第25話 君に届いた言葉

第25話 君に届いた言葉


例えるなら、カマイタチと戦っているような感覚

回避をしようにも姿が捉えられない、実体はあるはずなのに目で追おうとしても既に背後を取られているような

「夏樹くん!感覚強化の魔法かけられない!?」

「……ッ!チャージしようにもその一瞬の隙を突かれる!アナライズの作業もしなきゃいけない!」

彼女……リリアは今まで戦ってきた相手とは格が違う

アルタミリア以上の速さで、確実に攻撃を当ててくる

幸いにも武器がナイフだという事で、一撃一撃は軽いのが幸いだが恐らく隙を見せれば首や心臓を狙ってくるだろう

しかも、俺が使っているディフェンダーⅡはこれまでの武器と違い重さがある

バトルアックスの一撃でも受けなければ折れはしないだろうが、スピードのある相手だと途端に無力と化す

ディフェンダーⅡの初陣がこれじゃあ、立つ瀬が無い

(集中力さえ使えれば……)

しかし、集中力を使ってしまえばそれこそ一巻の終わりだ

エルヴィンどころか和也の元に辿り着く前に俺の命は尽き果ててしまう

ノーチャージで発動出来る魔法は低級の各属性魔法、アクセル……それから……


「姿が見えない敵の対策?そういう時は、音を聞けばいいんだ。優秀な暗殺者は姿を隠すのは勿論だが気配や音を消すよう心がけるものだ」


咄嗟にインビジブルを発動する、ノーチャージだから姿を消せるのはほんの3〜4秒くらい

しかし、ほんの一瞬でいいんだ

ほんの一瞬、相手を困らせる事が出来ればそれでいい

「閃空斬ッ!!」

「納刀したまま……!?」

納刀したままだけど、俺は彼女の命を奪うつもりなんて毛頭ない

ディフェンダーⅡをぶち当て、リリアの身体を吹き飛ばす

「……ッ!?」

建物の壁に叩きつけられるリリア、あれだけのダメージを受けたんだから起き上がるのに時間がかかるはずだ

「今だよ、夏樹くん!!」

「ああ!!」

アナライズをしてみたところ、どうやら脇腹に制御装置があるらしい

「あれれ、あっさり攻略されちゃった。幸平くんのスペックはそれほど高くないはずなんだけど」

「夏樹くんも私も、踏んでる場数が違うの」

「場数かぁ、レベルが高くてもスキルポイントが無かったら実戦で使えないって事ですか」

制御装置を破壊するため、俺はサンダースピアでリリアの脇腹を貫く

「飯島さん、これからリリアの治療をするから城戸桜を拘束して」

「はーい」


———————


「すいません、治療のためにベッド借ります!!出来れば綺麗な水と清潔な布があれば貸してください!お礼は後からお支払いします!」

「あ、ああ……」

その辺にあった家屋を借りる、人命がかかっている都合この際礼儀は仕方ない

家主はどこか困惑した様子だったが、一応貸してくれた

全身の筋肉や血管にダメージがある、やはり相当無理をして戦闘をさせていたみたいだ

「あの制御装置、集中力による効果を無理矢理引き出すものか?」

「お、元祖集中力戦法の使い手ですねぇ。大体合ってます」

「あのまま戦闘を続けていたら、彼女は死んでいた。捨て駒にするつもりだったのか?」

「この世界において厄介なのはラングレイ、そして幸平と恵くらいですから。君たちさえ打倒できれば、特別な兵士は要らなくなります」

「……そうか」

「ああ、それから制御装置を外してもあんまり意味ないですよ。彼女の精神制御は催眠・薬物によるもので制御装置はあくまで制御装置。安定して命令を受けさせるためのものに過ぎません。知りませんよ?後からどうなっても」

