芸人のようなハイテンションで司会進行をする姿など見せてしまえば、後から何を言われるかわかったものではない。

 会場の空気を適当にあたためつつ、惑ヰ先輩にアイコンタクトを送る。

 こくり、と惑ヰ先輩が頷いた。事前の打ち合わせなどはしていない。その必要もない。

「──…………」

 惑ヰ先輩が立ち上がると、ざわめきに満たされていた店内が一瞬で凪いだ。

「……みな、自分ナドの誕生会に訪れていただき、本当にアリガタイと、思って、います。マサカ、こんな人数が──」

 一呼吸置き、惑ヰ先輩がこちらに視線を投げた。

 それは、複雑な感情の篭もった瞳だった。

 呆れているのだと思う。

 だって、仕方ないじゃないか。

 惑ヰ先輩の誕生パーティを行う──という情報が誰かの口から漏れたらしく、参加希望者が殺到してしまったのだ。あまり人付き合いを好まない惑ヰ先輩だが、その美貌と存在感ゆえか、密かに憧れている生徒が多くいたようである。

 当初予定していた十二、三人の席は瞬く間に埋まり、溢れ出し、結果として店内を簡素なステージで仕切るほど大仰なパーティにせざるを得なくなった。おれとしても、この現状は不本意なものなのである。

「こんなに大勢の方たちに祝ってもらえるコトが、一生に一度でもあるだなんて、本当に、本当に、思いもしなかった……」

 店内を見渡し、惑ヰ先輩が一礼する。

「お集まりいただき、本当にありがとう。ココロから、礼を」

 ざ──、と。

 降り始めた雨音のように激しくなる拍手のなか、惑ヰ先輩が、おれに耳打ちをした。

「……ありがとう。ウソじゃない。君が何者なのか──自分には、見当もつかない」

「ただの高校生ですよ」

 これは手段だ。目的は、その先にある。

「デモ、自分はきっと、それを知るよ。なんとなく、ソンナ気がするんだ」

 惑ヰ先輩は、そう言って手慣れたウインクをした。

 微笑みを返し、再び声を張り上げる。

「さて! これからしばし御歓談いただきまして、その後──」

 きっと、万事上手く行く。

 そんな手応えがあった。



「──ソーハっさん、ソーハっさん! からあげ持ってきやした!」

「ああ、ありが──って、おい」

「はい?」

 ピカソの持つ大皿には、からあげが山積みにされていた。どうひいき目に見ても、いまこの喫茶店にあるからあげの八割方がここにある。

「あ、レモンなら搾っときましたよ!」

「──……Oh」

 大惨事である。ピカソに頼み事なんて、すべきではないとわかっていたはずなのに。

 おれは、レモン災害の軽そうな端っこのからあげを二、三個小皿にとり、ピカソに告げた。

「……えーと、とりあえずは、ありがとう。でもほら、こんなに食えないから」

「あー、独占禁止法」

 違うが、もういい。

「あ、俺もからあげ欲しい。レモンたっぷり掛かってるとこな」

「私もー」

 カミとキートがからあげを取り分けるのを待ち、ピカソが踵を返した。

「……ね、宗八」

「んぶ」

 からあげが、すっぱい。

「宗八?」

「ああ、はいはい」

 窓海がおれの袖を引く。

「わたし、やっぱり、どうしても気になるんだけど──」

 憂いを帯びた瞳でピカソの背中を見つめながら、窓海が尋ねた。

「……なにをどうしたら、あのピカソくんがこうなるの?」

「あ、私も気になる!」

「……たしかに、最初は教室に乗り込んできたくらいだったのにね」

 シモまで食いついてきてしまった。

「あー、すっぱうめー!」

 カミは、興味なさげに、からあげに食らいついていた。

「──…………」

 思案する。

 さすがにもう〈なんでもない〉では済ませられないだろう。

 この立食用テーブルは、カミ・シモ・キートの三人、窓海、ピカソ、そしておれの六名で囲んでいる。惑ヰ先輩は、店内の隅に設えられたソファ席で、あまり話す機会のなかった生徒たちと歓談するつもりらしかった。

