第17話 兵士の役目

幸平「集中力を使うととんでもなく身体が疲れるのなんとかしたいなぁ」

ラングレイ「幸平が使う集中力はあまりに特性が違い過ぎるから集中力と呼んでいいのか微妙だね」

イライザ「身体能力の向上はもちろん、一度見た技の再現に、各感覚の強化……使えば最強クラスの戦士になれる反面数十秒しか時間が保たない上に身体への負荷も非常に大きい。諸刃の剣ですねぇ」

ラングレイ「集中力をほんの一瞬だけ発動して解く事が出来たら便利なんだけど」

幸平「前に試したら可能は可能だったんですけど、疲労感が半端ないので長時間維持した方が遥かにマシでしたよ」

ラングレイ「人間そんな急に便利にはなれないか……」


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「オッラアアァァァァァァ!!」

リン曹長は明確に格上であるユーグレウス相手にガンガン攻めている

リン曹長は特に秀でた才能のない一般人であり、本人も「剣を振るうよりも飯作る方が得意」と認めているほどだ

一方で、ユーグレウスは本物の実力者でありハルデルク軍でアルタミリアに並ぶ最強の戦士である

「どうした?手ぇ抜いてんのか!!」

「君の実力に合わせているだけだ、本気を出して一瞬で終わったらつまらないだろう」

「舐めんなよ……!!」

リン曹長は連牙槍撃を繰り出すが、やはり全段躱されてしまう

「完成度の低い攻撃だ、ただ出鱈目に突きを繰り出すだけなど……子供でも出来る」

「舐めんなって、言っただろうがッ!!」

リン曹長の連牙槍撃はただ出鱈目に突きを繰り出すだけだが、本来は俺のアクセルを使った上で避けられないほどの高速連続攻撃として使うのが正しい使い方だ

「お前の瞬光斬のような戦いにおける決め手が欲しい」と相談してきたので、話し合い特訓した結果生まれた技だ


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「幸平、どうして瞬光斬が強いか分かるか?」

「とんでもなく疾い技だからじゃないですか?」

「ああ、とんでもなく疾い技だからだ。だがとんでもなく疾いとどうして強い?」

「俺がラングレイさんと戦って困ったのは……やっぱり防ぎようが無いからですね」

「防ぎようが無いと、反撃やカウンターが出来ないよな?だから強い、必殺技ってのは必ず決め手になる技だ……俺は他の奴らと違ってスピードもテクニックも劣る」

「……リン曹長は、ムキムキのパワー系ではなく勢いがありますよね」

「そりゃ性格の問題だろ」

「スタミナがあるんだし、ガムシャラに攻撃するってのを必殺技にすれば良いんじゃないですか?」

「んー……例えば?」

「反撃を許さないほど連続で突きまくるとか」


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「オラアアァァァァァァァ!!」

「まだ見切れますよ……!!」

「だったらこれでどうだあああぁぁぁぁぁ!!」

リン曹長と俺は特訓を重ねた、元々動体視力や見切り能力を鍛えていた俺は連牙槍撃の特訓相手にはぴったりだった

三連続くらいしか繰り出せなかったものは十一連続ほど技が繋がるようになっていき

もっと確実なものにするためには、俺のアクセルをバフとしてかけた方がいいという事でアクセルを使用した上での体の動きの特訓なんかもした

そして、連牙槍撃は完済した


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アクセルをかけていない連牙槍撃、それは技としては未完成だ