「黙れ」

例えそうだとしても、彼女の命は絶対に助ける

誰かに命令されるためだけ、人の命を奪うためだけの人生だなんて認めるわけにはいかない

シオの命を奪ってしまったのは俺だ、だけど彼女だけは……


———————


手術開始から1時間半ほど、後は安静にすれば大丈夫だ

「これ、ベッドを貸してくれたお礼です。それからこれは医者に診せるための代金に使ってください」

「あ、ああ……」

家主さんに1000Gを手渡す、正直足りないかもしれない(1G=15円ほど)けど

「城戸桜、お前にも来てもらうぞ」

「へーい……」

「しかし、良いのかい?あの子は君の妹か何かじゃないのかい?」

「いえ、戦場で出会っただけなので……」

「ほう、だったら私が責任を持って育てよう。去年、娘が魔物に殺されて寂しい思いをしていたところなんだ」

「……お願いします」

「いーんですかねー、そんな無責任に」

「だからお前は黙れ」


———————


城戸桜を連れ出し、外へと出ると彼女が突然語り出す

「元々、シオとリリアはハルデルクのミール村出身の幼馴染なんですけどね?ミール村は魔物に襲われて滅びちゃったんですよ」

「滅ぼしたの間違いじゃないのか?」

「いいや、魔物を産み出したのは確かに私ですけど……まぁ、唯一生き残ったのがあのシオとリリアでね」

「可哀想に……」

「で、シオとリリアはご両親に会いたいっていうので私達の協力者になってくれたんですね」

「モルモットの間違いじゃないのか?」

「幸平くんは手厳しいなぁ……まぁ、そうなんですけど。あの制御装置が外れた今、目を覚ましたらどうなりますかね?」

「どういう事?」

「記憶とか感情とか、グッチャグチャになっているはずなんですよ。それから肉体のリミッターも外れっぱなし、ずいぶん無責任な事をしたもんです」

「肉体のリミッター?」

「眠っているときは一時的に通常状態に戻りますけど、目を覚ましたら、精神が暴走して手がつけられなくなるんじゃないかなあ」

どうしてそういう事をもっと早く言わないのかなこの女は!!

いいや、楽しんでいるんだ

シオの命も、リリアの命も弄んで……魔王という存在すらも作れてしまうこの女にとっては世界は単なる遊び場に過ぎないんだ

「……ッ!!ついて来い!!」


———————


「手術完了からおおよそ30分、目を覚ましていてもおかしくないですね〜」

「馬鹿な、まだ寝ているはずだ」

「いいや、リリアは休息も睡眠も極端に短いんですよ。理由は不明ですがね、これは憶測なんですけど家族を失ったトラウマとかが原因なんじゃないかなと……本当に必要な時しか眠らないんです」