「そうだな──」

 口を開きかけたところで、

「ただいまー、なに話してたんスか?」

「よしピカソ、悪いけどシュウマイのグリンピースだけを集めてきてくれ」

「うス!」

 ピカソが敬礼し、踵を返す。躊躇はないのか。

 この誕生パーティの最大の功労者をパシる自分に疑問を覚えたが、ピカソがいると確実にややこしいことになる。その背中を横目で確認し、テーブルの中央にそっと顔を寄せた。

「──…………」

「──……」

 全員が身を乗り出し、ヒソヒソ話の体勢となる。

「……実際のところ、事故みたいなものなんだよ。本当にたまたまだ。ピカソ自身というか──中世末家の問題に巻き込まれて、体裁を保つのに一役買った。自慢気に聞こえるなら、恩を売ったと言い換えてもいい」

「体裁?」

「そう、体裁。例えるなら──……、そうだな。スカートの後ろ側がめくれ上がっている女子高生に、〈パンツ見えてますよ〉と、こっそり教えるようなことをしたわけだ」

 我ながら的確な喩えだと思う。

「それ、逆ギレするひといそう」

「おれもそう思ったんだけど、中世末家は由緒正しき大和撫子でな。今後なにかと便宜を図っていただけるようになった──と、まあ、そういうこと。今日のパーティだって、中世末家の出資がなければ実現しなかった。納得したか?」

「なるほどねー」

「……なんか、思ってた答えと違う」

 欺瞞を嗅ぎ取ったのか、シモが食い下がる。鋭い。

「悪いけど、具体的な内容は言えないぞ。いくら友達でもだ。せっかく保った面目を潰すような真似だけは、絶対にできない。でも、嘘をついてないってことくらい、すこし考えればわかるんじゃないか」

「……どういうこと?」

「だって、あいつ自身を何度助けたところで、礼を言うかも怪しいじゃんか」

「……あー」

「たしかに」

「なるほどー」

 素晴らしい信頼関係である。

 自業自得とも言う。

「でも、そのおかげでアレが静かになったんだから、宗八さまさまだよな。前なんて、親園にちょっかいかけた男子を、二度と近寄りません話し掛けませんって証文書かせるまで追い回したりしてたし」

「……僕は、可愛らしいラブレターの字体が読み進めるうちに崩れてきて、最後には金釘流の呪いの言葉に変わってくっていう、ホラータッチの逸話を聞いたことあるよ」

「──…………」

 窓海が、ぽかんと口を開けていた。

「どうした?」

「えと、ううん、そんな手の込んでることしてたって思わなくて……」

「あ、でも、殴ったりとかは絶対なかったみたいだよー?」

 そこは、人として本当に最低限のラインだと思うけれど。

「……早まったかな」

 窓海の呟きを聞いたのは、すぐ隣にいたおれだけのようだった。


 ──からん、からん


 真鍮色をしたドアベルが鳴り響き、

「ごめーん、遅くなっちったー……」

 こそり。

 店内を窺うようにして、少女のような顔が扉から覗く。

 ような、とは、他でもない。

「──あ、ことらちゃんだ!」

 見知らぬ女生徒が声を上げる。

 それが、少女ではなく、れっきとした女性であったからだ。

「ことらせんせー!」

「こんちゃー」

「せんせ、こっちこっち!」

 大人気である。

「あははー……」

 コトラが苦笑する。

 おれは、おもむろにテーブルを離れると、

「原先生、お疲れ様です。プレゼントは披露会に出されますか?」

「いんや、大したものじゃないからね」

「ではでは、賓客は奥の奥へ!」

 自然な流れでコトラの手を取り、惑ヰ先輩の傍へとエスコートする。

「──ちょま、宗八! 手! 手!」

 中学生じゃあるまいし。なかば呆れながら、コトラに耳打ちをする。

「……落ち着いてるか?」

「──…………」

 真剣味を帯びた瞳で、コトラがこくりと頷いた。さあ、お膳立てはすべて整った。

「司会、センセに馴れ馴れしいぞー!」

「そうだそうだー!」

「うっせうっせ、役得じゃ!」

 笑い混じりの野次に吠え返し、

「──あー、うん、惑ヰくんや。今日は誕生日おめでとうだね」

「ありがとうございます」

 ふたりの挨拶を尻目に、テーブルへと戻る。ちょうど頃合いだろう。

「カミ、シモ、キート」

「んあ」

「なにー?」

 談笑していた三人へ向かい、

「そろそろ──」

「──ソーハっさん、ソーハっさん! グリンピース!」

 どん!

 眼前に、皿いっぱいのグリンピース。ピカソが満面の笑みを浮かべている。

「──…………」

 ざらららら!