防がれ、反撃を許すようでは意味が無い

だからリン曹長は何かしら決め手を用意しているはずだ

それは……

「俺には、腕が2本ついてんだぜ……!!」

「何を……」

軍服というのは機能的に作られている、軍服の下には身体を防護するためのインナーアーマーを仕込んでいる

共通の装備はアイアンブレストという胸部を防護するもの

そして、軍服には多数の小物が入るポケットが取り付けられている

任務用のメモだとか、火をつけるライターだとか

そして、殆どの兵士が身につけているものが

「兵士上がりなら誰でも持ってんだろ……!!」 「コンバットナイフ……!?」

肘関節、剣士にとっては生命線とも言える場所だ

リン曹長は明確にそこを狙って突き刺した、動脈が通っている故に激しく出血をする

「最強の剣士も、腕をやられたら……剣を握れないよなぁ!!」

「くく……!!ハハハッ!!そうか、つい俺は兵士は剣だけで戦うものという思い込みが身についてしまったらしい!!」

「アンタ、最初の方は魔法で戦ってただろ」

「君を凡庸でつまらない雑兵だと思っていた事を詫びよう……」

膨大な量のクリアスがユーグレウスの右掌へと収束していく、風属性だ

「リン曹長!!危ない!!」

「ッ!?魔法かよ!?」

「サイクロンブレード」

ユーグレウスは右掌をリン曹長の腹部を押し付け、サイクロンブレードを発動した

「……アンチスペルッ!!」

「既に遅い……!!」

急いでアンチスペルをチャージしたが、サイクロンブレードの発動を許してしまった


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リン・スティンバーといえば、メルドニアでは札付きのワルだった

