第3話 楽しいダブルデート

~ゆずりの思い~

 ダブルデート当日、私はとびっきりお洒落をして来た。すごいよ!いつもはしないカールを掛けたポニーテール、ピンクのポンチョにグレーのミニスカートと黒のタイツ。さらに、ポンチョに合わせたヒール高めのブーツ!結構背伸びしたんだ!じゃないと、五紀の彼女って胸張れないし。

 なのに、五紀はちゃんと見てくれないし、もしかして変かな?うう~、こんなんなら誰かに相談すればよかった…。

「あ、ゆずー!おっはよー!」

 考え事をしてるとはなびとその彼氏さんが来た。

「はなびおはよう。…えっと、彼氏さんだよね、おはよう。」

「おはよう、はなびから話は聞いてるよ。よろしく。」

「よ、よろしく…。」

 うう、やっぱ、男の人苦手…。どう接していけばいいか分からないよ~。

「あ、ども!ゆずりの彼氏の春野五紀です!」

「え?あ、ども、はなびの彼女の山瀬柳です。」

 五紀は男の人苦手って知ってるからすぐ代わってくれた。こういう時五紀は頼りになるな…。

「そだ、ちょっと男同士で話さねえ?」

 え?うそでしょ?一応ダブルデートだよね?なのに彼氏といられなくなっちゃうの?五紀も困ってるし…。

「うーん、まあいいか。その代わり遊園地まででもいい?」

「お、いいね。それくらいでいいぜ!」

 男同士でそんな話が決まると五紀はすぐこっちを見た。『ごめん』って言われてると思ったから『大丈夫だよ』の意味を込めて笑った。五紀も笑って柳君のほうを向いた。

 さすが男子同士、すぐ意気投合して二人で盛り上がっちゃうから、こっちはひやひやした…。でも、ちゃんと遊園地に着いたらそれぞれで分かれたよ。

「あ、そうだ。俺たち二人に聞きたいことがあったんだ。」

 お昼ご飯を食べてると柳君がそう切り出してきた。なんだろう?

「なんだよ、急に。」

「その、二人の指にはまってる指輪何?」

「はっ…!?こ、これは…。」

 ど、どうしよう…。気付かれた…。そう思って五紀を見ると五紀も困ってるようだった。

「なあなあ、なんだよそれ?」

「…なんでもいいだろ?」

「はあ?すげー気になるんだよ、教えろよ!」

「…。」

 きゅ、急に空気が変わった気がする…。どうしよう…。

「ね、ねえ、ここからさ、それぞれに分かれて行動しようよ!」

 すごい困って苦し紛れにそう言うと五紀も乗ってくれた。

「いいなそれ!せっかくの遊園地だし、普通のデートしたいよな!」

「ね、そうしようよ!」

 そう言っていると二人も納得してくれた。


「はあ、焦った…。」

 二人っきりになった途端五紀がそう言った。

「私も…。まさか聞かれるなんて思わなかった…。」

「だよな。ってかごめんな、いやな思いさせて。」

「ううん、全然大丈夫。」

「いやいや、ほんと悪かったって。」

 そう言って頭まで下げられてびっくりする。五紀のせいなんかじゃないのに…。

「あ、そうだ!なら、今日は一日私から離れないって約束して!」

「え?」

「そんなに謝るなら、それくらい約束してよ…。」

 そう、高校が離れたおかげでこっちはすごく寂しい思いをしてて、仕方ないと思ってはいるけど、やっぱり不安は消えないから…。

「…それくらい約束する必要ないだろ?」

 そう言って五紀は恋人つなぎしてくれた。嬉しいな。

「さ、行こうぜ!」

「うん!」

「あ、そうだ、ゆずり。」

 そう言って、五紀は私を見た。

「今日の恰好、可愛いな、似合ってるぞ…。」

「ほ、ほんと!?」

 一番言ってほしい言葉ですごく嬉しい。

「あ、ああ。その、言うの遅くなって悪かったな。」

「ううん、すごく嬉しい!!」

「…そっか。さ、早く行こうぜ!!」

 それからいろんな所を二人で回った。


~はなびの思い~

 そんなわけでダブルデート当日!やばい、すごい緊張してる…。自分が誘ったくせに~!!

