第5話 新しい相棒
第5話 新しい相棒
前回までの主人公になりたい人生だった
夏樹幸平
職業:戦士
レベル10
主人公
取り敢えず戦士として修行を積んでいる
目覚ましいスピードで成長しているが、才能とかではなく努力の賜物
大型魔物、アーマードベアとの戦いで活躍するが倒れてしまう
装備
ノーマルソード
アイアンブレスト
スキル
無し
飯島恵
職業:学生
レベル21
嶋村和也に恋する女の子、和也を救うために格闘家として修行を始めるが天性の才能でメキメキ成長する
装備
アイアンナックル
格闘家の服
スキル
剛・波動掌
烈風脚
嶋村和也
多分ハルデルクにいるんだろうね、行方不明
職業:学生
レベル:?
装備品:?
ラングレイ・アルカストロフ
職業:ナイトマスター
レベル45
HP524
MP398
装備品
グランドスラム(剣)
リフレックス(鎧)
マスターガード(盾)
破邪の聖刻(アクセサリー)
スキル
守護防壁
天雷絶剣
大嵐の刃
瞬光斬
練習試合だろうと稽古だろうと回復できるからって血を吐かせるほど痛めつけるのってよくないと思う
オルディウス・グラン・メルドニア
職業:国王
レベル20
HP155
MP50
装備品
王家の剣
王家の鎧
王家の盾
王家の兜
スキル
アークストライク
アークシールド
優しい王様なのだ
イライザ・エルテミシャ
職業:占い師
レベル34
装備品
プリズムダガー(短刀)
占い師の服(衣服)
マジックブースター(アクセサリ)
スキル
未来予知
スペルアクセル
マジックシールド
ちょっと暑いですね〜とかいって服をパタパタさせたり、胸を押し付けるとラングレイは大変なことになるって彼女がいってました
———————
イライザさんが言うには、俺が大型魔物……アーマードベアを撃退できたのは「集中力」を発動したからだという
集中力とは、いわゆるスポーツ選手の「ゾーン」なのだと俺は推察する
しかし、スキルにおける集中力はごくありふれたものでセルフでバフをかける程度のもので
素人に毛が生えた程度の俺がアーマードベアの硬い甲殻を切断出来たというのは異様な事なのだという
それに集中力の反動も疲れる程度で動けなくなるほどの負荷がかかるのもまず無いらしい
「身体に負荷がかかるという事は、身体が出来上がる前にそれ以上の能力を用いたという事だね」
「まるで、俺が理想として描いた剣士になったような感覚なんです。思った通りに、イメージ通りに身体が動く」
「だがその結果がこれなら、身体が完璧に出来上がるまではそのスキルは発動禁止だな」
「やっばり、そうですよね」
どの道、あのスキルを発動するキーが分からないから禁止もなにも無いんだけど
———————
治癒術のお陰で歩き回れるくらいにはなったので、今日は飯島さんの稽古場に顔を見せてみる
天才と凡才という差がある以上、参考にならない可能性はあるが身体が動かせない今は少しでも手がかりが欲しかった
「烈風脚!!」
飯島さんは高く飛び上がり、脚を回転させて大石に蹴りを叩き込む
が、大石にヒビが入る程度でやはり通用しないらしい
「くぅ……!!やっぱり固い!!」
「飯島さん……何してるの?」
「夏樹くん」
———————
「アーマードベアは鈍重だった、けど硬いしパワーがあったでしょ?」
「うん」
「格闘家って戦士よりもスピードがある分、パワーで劣る……それを手数で補う。だから硬い魔物が現れた時に無力になっちゃうの」
「……そのパワーを補いたいんだね」
「ねえ、夏樹くん。あの時どうやってアーマードベアを斬ったの?」
「どうやって……?」
あの時は何というか、トランス状態だったからあんまりはっきりとは覚えてない
無駄に力を入れなくても、ただ相手を斬ろうという意思だけで動いていたから特別に硬い相手だから力を込めて……とかでは無かった
「相手を倒す事だけを考えていた、飯島さんが反撃を受けそうだったからそれに割って入ったんだ……その後は、見た通り。ただ、硬い相手だから特別に力を入れたわけじゃないってのは覚えてる」
「硬い相手だから、力を入れたわけじゃない……か」
飯島さんが構えを取る
「お前は……」
「急に何を?」
「お前は茹でたての芋だ!!」