 更に盛られたグリンピースを一粒残らず口に流し込み、咀嚼し、飲み込み、言葉を継いだ。

「ほろほろ披露会に移るはら──、四人は裏で打ち合わせをしておいてくれないか。だいたいはまかせるけど、一曲目は予定通りで頼む」

「……うん、わかった。ちょっと音響関係で確認したいことあるしね」

 シモが頷く。

「ああ、そうか……」

 カミが、げっそりとうなだれた。

「私は?」

「俺は?」

 キートとピカソが同時に口を開く。

「お前らは思いきりやればいいよ。問題は、そう、問題は俺なんだよな……」

「……カミ、落ち着いて」

「シモは今回楽でいいよなあ……」

「……今回はね」

 四人が連れ立って舞台裏へ消えていくと、窓海とふたりきりになった。

「プレゼントの件、すこしは落ち着いたか?」

「うん」

 胸に手を当てて、窓海が答えた。

「……たぶん、大丈夫。駄目でもとっくに手遅れだもんね」

「前向きなんだか、後ろ向きなんだか」

「宗八が言ったんでしょお!」

 そこまでは言っていないが、緊張が解けたならなんだっていい。

「ああ、そうだ。何番目にする?」

「なんばんめ……って?」

「インチキついでだよ。プレゼント披露は六人の予定だ。最初がいいなら最初にできるし、気が変わったなら入れなくてもいい」

「……え、インチキするの?」

「する。だって、最後は、最初から決まってるんだから」

「特別枠にするんだと思ってた」

「あー……」

 その手があったか。

 というか、普通はまずそちらを発想するのだろう。手段を問わない性格は、すこしは是正したほうがいいかもしれない。

「インチキって、どうなんだろう……」

「いいんだよ。ふたり以外は本当にくじを引くんだし」

 嘘だ。

 本当は、場が盛り上がりそうなプレゼントを既に選別してある。何故なら、皆の前で披露することを前提としたウケ狙いのプレゼントがいくつかあったからだ。彼らの厚意を利用しない手はあるまい。

「……なら、いいの、かな?」

 しっかりものという印象の窓海だが、雰囲気に流されやすいところがある。変な男に騙されないことを祈ろう。

 窓海は、しばしのあいだ黙考し、顔を上げた。

「最後──うん、五番目。五番目がいい」

「ああ、わかった」

 一段落したら披露会を始めよう。

 グリンピースの後味をペリエで洗い流し、喫茶店内を見渡す。会話が弾んでいる集団とは対照的に、教室でのささみのように孤立して携帯をいじっている生徒の姿も散見される。

 頃合いとは、このことだ。

 あいだにイベントを挟むことで、退屈の防止、孤立感の解消、及び座席移動による集団の入れ替わりが見込める。パーティの成功は、目的の遂行となんら関係がない。しかし、可能なら楽しんでほしかった。

「──……はー」

 一呼吸して、声を張り上げた。

「皆さん、お楽しみのところ──」



「……とまあ、予想の斜め下を行く上別府さんのプレゼントでしたー」

 聴衆がどっと沸く。

「盛大な拍手を!」

「拍手やめて、拍手」

 カミが、赤くなった顔の前で右手を激しく振った。

「いや、でも、よく鉛筆一ダースのみで披露会に出そうと思いましたね。最後にまとめて手渡しすればよかったのに」

「当たると思わなかったんだよ!」

 こんなオイシイものを拾わないわけがないじゃないか。

「それに、そもそも俺たちのプレゼントは音楽なんだ。そこんとこ強調したかったし」

「なるほど、惑ヰ先輩はいかがですか?」

 マイクに見立てた握りこぶしを、さっと惑ヰ先輩の前に差し出した。

「イヤ、実を言うと、チョットありがたいんだ。自分は、シャープペンシルは苦手で、普段は鉛筆を使うからね。意外とスグに擦り切れてしまうから──」

「ほら正解! ほら!」

「はいはい、たまたま偶然まぐれまぐれ。惑ヰ先輩の優しさに拍手!」

 聴衆の拍手に押され、カミが舞台裏へと帰っていく。

「──さて! プレゼント披露会、残すところ、あとふたりと相成りました! 上別府くんのように、ちょっと恥ずかしい思いをする方はいるのでしょうか!」

「恥ずかしくねー!」

 舞台裏から響くカミの絶叫をあえて無視し、言葉を継ぐ。

「と、そう言いつつも、わたくし司会めはすべてのプレゼントを把握しております。いずれ劣らぬ豪華な品揃え、ご期待ください惑ヰ先輩! 分けてください惑ヰ先輩! それでは抽選まいります!」