「それでも早すぎるだろ」

「いやいや、戦闘で重傷を負った時も治療後すぐに目を覚ましていましたよ」

「だったら急ぐぞ!」

「急いで、どうするんですか?」

「あの家主さんが危ないだろ!」

「リリアを助けるんですよね? 幸平くん……止めるにしたって彼女の精神はとっくに崩壊していますよ?止めるには、どうするんですか?」

「……説得するさ」

「無理だったら?」

「その時は、殺してでも止める」

「ふーん……もうちょっと迷ってほしかったなぁ」

思わず桜を殴り飛ばしていた、こいつはもう人間なんかじゃない

誰かを思いやったり、誰かの痛みのために涙を流せるような人間らしい心が欠落している化け物だ

「飯島さん、そいつを縛り上げておいて……俺はリリアの元へ急ぐから」

「う、うん……」


———————


リリアを預けた家の近くは、複数の死体が転がっていた

そして、家の側には事切れた家主さんが血を流して倒れている

「くそっ……!!間に合わなかったか!!」

そして、惨状を認識して間もなく剥き出しの殺気が俺の方へと飛んできた

クルクルと回転し、無軌道にナイフを振り下ろしての攻撃はまさに獣のそれであった

「リリア……!!やめろ!!」

「お前が、シオの仇……!!」

「ああそうだよ、だから俺だけを攻撃しろ!!」

ナイフによる連続攻撃、ディフェンダーがある以上そう簡単には通らないがその攻撃は異常なまでに鋭い

というか、ナイフである攻撃のはずなのに俺の顔の肌が鋭いもので刺されているように切れている

「剣気……そんなスキルまで!!」

「お前は!!お前が!!シオを……!!」

「くそ……!!」

「お前さえ!!お前さえいなければ!!」


———————


シオは大人しくて臆病な男の子だった、逆に私はお転婆な性格で冒険が好きな女の子

シオは臆病な性格の癖に私の後をついて回るような感じで、特別不快ではないけれど男子としては「無い」なと私は思っていた


「テオジャン遺跡って、まだ傭兵達の魔物狩りも終わってないんでしょ?大丈夫なのかなぁ」

「大丈夫大丈夫!私だってもう12歳で帯刀を許可されてるし……得意なのはナイフだけどシオだって剣は習ってるんでしょ?」

「そ、そうだけど……」

「だったら私達がやっつけてやりましょ!私達の実力を見せて、冒険者として旅立つことを認めさせるの!!」


でも、いつの日からだろう?

私はいつの間にか、冒険者として旅立つにはシオと一緒だと思い込んでいた

シオははっきり言って弱っちいし、女々しいし多分男の子の格好よりも女の子の格好の方が似合う

逆に私は、顔立ちは綺麗だと言われるけれどスカートなんかあんまり似合わないしヒラヒラした服も苦手だ

シオと私は性別を交換した方が良いんじゃないかとか言われるけど、シオは時々……ほんのたまに男らしいところを見せる

だから、私も少しだけ料理の練習をしたりシオの服がほつれた時は私が縫ってあげたりする

するとシオは驚いたりする、そんなシオは最近剣術の稽古を始めた

きっと、女の子らしくなる私に対抗してなのかなんなのかよく分からないけどシオは最近男の子してるなぁとは思う



結局、遺跡の魔物はまるで相手にならなかった

レベル差があったのも大きいけれど、魔物側がそんなに戦闘に慣れていなかったという印象だ

そろそろ村に帰ろうかというところ、村の大人の声が遺跡に響いた

「おい、シオ!!リリア!!」

「ヤバい、見つかった!?」

「ごめんなさい!!すぐ村に帰ります!!」

「その逆だ!!今は村に帰っちゃいかん!!」

「どういう事?」

「魔物だ、魔物が……ミール村を襲ってやがる……」

大人の人、ジルさんは腹部から大量に出血していた

おそらく大きなツノで腹を突かれたのだろう

「リリア、治癒魔法使えない?」

「やってみる……」

これほどの大きな怪我は治療した事ないけれど、ゆっくり焦らずやればきっと治せない事はないはずだ

しかし……


「もういい、リリア。俺はもう、助からねえ……ここまで来るのに血を流し過ぎた」

「えっ?でも……」

「無駄に体力を使い過ぎるな、お前達はB-765地区に行け……そこでは魔王への反抗組織が……うぐっ!」

「ジルさん!!」

「非常用の食糧だ、距離はあるが2〜3日踏ん張れば辿り着けるはずだ……」


———————


それから夜明けを待ち、ミール村へと戻るとそこには誰も残ってはいなかった

文字通り全滅しており人っ子ひとり残らず魔物に食い殺されていた

「僕……お墓作らなきゃ、みんなのお墓を」

「私も手伝う」

女だろうが子供だろうが容赦ない、魔王が生み出した存在だから当たり前かもしれない

中には人の形を殆ど残していない死体もあって、何度か吐いたけどいつの間にかすっかり人間の死体に慣れてしまった

幸い、魔物は食糧にあまり手をつけていなかった事もあり何度かそれで凌ぐことが出来た

父さんと母さんはお互い庇いあうような形で死んでいた、シオのお母さんはシオの妹を庇うような体勢で妹と一緒に焼け死んでいたという


「ねえ、リリア。僕は母さんとアクア……妹が死んで悲しいけれど不思議とね? 母さんがアクアを庇った事が誇らしいんだ。おかしいよね、きっと死んで悲しいって気持ちから目を逸らしてるんだよ」