ドゴォ!!と轟音が鳴り響き、稽古場にあった大石は轟音を立てて崩れ落ちる
「うん、何となくわかった!ありがとう」
「ど、どういたしまして……」
———————
それから数日、快復した俺は再び剣術の稽古に励んだ
しかし、俺はあの時の感覚が忘れられずにいた
自分以上のスピード、正確さ、そして堅牢な甲殻すらいとも容易く斬り裂く刃
「そこだ!!」
「う、うわっ!?」
俺の持っていた剣は、練習相手のリン軍曹の剣を打ち上げる
しかし、俺の狙いは剣そのものの破壊だったがやはり技術が追いついていないのかそれは叶わない
「ありがとうございました!!次、お願いします!!」
「全く、この間まで誰にも勝てなかったのに……若いって凄いなあ」
「いえ、まだまだです」
「でもさ、あれ狙ってただろ?斬鉄ってやつ」
「はい……正直に言えば。あれが出来れば堅牢な防御力わ持つモンスター相手でも……」
「斬鉄が出来るのは騎士レベルの人間だけだぜ、多分どんなにお前が腕を磨いてもゾーンって奴に頼らなけりゃ無理だろうな。俺も習得できるもんならしてみたいよ」
————————
「てぇあ!!」
無理な力を入れず、斬り裂こうという意思で大岩に剣を振るう
しかし、大岩には剣は入らず弾かれ吹き飛ばされる
「っっぶな!!」
危うく自分が自分の剣で斬られるところだったが、それを見たラングレイさんが笑う
「やってるね、斬鉄の練習かな?」
「はい……どうしてもモノにしたくて」
「斬鉄は俺も出来るけど、君にはまだまだ早いよ。相手の動きを見切ったり、急所を狙うというスキルはモノに出来てきたみたいだけど……その前にだ」
「その前に?」
「君に必殺技って奴を伝授しよう、戦いにおいて切り札ってのは必要だろう?」
「必殺技……!!」
「必殺技って聞くと、誰もかれもが瞳を輝かせるんだなあ」
———————
「斬鉄ってのにも種類があって、重戦士などが武器の性能と筋力に任せたパワー系。これはまず幸平、君にはどんなに時間をかけても習得は不可能だろう」
「ああ、そっちには期待してないです」
俺の身体はどちらかというと細いし、背もそんなに高くない。
スポーツも嫌いじゃないし、テニスをやってるけどレギュラー張ってる人達に比べたら能力は大きく水を開けられている
弾を分裂させたり、ネットを燃やしたり、ブラックホールを発生させたり、隕石を落として恐竜を絶滅させたりは出来ないし……
「次が剣気によるもの、例えば……そこの石を俺の剣の刀身に投げてごらん」
ラングレイが剣を抜いて、刀身を目の前に突き出す
「この、小石ですか?」
「うん」
言われた通りに、小石を刀身に投げつけると空間がピリッと張り詰めたような感覚を覚えた
ラングレイの眼の色が変わったかのように見えた、俺に向けられた剣ではないと頭では分かっていても俺自身が斬られるのではないかと錯覚するほどだ
投げつけた小石は一切動かしていない刀身によって割られ、地面に落ちる
「一体何が起こったんですか……?刀身を動かしていないはずなのに」
「これが剣気、剣そのものに力を宿らせるスキル。やろうと思えば幸平のノーマルソードでも可能だけど……幸平のノーマルソードは限界みたいだね」
「限界?」
「安物の剣とはいえ、無茶をさせすぎたな。よく見たら刃先はもうボロボロ」
そう言えば自分が強くなる事を考えるばかりで、剣のメンテなんて殆どやっていなかった
安物の剣だったみたいだけど、相棒なのに悪い事をしたな
「……気付かなかった」
「刀葬をしよう、城下町の鍛冶屋ならやってくれるはずだ」
———————
「刀葬か、随分と早いな」
城下町の鍛冶屋のマスター、オルバック・ダイナーは国一番の刀鍛冶を自称している
現代ではすっかり減った純血のドワーフ族の生き残りであり、彼はドワーフ族の誇りを持っているらしい
モジャモジャの長いヒゲ、低身長ながらも筋骨隆々なボディとファンタジー小説などに出てくるドワーフそのものだが
この世界におけるドワーフも、手先が器用で身長が低く、ヒゲがモジャモジャという容姿らしく彼もドワーフ族の象徴であるためにそういう格好をしているらしい
「オルバックさん、いる?」
「何じゃ、筆頭騎士ではないか」
「筆頭騎士は聖騎士エルヴィン様であって俺は二番手だよ」