 口上を述べながら、おもちゃのビンゴマシンをくるりと回す。

 そして、出てきた白い玉をつまみ上げ、

「はい、出ました! 9番です! 9番は、えーと──」

 くしゃくしゃのコピー用紙を開き、目を通す。

〈9番、3年A組 矢島千鶴 図書券二万円分〉

 このメモは、プレゼントを受け付けたあとに手書きで用意したものだ。内容は誰も知らないし、予備もない。燃やしてしまえば証拠も残らない。

「9番は──2年B組、親園窓海さん! ステージの上へどうぞ!」

 観客がざわめく。

 このなかで、惑ヰ先輩と窓海の親密さを知らぬ者はいない。

 プレゼント披露会のメインイベント──そう考えている者も多いはずだ。

「──…………」

 かちんこちんの窓海がステージへと歩き出すのを確認し、舞台裏のいちばん近いところに置いてあった紙袋を抱え上げた。

 差し出した紙袋を窓海に受け渡す瞬間、

「きっと喜ぶ。保証する」

 そう耳打ちした。

「……ばか、さっき言え」

「いて」

 でこぴんされてしまった。勇気づけたつもりだったのだが、余計だったかもしれない。

「──…………」

 窓海が、惑ヰ先輩の正面で立ち止まる。

「ま!」

 あ、声が裏返った。

「ま──ど、い先輩、た、た、誕生日おねめ、おめでとうございます!」

 直角近くまで腰を曲げて、窓海が紙袋を差し出す。

「……うん、ありがとう。イツモ、ありがとうね」

 たおやかに苦笑しながら、惑ヰ先輩がそれを受け取った。

「開けていいかな」

「は、はい」

 がさがさと包みを開く音。沈黙のなか、幾重もの包装が解かれ、畳まれていく。

 なにも言うつもりはなかった。誰もそれを望んではいないだろうから。

「コレは──反物かい?」

「はい」

 見るも艶やかな、幾本もの円筒。

「もしかして──」

「はい! 惑ヰ先輩が、浴衣を新調したいと聞いたもの、で!」

「ははあ……」

 惑ヰ先輩がこちらを一瞥し、にまりと笑う。

「ウン、これは、ちょうどよかった。和裁の腕が錆びついてないか、不安に思っていたところなんだ。久方ぶりだが仕立ててみよう。反物の礼に、窓海くんにも一枚仕立てようか」

「え、あ、いいんですか!」

「ああ、いいとも。コレは忙しくなるなあ……」

 くく、と喉から笑い声をこぼし、惑ヰ先輩が反物を撫でた。付き合いの短いおれでも手に取るようにわかる。彼女は本当に喜んでいる。恐らく、誰の、どのプレゼントより。

「よかった──……」

 深い嘆息と共に、窓海の全身から力が抜けるのが見て取れた。

 だから、保証すると言ったろう?

