第5話 アダムとエヴァの実
パパ、ねぇ、パパ!
もう庭のブルーベリーがなくなりそうなの。
鳥に食べられてしまわないかしら、そうならないように網をかぶせていたでしょ。
大事に育てていたでしょ。
Lotus ー 実を食べると夢見心地になる。
1粒口に入れる。甘酸っぱいわ。気持ちいい。
いいえ、もう1粒・・・魔法にかけられるのかしら。
まだ、まだ。
じゃあ、もっと、もっと食べたいわ。
・・・・・・・
ブラインドの間から街を見ると雨で赤やオレンジ、青の明かりがぼんやりして見える。紙に滲んだインクのように。
N.Y.をおもちゃ箱という人がいるが、ここは何だろう?
眠ってる「パパ」を起こすと「もう少し」と目をこする。
「遅くならない方がいいでしょ。」
「普通は、もう少し居て欲しい・・・なんて言うんじゃないか?」
彼は服を身に着けながら苦笑する。
そんなはずないじゃないの。
それに、帰りたくもないって思ってるくせに。
どうして男って、弱い自分を見せずに、女に「ふる」のよ。
「帰らないでって、引き止められるよりはいいかな。そんな所が君のいい所だ。」
何言ってるのよ。居たいのは自分でしょう?
それに、「君のいい所」じゃなくて、「そんな君が好きだ」って言ってくれたらいいじゃないの。
「ずっとココに居て、って泣きつきましょうか?」
「はは。そんなこと言うはずないって知ってるさ。」
そうね・・・そんなこと、言わない・・・わよ。
私が俯くと「パパ」は顎に手をやり、キスをする。
彼は手を通したシャツを、また脱ぎながら私の耳をかんできた。
ダメよ・・・ピアスが痛い。
嫌だわ、なんとなく、男に誤魔化されえるみたいなくせに、私ったら。
指で優しく繁みを愛撫されると私は声を漏らし、「パパ」の愛撫が乳首を摘まむように変わると痛くて目を閉じて無抵抗になった。痛いのが・・・何故かパーツの刺激なのか脳で感じる快感かわからなくなっていた。
濡れてる私の中に彼のペニスが入ったまま太ももを軽くスパンキングされると、体が熱くなり快感がたかまるよう。
「や、やめ・・・て。」
私は何も考えられなくなった頭の中に先週訪れた「パパ」の家のことがふと浮かんだ。
「パパ。」
ねぇ、「パパ?」・・・本当は、まだ秘密にしておくんだけど。
私ね、貴方の息子の家庭教師を始めたのよ。
可愛いわね、息子さん。頑張ってるわよ。
ねぇ、大丈夫よ、私。
”何もしないから”
私、ユラユラ ユラユラ浮かぶ蓮の花みたいじゃなくて?
何色のlotusかしら。白、紅紫?
ほら、金魚がね、下から私を - lotus蓮の花をつつくのよ。
そんなに来ないでくれるかしら?
あっちに行って!
Leave me alone... I am alone... alone...
・・・・・・・
Lotus・・・またブルーベリーを口に入れたわ。
ほうら、夢見心地よ。
何故、その実を食べたのかって?
あら、だって、葉っぱの上の蛙さんが「美味しい」って言うからよ。
それだけはいけなかったって?
あら、パパだって食べるわ。
ふふふ。アダムとエヴァみたいね。
食べてはいけないと言われると余計に誘惑に負けてしまうし、誰かのせいにしてしまうのよ。
私は水の上のlotusよ。ブルーベリーを口にした悪い子なの。
ユラユラしてるでしょ? 気持ちよさそうに・・・そう、これが「Lotus」なの。
甘酸っぱくて、とても気持ちがいいの。
だからね、私。大丈夫なのよ。
貴方の・・・家でね・・・”何もしないから”
心配しないでよ、少しね、揺れてるだけなのよ。
(続く)
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