「聖騎士エルヴィンはこの国におらん事が殆ど、実質の一番はお前さんじゃい……ん?なんだそのひよっこは」
「こんにちは」
「黒い髪……お前さんが異世界からやってきたとかいう男か」
「はい、そうです」
「レベル10ってところじゃな、なるほど……ノーマルソード卒業のシーズンか」
———————
初めて扱う剣といえば、練習用の木刀だが初めて実戦で使う剣がノーマルソード
バランスが取れているがこれといった特徴もなく、威力が低いため剣士はこれを始点として誰もがノーマルソードを離れていく
「剣を振るいはじめて、1ヶ月と少しでこれか……激動の人生だったのうお主……いや、剣生か」
オルバックさんは俺が使ってきた剣に優しく語りかける
死んだお爺ちゃんの葬式を思い出す、昭和という時代を駆け抜けて生きた爺ちゃんに想いを馳せて慰めるように……讃えるように
「ラングレイさん、俺……この間の練習試合でリン軍曹の剣で斬鉄を狙いました」
「相手の剣を斬る……達人クラスの人間にならないとそりゃあ無理だよ。牙断ちといってね、人間相手ではかなり有効な攻撃方法だ」
「剣って、命を賭ける大切な相棒なのにリン軍曹の剣に対するリスペクトを忘れていました。結果は勿論失敗でしたけど」
「試合では相手に対するリスペクトを失するのは善くない、けど忘れちゃいけないよ幸平……剣というのは命を護るための武術。対峙する相手は生命を賭けている……相手が使用する武器もね」
———————
俺と飯島さんは普段、メルドニア国王の計らいで城の地下にある兵舎の隣にある小部屋2つを使わせてもらっている
元々は城内でも持て余した部屋だったため(城内の空き部屋は20ほどある)有り難く使わせてもらっている
ただし、世のため国のために働く事を義務つけられていて修行後はしっかりと頑張ることにしている
普段、ノック音が鳴らない俺の部屋にノック音が鳴り響いた
「はい」
「俺だ、オルバック・ダイナーだ」
「オルバックさん?どうしたんですか?」
「ほらよ、お前のための新しい武器だ」
新しい、武器?
そういえばラングレイさんが自腹を切って注文してくれたんだった
オルバックさんが良質な金属で出来た鞘に仕込まれた剣を手渡してくれる
ノーマルソードに比べたらずっしりとした重さがある
「抜いてみろ」
言われるまま、抜刀すると銀色に輝く刀身が姿を現わす
「綺麗だ……」
「当たり前だ、俺が丹精込めて打ったんだからな」
感触はかなりしっくりとくる、流石に部屋なので振り回せないがきっと俺の力をこれまで以上に引き出してくれるだろう
「ディフェンダー、お前の命を護ってくれる剣だ。大事に扱えよ?高級品だからな」
———————
「ラングレイさん、こいつと俺に慣らし稽古をお願いします」
「オルバック謹製の武器、それが君の新たな相棒か」
「はい!!」
今日はラングレイさんが俺を含めた兵士たち全員の稽古をつけてくれる大事な日だ、今日は一気にレベルを上げておきたい
ディフェンダー、ノーマルソードの魂を継いだ新しい俺の相棒
ディフェンダーは俺の身体にしっかりとついてきてくれる、多少重いもののそれ以上に身体に馴染む
「いい武器だね、幸平!!君はもっともっと強くなる!!」
「どこかの天才には負けませんよ、俺にだって意地がある!!」
———————
レベルが上がっているのかどうか、イライザさんに見てもらうと怪訝な表情をしている
「レベル12ってところですねぇ〜雑兵卒業って感じですが……なかなかスキルを習得しませんねえ」
「スキルってそのくらいのレベルだと習得するものなんですか?」
「はい〜大体は」
「大体は……ですか」
「個人差はありますけどねぇ」
見たことがあるスキルといえば、ラングレイさんの瞬光斬
飯島さんの剛・波動掌、烈風脚、ハートブレイク(何故かこれだけ横文字だ)
それから、話に聞いた事のある牙断ちにラングレイさんが持っているスキルに守護防壁、天雷絶剣があったはずだ
「戦いの中で何か閃いたりしませんか?」
「閃き……か」
あれから剣気というものを発現するために修行をしているが、なかなか上手くいかない
なんとかして剣気を習得しなければ……
続く
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