 わからないとも言ったけどさ。

「──さあて、次が最後のプレゼント! おい誰だこれで終わっとけって思ったやつ! おれも思ったけど予定は予定! 果てしなく上がったハードルに挑むのは誰だ!」

 ビンゴマシンをくるりと回す。

 出た目は2番。

「──…………」

 短く息を整えて、腹筋に力を込めた。

 さあ、本番だ。

「はい出ました、2番! 2番です! 2番は──」

 メモに目を通すふりをして、言った。

「──はい、不肖わたくし司会めでした」

 がっくり肩を落としてみせると、一笑い起きた。聴衆が沸くのはこれが最後だろう。

「プレゼントは──実は、その、大したものではないのですが」

 胸ポケットから、くすんだ赤色の電子機器を取り出す。

「……? ソレは、なんだい?」

「ICレコーダーです。実は、あなたに、聞いてもらいたいものがある」

 道化の仮面を外す。

「ある少女からのメッセージです」

「──……!」

 レコーダーにイヤホンを繋ぎ、惑ヰ先輩に手渡した。

「真ん中の、丸いボタンを」

「ああ」

 イヤホンを装着した惑ヰ先輩が、躊躇いがちにボタンを押した。

「──…………」

「──……」

 パーティの参加者が、ざわめき始めた。

「アア──……」

 惑ヰ先輩の吐息に声が混じる。

「そうか、ソウカ……」

 おれと窓海にしか届かない声で呟き、天井の、その先を見上げた。

「ねえ、なにが──」

 そう言いかけた女生徒に向かい、そっと人差し指を唇の前に立ててみせた。

 邪魔をしてはいけない。

「──……皆さん」

 沈黙のあと、惑ヰ先輩が呆然と口開いた。

「すこし、用事ができました。主役が先に退席するのは心苦しいが、自分には、ドウしても、行かなければならないトコロがある」

 呆気にとられる参加者に見送られながら、惑ヰ先輩は、ふらふらと喫茶店を出て行った。


 ──からん、からん


 ドアベルの音を鳴り響かせて、扉が閉じる。

「司会さん?」

 我に返った見知らぬ女生徒が、おれに問い掛けた。

「……どーゆーこと?」

「なに聞かせたんだよ!」

「あの、これ、ドッキリ的なやつ?」

 やいのやいのと責め立てられながら、決めてあった文言を口にしようとして──

「──お願い、静かに!」

 ぱん、ぱん!

 窓海が両手を打ち鳴らし、加熱しかけた店内を鎮めた。

「先輩は、最後のプレゼントを受け取りに行ったの」

「……最後のプレゼント?」

「そう、最後のプレゼントだけは、最初から決まってた。決めてあった。つまり、サプライズみたいなものなの。惑ヰ先輩、びっくりしてたでしょ?」

「びっくり、と言うか……」

 参加者たちが顔を見合わせる。

「それで、最後のプレゼントって、結局なんだったんだ?」

 当然の疑問が、誰かの口から発せられた。

「それは──」

 口を開きかけた窓海を制し、おれは答えた。

「それは、品物じゃない。かつて持っていたもの。失われてしまったはずのもの。ほんのちいさな絆。おれのプレゼントは、彼女から──惑ヰ先輩の幼馴染から預かった、一分四十八秒のメッセージだよ」

「──……」

「──…………」

 場に静寂が満ちる。誰しもが戸惑っているように見えた。

 ぱん!

 胸の前で両手を打ち鳴らし、道化の仮面をかぶり直す。

「──とまあ、そういうことで! 追い掛けるのも無粋ですし、本日のパーティはこれにてお開きといたしましょう! 皆さんのプレゼントは、原先生の監督のもと、この司会めが安全確実出前迅速にお届けいたします!」

「え、このまま終わりなん?」

 誰かの言葉に即答する。

「まさかまさか! 惑ヰ先輩の中座も含め、予定通りの進行です! はじまりがあれば終わりもあるさ! 諸行無常の響きあり! 徹頭徹尾、竜頭竜尾でまいりましょう! カミシモキートwithピカソ、最後の仕事だ! やっちまえ!」

 ふ、と。

 すべての白熱灯が消え、闇のなかに白い残像が走る。

 店長、ノリノリで照明係までやっていただいて、本当にありがとうございます。

 暗闇のなか、ピアノの音が響く。

 聞いたことのある旋律。

 それは、とある有名アーティストの代表曲、そのアレンジ。


【──…………】


 誰しもが思わず耳を澄まし、期待する。次の展開を知っているから。

 数秒の溜めのあと、ステージが皓く照らし出された。

 耳をつんざくようなシンセサイザーの轟音と、怒鳴り散らすように激しいキートの歌声が、狭い喫茶店の空気を揺るがした。

 ちいさく歓声が上がる。

 参加者をこの場に留め置くためには、誰も聞いたことのないであろうオリジナル曲では求心力が足りないと思われた。誰もが知っていて、誰もが数秒後を待ち望む、そんな落差のある曲が必要だった。

 いま、この時ほど、忘年会の幹事を毎年押しつけてくる本部長に感謝したことはない。

 このまま二、三曲ほどオリジナルとカバーを織り交ぜて演奏し、最後にバラードで締めくくれば、自然と解散の流れになるだろう。おれの仕事は終わったも同然だ。あとは、惑ヰ先輩の後を追おうとする無粋な輩が現れないかどうか、見張っているだけでいい。