 えっと、服装は髪はゆるふわカール!白のふわふわニットに赤いスカート。後はちょっと背伸びして高めのヒールがある赤い靴!結構頑張ったんだけどゆずり可愛いからなあ。

 柳、可愛いって言ってくれるかな?

 柳と待ち合わせしてる駅に行くとすぐ柳を見つけた。

「おはよう、はなび!」

「おはよ~、柳!」

「…」

 な、なんだろう、なんかすごい見られてるような…?

「えっと、なんか変、かな?」

「え、あ、ご、ごめん。変じゃなくて、可愛くて…。」

 良かった~、めっちゃ不安だった…。ってか柳もめっちゃかっこいいんですけど~!

「ほ、ほんと!?良かった。柳もめっちゃかっこいいよ!!」

「ま、マジ!?良かった、センスないからどうしようかと…。」

 いや、柳がセンスなかったら私のセンスゴミ認定されちゃうよ…。

「そんなことないよ、大丈夫だよ!あ、電車そろそろ来るよ。」

「お、じゃあ、行くか。」

「うん!!」

 ああ、ダブルデート楽しみ!!


 待ち合わせ場所にはすでにゆずたちがいた。

「ゆずー、おっはよー!」

「はなびおはよう、…えっと、彼氏さんだよね、おはよう。」

「おはよう。」

「どうも、ゆずりの彼氏の五紀です。」

「あ、どうも、はなびの彼氏の柳です。」

 その後男子同士で意気投合しちゃったからこっちは女同士で話した。

「ねえ、早く遊ぼうよ!!」

「はなび、はしゃぎすぎだよ~。まだ着いてないよ~。」

「だって、遊園地だよ!はしゃぐに決まってるよ!!」

「はいはい、じゃあ、初めにどこ行きたいか決めといてね。」

「はーい!!」

 遊園地なんて久し振りだし、ちょ~楽しみ!!


 そして事件は起きた。それはお昼を食べてるときに言った柳の一言。

「あ、そうだ。俺たち二人に聞きたいことがあったんだ。」

 あ、やっと聞くんだ。どんな反応するのかな?

「なんだよ、急に。」

「その、二人の指にはまってる指輪何?」

「はっ…!?こ、これは…。」

 あ、慌ててる。ふふ、なんか面白いな…。あ、ゆずも慌ててる。いつも私が慌てさせられてるからなんか新鮮だな。

「なあなあ、なんだよそれ?」

「…なんでもいいだろ?」

「はあ?すげー気になるんだよ、教えろよ!」

「…。」

 あ、あれ?なんか空気代わった?えっと、これほっといたら喧嘩になるんじゃ…。

「ね、ねえ、ここからさ、それぞれに分かれて行動しようよ!」

 あ、ゆず…。さすが、空気読んで話題を変えた!

「いいなそれ!せっかくの遊園地だし、普通のデートしたいよな!」

「ね、そうしようよ!」

 五紀もうまく話しに乗ってるし、これは私たちも納得しなきゃね!

 二人と別れてから二人で色んな所を回った。

「はなび、ごめんな…。」

 しばらくして柳がいきなりそう言った。

「え?なんで?」

「いや、ダブルデート楽しみにしてたのに、結局二人になっちゃったし…。」

「えー、別にいいよ。」

「最初から二人がよかった…。」

 ボソッとそう言われてすごい嬉しかった。

「私も、そっちがいいな。」

「それじゃ、行こうか!!」

「うん!」

 まあ、まだお互い初めましてだし、これから仲良くなるといいな…。

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