「私もそうだよ、だけど……きっとそう思うのが今は正しいんだ」


ジルさんの遺言通り、私たちはB-765基地へと向かう

しかし、その道中で食糧も水も尽きてしまった

「もう、ダメだね……私達」

「うん……どうせだったら、きちんと恋をして、キスをして、結婚して、子供も作りたかったなあ」

「キスだったら、今すぐにでも出来るよ」

「なんか、妥協してるみたいで嫌だなあ」

「そっか、そうだよね」

「いや、本命だから……嫌なんだ。本当に君の事が好きだから、きちんと恋をしたかったんだ」

「私も、私もね……シオの事が……」


———————


「シオの事が……大好き……」

目の前の心が壊れた少女の瞳から、涙が零れ落ちた

もうこの世界にはいない少年への愛の告白

何度も何度も心を掻き乱されて、身体もメチャクチャに改造された少女に残されたたった一つの真実

「だったらもうやめろ!!やめてくれ!!そんな事、シオ君だって望んでいないはずだ!!悪魔みたいな奴に良いように操られて、街をメチャクチャに破壊して、誰彼構わずに殺して……今の君は、魔物と一緒だろ!!」

「お前は……シオの、仇だああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「ッ!!」

ゆらりと力なく立ち上がるリリアの手には、ナイフが握られ俺の腹にそれを突き立てる

防御は間に合わない、それに……一か八かの賭けに出ることにした

心に訴えるには、こうするしかない

「そうだ、俺だけを憎めばいい……人を殺した分はその分だけ人を幸せにして償う……だから、もうやめてくれ」

もう何度目かの、身体を突き破って異物が挿入されるような感覚と、身体を引き裂かれるような激痛

でも、それに負けずに俺はリリアを強く抱き締める

「あ……ああ……!!」

リリアは必死にナイフを引き抜こうとするが、上手く引き抜けないでいる

それでいい、君はもうこれ以上誰かを傷つけてはいけないし俺が殺してしまったシオ君だってそんな事を望んでいない

彼女がかつてどんな人だったかは知らないけれど、きっと本当は魅力的な少女だったはずだ

だから、もうこれ以上誰も傷つけさせたくない

「うああぁぁぁぁ!! 私、私は……シオ……!!パパ!!ママ!!シオ!!助けて、頭が……割れる……!!」

リリアは悶え苦しんでいる、だがそれでも彼女を離さない。彼女に俺の心が届くまで



「リリアに伝えてほしいんだ、僕はもう大丈夫だから。もう、苦しまないで。ずっと苦しかったけど、リリアと一緒にいられて僕は幸せだったよって」



頭の中にシオ君の声が響いた、これが俺の妄想なのか本当に彼の声なのかは分からないけれど

だけど、これは本当に彼の声だったという不思議な確信があった

だから、伝えよう

「リリア、俺……今、シオ君の声が聞こえたよ。もう大丈夫だから苦しまないで、リリアと一緒にいられて幸せだったよ……と」

「シオ……私、も……幸……せ……」

リリアは意識を失い、俺の腕の中で眠りに落ちる



「先に逝ってるよ、リリア。沢山色んなものを見て、沢山幸せになってね。土産話楽しみにしてるよ、恋をして、キスをして、結婚をして、子供を作って……少し妬けるけど、君の幸せを待ってるから」

「シオ君!!俺、君の事を……助けてあげるどころか、敵として殺してしまった……」

「僕は貴方に感謝しています、でも……悪いと思うならそうだなぁ。リリアを守ってあげてください、お転婆で色気は無いけど優しい女の子だから」


———————


取り敢えず、飯島さんと合流をしよう

飯島さんと合流してから、病院までリリアちゃんを送り届けなければいけないし……体重が軽いとはいえ彼女をおぶったままでは戦えない

どっかのソルジャー クラス 1stだってトモダチを置いてから敵と戦っていた(無防備過ぎない?とか思ったけど)