 ふたりの邪魔だけは、させてはならない。

 すべては、いま、この瞬間のためにあったのだから。

「──…………」

 目蓋を下ろし、キートの歌声に耳を傾けた。

 最初に見た動画より、ずっと、確実に上手くなっている。

 すこしだけ寂しく思う。子供は、大人の見ていないうちに成長してしまうから。

 ふと離人感に襲われた。ひとりきりになった気がした。少年期の夢から覚めたように思えた。

 遠い。

 喧騒が。

 楽しそうに笑う彼らが。

 気がつくと、おれは、コトラの姿を目で追っていた。仲間を求めるように。ソファ席に腰を下ろし、ちいさく手拍子を打っていたコトラは、おれの視線を感じたかのように──

「──!」

 不意に手を取られた。

 窓海だった。

「来て」

「ちょ──」

 バランスを崩したまま手を引かれ、


 ──からん、からん


 気づけば喫茶店の外にいた。

 初夏の太陽は既に沈み始めており、細い路地の向こうに赤橙色の雲が霞んでいる。

「待て待て、待てって、窓海!」

「ごめん待てない」

 これは予定外の行動だ。

「あとは、ささみに──ふたりにまかせるはずだったろ?」

「でも、待てない。我慢できない。胸がざわざわして、どうしようもないの!」

 窓海の視線がおれを射抜く。彼女は必死だった。

「恋愛がどうのこうのって話には、絶対ならないって」

「わかってるの!」

「──…………」

「──…………」

 睨み合った瞬間、説得は無理だと悟った。

「……了解、邪魔はしないであげてくれよ」

 窓海の顔が、ぱあっと明らんだ。

「ありがと!」

「ああ」

「──……」

「──…………」

「……手、離してくれないか?」

「ついてきて」

「なんで」

「ひとりじゃ怖いから……」

 夜中トイレに行けない子供か。

「あー、もう、わかったから。小走りで行けばまだ間に合うだろ」

「……ごめんね」

 そう思うなら、ひとりで行ってほしい。

 しかし、窓海ひとりで行かせて、なにかあったら事である。

 走り出そうとしたところで、


 ──からん、からん、からん


 と、ドアベルの音が激しく鳴った。

「おーい、宗八! 親園! どうかしたのかい?」

 コトラだった。

「いや、窓海が、どうしても様子が気になるらしくてな」

「ふうむ、そうか……」

「……わがまま言って、ごめんなさい」

 コトラが、ゆっくりと首を横に振る。

「なに、気になるのは仕方ない。謝ることはないさ。私が親園の立場だったら、きっと同じことをするだろうからね」

 ばたん、と音を立てて歪んだ扉が閉じ、キートの歌声が聞こえなくなった。

「でも、ひとつだけ約束してくれないかい。あの子の邪魔だけは、しないでほしい。あの子の言葉を遮らないでほしい。それはきっと、一世一代の勇気を振り絞ったものに違いないんだから」

「──……はい」

 窓海が重々しく頷いた。

「ところで──」

 コトラがおれたちに詰め寄り、繋がれたままになっていた右手に触れた。

「いて!」

 窓海の手を慌てて振り払い、手の甲を見る。爪を立てた跡があった。

「……星滸塾学園の敷地内で、不純異性交遊は厳罰さね」

 普段通りの眠そうな瞳で、コトラがおれの顔を覗き込む。

 なんだか知らんが、怖い。

 女子高生と手を繋いでいたのは事実だが、不可抗力である。怒るこたないと思う。

「コトラ、悪いけど──」

「はいはい、行っておいでよ。パーティを締めくくるくらいなら、私でもできそうだ。さっさと行って、さっさと戻っておいで。片付けだってあるんだからね」

「ああ、行ってくる」

「いってきます!」

「はいはい、行ってらっしゃい」

 コトラに背を向け、駆け出した。

 細い路地を抜け、ライトアップされ始めた円形商店街に出る。

「──おわ!」

「す、すいませーん!」

 言われたそばから、商品らしき花束を両腕いっぱいに抱えた男性と衝突しかけ、窓海が慌てて速度を落とした。

「急ぎすぎだ。左右くらい確認しなさい」

「だって」

 言い合いをしても仕方がない。ICレコーダーのメッセージでささみが指定した場所は、〈ドーナツの穴〉──噴水池の中央にある時計塔の前だった。荒く削られた正五角柱の時計塔と、そこから伸びる五本の眼鏡橋。惑ヰ先輩がいちばん近くの橋を渡ったとすれば、おれたちは反対側まで迂回しなければならない。