下民の生まれで、学もなく将来なんかなにもない

つまらない人生を送り、貴族にいびられるだけの人生なんだ

そんなつまらない考えで、物を盗むわ女遊びをするわで仕事といえばジャンク品漁り

本当に食えなくなればわざと兵士に捕まり、不味い飯を食うだけ

「こりゃあいずれは罪が積み重なっての死刑だなぁ」

「良いのかよこのままで」

「別に……どうせ、真面目に生きたって騙されて殺される。貴族に遊び半分で殺される……」

「そりゃそうだけど……」

「ラングレイ・アルカストロフってのは下民の生まれなのに騎士になったそうじゃないか」

「兵隊さん……ねえ」


———————


ラングレイ・アルカストロフ……俺も聞いた事がある名前だ

天才的な剣術、そして魔法の腕前

物腰は柔らかく、清潔感が溢れる誰からも親しまれる騎士の筆頭

話によれば聖騎士エルヴィンと人気を二分しているとか

俺はその噂を確かめるべく、城に忍び込んだ

「ラングレイ・アルカストロフ……アンタが下民の生まれってのは本当か」

「キミ……ここ、関係者以外立ち入り禁止だよ?」

「どうやって成り上がった」

「……聞いてないね。勉強して、鍛錬したんだよ」

「俺も、騎士になれるか」

「無理だね」

「何でだ!?」

「ただし、俺が推薦すれば話は変わってくるよ」

「……何をすればいい!?」

「勉強して、鍛錬する事だ。君、前科持ちだろ?更生するって言うなら正規兵として登用してあげよう」


———————


待遇はまぁ酷かった、前科持ちは伍長にすらなれず三等見習いからのスタート

飯の準備、掃除、ゴミ捨てだのトイレ掃除だの雑用から始まり

毎日のように稽古、試合、稽古、試合の繰り返し

時には街に繰り出して汚い、キツい仕事の手伝い

そんなのが1年くらい続いていく

罪人上がりの軍人というのは少なくない、兵士というのはリストラが無いから職がなくなる事が無い

そんな雑用をこなしていた日、すっかり俺は筋肉がついて剣術の腕も少しはマシになったという自覚が出来ていた

知り合いのガキンチョがいきなり話しかけてきた

「リン兄ちゃん、本当に兵隊になったんだ!!かっこいいね!!軍服?」

「ああ……まぁな、見習いだから階級章もないけど。けど、もう少し耐えたら伍長に昇格出来る」

「ごちょー?」

「1番の下っ端、だけど給料は良くなるし綺麗な部屋を使わせてもらえる」

「本当!?」

「ああ、伍長に昇格したら飯を食わせてやる」

「うん、約束だよ!!」

だけど、その約束が果たされる事は無かった


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商業用倉庫街で異臭騒ぎが起きたと通報があった

そこで、ガキンチョの死体が発見されたのだ

ガキンチョの遺体は腐敗が進んで一部がミイラ化していたものの、顔つきなどから一目でそれと分かった

身につけていた衣服ははズタボロで、下半身に着衣は一切無く

首の裏側にナイフによる刺し傷があったのだ

グランス……当時は確か伍長と一緒に捜査をする事になった

「ガキンチョ……」

「リン一等見習い、知り合いか?」

「ああ、貧民街の……知り合いのガキンチョだ」

「この子の名前は?」

「ダン……ダン・ウィーゼン」

「ダン、良い名前だ。ご両親に連絡をしなければいけないな」

「両親は……いません、こいつ、親に捨てられて貧民街に迷い込んだんです」

「そうか……痛かったな、苦しかったな……兄ちゃんたちがお前の仇を取ってやるからな」

グランスさんは、ダンの亡骸をしっかりと抱き締め彼の死を悔やんだ

必ず、犯人を捕まえてお前の無念を晴らしてやるぞと約束をした


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ラングレイさんの指揮の元、証拠を少しずつ洗い情報魔道士の解析などを交えて慎重に行われた

そして、犯人がついに特定された

ゴルニス・アルダインが当主を務めていたアルダイン家の分家であるマルスト家の当主の息子、エルダイナ・マルスト

とんでもない不良息子であり、倉庫街でたむろしていたところガキンチョとぶつかり服が汚れてしまった

ムカついたので腹いせにイタズラをしてやろうと、殴る蹴るなどの暴行を加えた末に彼を強姦したのだという

ラングレイさんはエルダイナを取り調べた際に、こう吐き捨てたという

「どうせ犯るなら、女にしとけば良かったよ……男相手じゃあんまり燃えなかったし」


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しかし、彼を逮捕するだけでは事件は解決しなかった

「ラングレイさん、エルダイナに執行猶予がついたって本当ですか」

「ああ、彼は精神的に重い障がいを負っていると認められ罪が軽減されたそうだ。彼に責任能力が無いという事だ」

「どういう事ですか、精神に障がいってのは……あいつは取り調べ中に妄想に取り憑かれていましたか……取り調べのログ、観させてもらいましたよ。不真面目だけどしっかり受け答えが出来ていた……責任能力が無い?人一人を殺しておいて……実質の無罪!?」

「司法省に直訴したが、却下された……我々の権力ではどうにもならぬと、司法省の人間も涙を流していた」


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夜間の倉庫街には一部の人間を除いて誰も近寄らない、近寄る必要が無いためだ

