第10話~楽しみ~
「あ、お~い!ゆずり!」
五紀の学校まで行くと、校門前で、みんな待っていた。私は基本的に校舎には入れないから、報告会は五紀の家でやることになった。
「みんな、お待たせ!」
「そんな待ってないから大丈夫だ、な?」
五紀の言葉に二人も頷いてくれた。
「さ、行こうか!」
「ゆずりちゃん、荷物持つよ…ってパソコンは?」
陽太くんは私に手を差し出して、少しびっくりした。
「あ、えっと、五紀の家に預けてあるの。スマホに、パソコンと同期するアプリ入れてるし、五紀の家近いから…。」
「そーなのね!」
納得、と言わんばかりに陽太くんは手を叩いた。
「じゃあ、カバンだけでも…。」
「だ、大丈夫だよ。自分で持てるよ。」
「え~、持ちたかったな~。」
「こら、陽太。困らせんな。」
新くんはそう言って、陽太くんを私から引き離した。それから、五紀が間に入る。
「ったく、陽太も少しは考えろよ…。」
「ふふ、でも、楽しいよ?」
「そうか?」
「うん!」
三人の賑やかな空気が私は嫌いじゃないと思っていた。男子は苦手だけど、五紀が楽しそうだからかな?
五紀の家に着いて、早速私はスマホとパソコンの両方に書いた分の脚本を見せた。三人はそれぞれ黙って読んでいた。その間、私は三人からもらったお菓子をちょっとずつ食べる。三人とも『ただじゃ悪いから!』と言って、最初はお金を渡すと言うのでそれは断って、代わりにお菓子がいいと私が言ったら納得してくれた。私の前にはお菓子の山が出来てるけど…。
少しして、五紀が顔を上げた。読めたのかな?
「ゆずり、ここ変えられるか?」
「ん?どこ?」
「この場面なんだけどさ…」
五紀が言うと、二人も頷く。どんな感じにしたいか聞いて、それを書き出していく。
「こんな感じ?」
「そうだね。俺は良いと思う。」
「俺も~。」
「さすがゆずりだな。」
三人にそう言われて、ちょっと照れる…。
「他に変えたいところある?」
そう聞くと三人は首を振った。
「じゃあ、また一週間くらいで見てもらってもいい?」
「もっちろん!何なら毎日だっていいよ~?」
「陽太、変なこと言うな。」
陽太くんは新くんに頭を小突かれる。五紀も少し呆れてるみたい。
「じゃあ、今日は解散だな。」
「あ、そうだ五紀。楓くんとその彼女の咲楽って子が悩んでたり何か困ったら相談してって。手伝うからって。」
「おお、そうか。ありがたい。じゃあ、なんかあったら声かけるわ。」
「うん!」
「こりゃ、にぎやかになりそうだな。」
陽太くんがそう言って、楽しそうにしてた。新くんも頷いてるし。なんか、良いな、この感じ。私も楽しくなってきた!
そんな私を五紀が嬉しそうに見ていた。
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