「……なんで五角形なんだ?」

「わかんない」

 橋の数が偶数であれば、完全に裏側まで回り込めたものを。

 走ると目立つ。

 夕闇に紛れ、通行人のふりをして、二本先の眼鏡橋をゆっくりと渡っていった。

 午後六時五十四分。真正面にそびえる時計塔の文字盤が、嫌でも視界に入ってくる。

「──あっ」

 時計塔の根本、その向こう側に、かすかに人影が見えた気がした。

 五本の架け橋は、円形商店街のショートカットとして機能している。人通りは少なくない。しかし、その人影は、たしかに惑ヰ先輩だと直感した。

 理由はすぐにわかった。

 通り掛かる人々の視線が、人影の前で僅かに停滞していたからだ。

「時計塔の裏まで行こう」

「大丈夫かな……」

「ただの通行人を装って、顔を見せないように歩けばいい」

 幸いなことに、時計塔は高さ七、八メートルの偉容を誇っている。幅も、それなりにある。ただ隠れるだけなら、そう難しくはないはずだ。

「──……」

「──…………」

 五角柱の一面にぴたりと貼りつき、耳を済ませた。

 声はない。

 ふたりがいるのかどうかすら、わからない。

 沈黙に焦れはじめたころ、


「──……あの、あの!」


 ささみの声がした。


「あの……」

「……ナニ、慌てなくていいさ。深呼吸してごらん」


 窓海と顔を見合わせる。間に合ったようだ。


「──……ぷあ!」


 不器用な深呼吸の音と共に、ささみの細い声が響いた。


「あの! お、ひさしぶり、仙ちゃん! ささみだよ! えと、えーと、覚えてて、くれたかな。わたし──ぼく、は、覚えてる。ずっと覚えてた。ほんとは、うん、ほんとは、意地なんて張らずに話しかければよかった。ごめんなさい。無視してたわけじゃなくて、意識しすぎてたんだと思い──思う」


 ささみが早口でまくしたてる。惑ヰ先輩に、言葉を差し挟む隙を与えないために。

「──…………」

 胸が締め付けられるようだった。

 ささみは頑張った。本当に頑張った。

 それは、おれなんかより、窓海のほうがよく知っている。


「嫌いになった? そうなっても仕方ないよね。ごめんなさい。本当に。でも、もし嫌わずにいてくれたら、また友達になってほしいんだ。ずっとそうしたかったから──」


 しかし、たったの八日間で敬語癖を完治させることは不可能だった。

 できたのは暗誦だけ。

 脳内に刻み込んだ台詞を読み上げることだけ。


「だから、だから──、もし、許してくれるなら、昔と、同じように……呼んでほしい」


 言い切った。

 敬語なしで話せるのは、ここまで。

 拍手をしたくなった。パーカーの上から頭を撫でてやりたくなった。

 ささみは、できることをした。今できるすべてを。


「──……さみ、ちゃん」


「──ッ!」


 ぽす。

 ささみが惑ヰ先輩に抱きつく姿が、見えた気がした。


「さみちゃん、自分は……自分には、許せないよ。だって、ソンナ必要はないんだから。さみちゃんは悪いコトなんてしていない。……ありがとう、変わらずにいようとしてくれて。デモ、いいんだ。人は変わる。……自分だって、すっかり変わってしまっただろう?」

「仙、ちゃん──」


 ささみの語尾が震えた。


「──……う……」

「さみちゃん、大丈夫だから。なにもかもが、モウ、大丈夫なんだ。だから、イマだけは泣くといい。イマだけは胸を貸すから──」

「──…………」


 ささみの嗚咽が聞こえる。しばらくは泣き止まないだろう。

 視線を隣へと向ける。

 窓海が、時計塔の壁でざりざりと背中を擦りながら、ゆっくりとその場に座り込んだ。

「ひとつ、終わったな」

「……うん」

 停滞し、澱んでいた時間が、動き始めた。

 手頃な位置にあった窓海の頭に手を置き、ぐしゃぐしゃと撫でる。

「……セットが崩れる」

 右手を掴まれた。

 しかし、払いのけられはしなかった。

 窓海の両手が、おれの右手を、自分の頭に押しつけている。

「保証する。あのふたりが、窓海をないがしろにすることは、絶対にないよ」

「……知ってる」

「なら、大丈夫だな」

「大丈夫、だけど──」

 すこしの沈黙のあと、

「……もうすこし、このまま」

「ああ」


 ──がらん、ごろん、がらん、ごろん──……


 時計塔が七時を打つ。

 それは、ささみと惑ヰ先輩の仲直りを、華やかに祝福しているようだった。

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