それに、倉庫街には犯罪者達がたむろしているから近付いてはならないと言われているためだ

18番倉庫内から少女の声が聞こえてきた

鍵を無理矢理破壊し、扉を開けると少女が服を破られ柱に縛り付けられていた

「た、助け……!!」

少女が声をあげようとした途端、見覚えのある男が少女の顔を殴りつける

「エルダイナ・マルストだな……未成年への暴行・監禁による現行犯で逮捕する」

「なんだぁ?てめぇ」

「リン・スティンバー伍長だ、もう逃げる事は出来ないぞ」

「は!!いいぜ、どうせ俺は精神障がいが認められて、執行猶予がつくんだ!!」

「執行猶予中の犯罪の発覚は確実に有罪になる、そんな事も知らないのか」

「俺はな、マルスト家の人間だぞ?そんな事どうにでもなる!!」

「だったら……今ここで、俺がお前を殺してやる」

少女が事の重大さを察したのか悲鳴をあげる

「ダンは……ダンは、まだ子供だった。バカだけど、優しくて、健気で……!!」

「誰だよ、ダンってのは!?」

「お前が殺した、子供の名前だ!!」

剣を抜き、エルダイナの頭を叩き割ろうとするとラングレイさんが叫ぶ

「やめろ!!リン伍長!!」

「止めるな!!こいつはいまここで殺さなければ、ダンみたいな子供の未来が絶たれる!!」

「君はメルドニアの兵士だ、罪を犯すな!!」

「こいつを野放しにすれば、こいつは罪を犯し続ける!!」

「フリーズボディ・バインド!!」

ラングレイさんの放った魔法で、俺の身体が拘束される

「く……くそぉ!!離せ!!」

「許してくれ、リン・スティンバー……さて、エルダイナ・マルスト。今ここで、君は兵士に襲われる幻覚を見たと思うが……次に罪を犯せばどうなるか分かっているな?」

「はぁ!?どうなるってんだ……」

「俺は君を、この世界から跡形もなく消し去る事が出来る……証拠も残さずに、仮に証拠が出たところで俺の『権力』なら揉み消すことも出来る……治癒魔道士もマスターした俺なら、人体のどこをどう破壊すれば苦しんで殺すことが出来るかも知り尽くしている……それでも君は、新たに罪を犯すか?」

「あ……あぁ……!!」

エルダイナはラングレイさんの言葉に震え上がり、思わず失禁する

拘束されていたのでラングレイさんの顔は見えなかったが、きっと「人殺し」の目をしていたのだろう


———————


「すまなかった、リン伍長」

「あのフリーズボディ、本気だったでしょう。めちゃくちゃ痛え……」

「咄嗟だったんだ、許してくれ」

「……ラングレイさん、兵隊を続けていく事に意味なんかあるんでしょうか?」

「俺はこの国を変える、必ず貴族の支配からこの国を取り戻す」

「……テロでもやるんですか?筆頭騎士が」

「もっと地道にやるさ、オルディウス陛下も味方についてくれている。だから俺は暴力なんて手段は使わない」

「その間に誰かが傷ついたら?」

「その時は全力で戦うさ」

「……そうっすか、でもダンはもう戻ってこない」

「兵士の役割を知っているよね?」

「兵士は国のために、人民のために任務を全うする……でしょう?」

「それはマニュアルに書かれている答えだ、でもそれだけじゃない」

「民間人と部下の命を全力で守る事だよ、そのために兵士というのは存在している……だけど、今はそれを全うできない環境にある……ゆっくりと優しいやり方で変えていくんだ、俺達は」

「じゃあ、俺は……」


———————


「リン曹長!!」

サイクロンブレード、風属性の上級魔法……風の刃が俺の身体をズタズタに切り裂いていく

幸平が俺の方に走ってくる、治癒魔法をかける気だろうが……

「まだだ!!まだ、10分経ってねえぞ幸平!!」

「でも……!!」

「勝ち目が無えって言いたいんだろう、でもな……ここでお前が無駄に体力を使えば、本当に勝ち目が無くなる!!」

「リン曹長……」

「部下の命を守るのが、兵士の仕事だ……でもな、それ以前に人々の命を守るのが俺達兵士の仕事だ……こいつが何をしたか知ってるだろ、人々の命を踏みにじった!!俺達兵士の天敵だ!!」