桜が何か悪さをしでかす可能性もあるし、ラングレイさんと合流する前に和也やエルヴィンとエンカウントしたら勝ち目が無い

飯島さんがいれば確実とまではいかないけど、多少生き残る事が出来る可能性はある

でも、その前に……

「飯島さん!」

「夏樹くん……無事だったの?って、リリアちゃん……生きてるの?」

「うん……まずは病院とか教会に預けないと」

「お腹、血塗れじゃん!!大丈夫なの!?」

「ああ、もう止血したし増血剤飲んだし臓器の治療もしたから平気だよ」

「セルフ手術とかブラックジャック?じゃあ、ラングレイさんと合流しよう」

「うん、でもその前に……」

「お?戦闘終了ですか、お疲れさm」


バキィ!!

縄で縛られた桜を思いきりぶん殴る

「ふごぉ!?」

「お前は法律の名の下に裁かれなければいけない、だけど……心を捻じ曲げられ身体も改造されたアルバートさんやシオ君、リリアちゃんの痛みを……思い知らせてやらなきゃ気が済まない!!」

「な、なんすか!?なんすか!?私、幸平くんに何かしましたか!?」

「一体いくつの絆を引き裂いてきた!?どれだけの人間を苦しめた!?どれだけの人間が魔物に殺された!?どれだけの人間を、実験に利用した!?」

何発も、何発も、桜を殴っては蹴った

骨の軋む音も聞こえたし、吐血もしているが止まらない

「だ……だって、ルグニカも……」

「ルグニカなんて名前で呼ぶな!!」

「……えーと?アルバートも、シオもリリアも生きてて何になるんです?」

「なんだと?」

「家族を失ったアルバートの生きる意味は? シオとリリアだって、冒険者になって何かを見つける保証もないし……私が実験してきた人間は特別これといったものの無い、生きていてしょーもない人間ですよ?歴史に名前が残る人間なんて、いやしませんよ?」

「才能が無い人間なら殺してもいいのか?」

「違いますか?人間ひとりひとりの人権なんかいちいち守っているから世界ってのは停滞するし、優秀な人間が世界を治めないから世界は歪む。貴族が優秀な血脈がどーのなんて言ってるからおかしな方向に進んでいくんですよ」

「ふざけるな!!」

思いきり桜を蹴り飛ばすと、今度は歯が折れたのか血の塊がダラリと流れ落ちる

「命は皆平等だなんて言わない、優劣はあるし個人差もある……みんながみんな幸せに生まれてくるわけじゃない。だけど、お母さんのお腹の中でお母さんに会うために必死に子宮の中で生きるんだ!!そして、お腹の中から出てきてやっとお母さんに会えて、その次はお父さんに抱っこされて……お母さんとお父さんに沢山愛されるんだ!!大きくなったら友達を知って、恋をして、本気でお父さんお母さん以外の他人を愛するんだよ!!そして、新しい命が生まれるんだ!!お前なんかがなぁ、簡単に壊していい代物じゃねえんだよ!!分かったか!!」

「清々しいまでに青臭いセリフ、よく吐けるなあ……」

「黙れ!!」

トドメのローキックが綺麗に決まり、桜の眼鏡が割れた

「ふべぇ!!」

「夏樹くん、彼女に尋問しなきゃいけない事山ほどあるから程々に……ね?」

「……分かってるよ」

一先ず、ラングレイさんとの合流を目指して俺はリリアちゃんを背負って飯島さんは桜を背負った

飯島さんは大変そうなので交代しようかと思ったけど、こっちの方がきっといいと飯島さんにやんわり断られた

「シオ……さようなら……」

走ってる途中に聞こえたリリアちゃんからのシオくんへの別れの言葉、どうやら少しだけリリアちゃんの中で何かが前に進んだらしい

リリアちゃんの身体はすごく軽いけれど、俺はきっとリリアちゃんの人生を一生背負わなければいけないのだろう

でも、その前に……


続く

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