「お前の命は風前の灯火……」

「風前の灯火だろうが……火ってのはタネがあれば、激しく燃え上がるんだッ!!」


———————


「幸平って、なんだかんだ特別な存在だよな〜」

「そうですかね〜?集中力は、誰でも持っているありふれたスキルなんですよ、あんまり使わないだけで」

「つまり、俺もなんか特訓すれば幸平みたいにとんでもない集中力を発揮できんの?」

「集中力はぁ〜トリガーさえ引けば誰でも使えるんですよ〜」

身体の中から莫大なエネルギーが、クリアスが身体を活性化させるような感覚

そうか、これが集中力という力なのか

「リン曹長……!?」

「ならば、俺も使わせてもらおう……集中力、解放」

「遅え!!」

リン曹長がユーグレウスの背後を取るが、ユーグレウスはリン曹長の剣を受け止める……が

リン曹長は立て続けに激しい攻撃を仕掛け続けた

「なんだ、お前の力は……?」

「ユーグレウス、お前は強い!!きっと、ラングレイさんと同じくらい強いんだろうな!!」

変幻自在、予想しきれない攻撃

きっと、今の俺が集中力を使っても見切る事が出来ないだろう

あれが、リン曹長の思い描く攻撃なんだろう

「幸平ッ!!」

ハンドサイン、俺にアクセルを使えといういつものサイン

「アクセル!!」

「愚かな……!!」

愚かな……?どういう意味だ

「幸平にあとは全部任せるつもりだったが、気が変わった!!俺がお前を倒す、お前を倒してハルデルクのバリアを解放するッ!!」

「だがお前に、魔王様は倒せない!!」

「俺が倒すんじゃねえ……この世界にはな、お伽話みたいに勇者様なんてのはいねえ……異世界から来た奴は気が優しい奴だったり、よくわかんねえ奴だったり、気ばっかり強いお転婆娘だったり……あいつらだけに任せられねえんだよ!!だから!!」

リン曹長の剣にオーラが収束していく、今まで使えなかった剣気を無意識に習得したのだ

「束になっても、倒せない!!」

閃空斬、俺の技だ

その威力は俺が使ったもの以上の力を生み出し、ユーグレウスの真紅の鎧を破砕した

「束になんかならねえよ、力を合わせて!!魔王をブッ倒すッ!!」


———————


「全く……とんでもない男がいたものだ……」

ユーグレウスは血を吐き、悔しそうに呟く

その瞳には光は宿っておらず、死も目前なのだろう

「見たかよ、俺の勝ちだぜユーグレウス」

リン曹長も力が抜け、膝をつく

「リン曹長!!」

「無駄だよ、異世界の戦士」

「何……?」

「彼はもう、助からない……負荷の大きい集中力を満身創痍の身体で、しかも強化魔法を受けて行使したんだ。それがどれほどの負担を強いるか、理解出来ない愚か者ではないだろう」

「……!!」

言葉を失う、自分が死ぬことを分かった上でリン曹長は

「アクセルを使わなかったら途中で、力が尽きていたんだ……」

「リン曹長……どうして……」

「部下を守るのは上司の役目、俺はな……俺が兵士になったのは、少しでもいい暮らしをするためだ。ラングレイさんは、剣と魔法で成り上がった。ああなりたかった……でもな」

「でも?」

「兵士になって分かったのは、苦しい思いをしている人間は思ったより大勢いるって事だ。守りたかった、守らなきゃあいけない……どうして、正しく生きようとしている人間が、正しく生きられない?そんなの、間違ってるだろ?」

「……」

「平和な時代が来たら、誰でも入れて誰でも美味いもんを食える店を開くつもりだ……ったんだが、もう……それも……叶わないらしい」

「リン曹長……!!」

「身体の中のクリアスもスッカラカンだ……蘇生も無理だろうな、幸平……後は、任せた」


———————


地下基地に戻ると、ラングレイさんがリンド大尉と共にこれからの作戦について話し合っているようだった

「リン隊、ただいま帰還しました」

「幸平、リン曹長は……」

「殉職されました」

「そう……か、これからの晩飯は寂しくなりそうだなぁ」

「それから、リン曹長はユーグレウスを討ち取りましたため魔王軍の戦力は大きく低下すると思われます」

ユーグレウスの軍服のエンブレムを手渡す、軍人が軍人を討ち取った場合軍人のエンブレムを手渡す事になっている

「ユーグレウスを……随分、無茶をしたものだ」

「どうして、正しく生きようとしている人間が正しく生きられないのか……」

「リン曹長に昔、問われたよ……彼が死んだ今、約束を果たせなかったら呪われそうだ」

「約束?」

「優しいやり方で、世界を変える……貴族も平民も無い、正しく生きられる世界にすると」

「そんな世界になったら、俺……レストランを開きますよ」

「店が出来たら、リン曹長も喜ぶだろうなあ」


続く

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