第2話 「パパ」の体からのムスクの香り
うふふ・・・。
やだ、もう、愛人ったら。
パパみたいに大人しくしていられないのね。
私が悪戯し始めると
「ちょっと・・・こんな所で。」
小さな声で言うの。
私は彼女のドレスのスリットの間に手をのばして入れ、愛人のガーターベルトのサスペンダーを外そうとしたのね。
ちょうどメインが運ばれた所だったんだけど、手をモゾモゾさせてやったのよ。
もう、こうしてストッキングの方を引っ張って脱がせちゃえ。
「や、やめなさい・・・よ。」
って言うけれど、本当に困ってるのならパパに言えばいいじゃないの。
ねぇ、ココ。貴女がパパにしたように触ってあげるから。
「ん・・・ばか。やめなさい・・・。」
いつも上手に料理を赤い口に運ぶ愛人場、グロスのついたフォークをカチャって皿にあてて床に落としちゃった。
私たちのテーブルの担当者が空気のように現れて何事もなかったように新しいフォークを置いて落ちた方を持って行く。
パパが
「ありがとう。」
って言うと、愛人はパパにウインクし、彼女は私には眉を上げて睨んだのよ。
・・・・・・・
頬杖ついて外を見てると、お揃いのジャケットを着て歩く男女の集団がある。
体育会系の学生達には歩く時までヒエラルギーがあるようだ。
同じ位の背の高さの女子学生3人が大きな口で笑ってる。
怠そうに背中を丸めて歩く眼鏡の男子。図書館に行くつもりかしら。
ボーッとしてる私を後ろの友人がペンでつついて教えてくれる。集中してないから、どうも先生が私のことを気にしてるようだ。
私は後ろの友人に手を少し上げて礼を伝え、それでも体は黒板に向けて授業を聞くふりをしながら、時々、「パパ」と初めて会った場所をも見つめていた。
「パパ」は女子にうけるらしい。
彼の名前を知らなかったから今までは気がつかなかったけれど、話題に上がるの。
ある女子が言うの。どこかの科の女子が狙っているとか、帰りに一緒だったのを見たんですって。
馬鹿みたいだわ。自分から「皆には内緒よ」なんて言いながら、口の軽い友人達に噂させてしまうような女を「パパ」が相手にはしない。
私が学内の彼の部屋に入って、その話をすると、
「面白そうだな。」
って苦笑した。
「もしかして、妬いてる?」
彼は唇を重ねてくる。
「ま、待って。次の授業に遅れ・・・。」
「まだ、20分ある。」
男は私を机の上に倒し、スカートをたくし上げてショーツをゆっくりとおろした。
「あっ、ダ、ダメなの・・・に。」
彼は自分の服を脱ぎながら
「そのままで」
私は両膝を立てたまま目を閉じた。
彼が足首とふくらはぎをさすった時、私の体がビクッとなり、背中が少し浮いた。
「何もしてないのに、濡れてるよ。」
「してるじゃない・・・。」
彼は舌で太ももを舐め上げ、私の繁みをかき分けると、恥ずかしい恰好をしてる自分の中の温かいモノを感じた。
指でクリトリスと刺激されると、どんどん蜜が溢れ我慢できない。
「ねぇ。お願い!」
「何が、お願い? やめる方、それとも・・・。」
「つ、続けて!」
たぶん、私の顔の紅潮を確かめ、彼の舌が私のクリトリスを優しく舐め、器用に指先で濡れてる中に2本の指を入れて動かす。
私は自分から秘所が見えるように右の太ももに手をやりると、舌で秘所を上下に愛撫されると私の息は荒くなった。
「も、もう、私・・・あっ・」
彼は私の膝を広げ、私の中に入ってきた。
ビリヤード台の上でつくように、私の体をグッと寄せると更に奥まで感じる。
「はぁ・・・も、もっと。」
「欲しい?」
「え、ええ。あ、ああぁ・・・。」
私は、いつもより声が出そうで、彼が私の口に手をあてた。
ドアや窓の外には学生達がいるんだから。
「あっ。う・・・ん。」
激しく体ごと動いたり小刻みに動かれると、声だって出そうで出ないわ。
彼も額にうっすらと汗をかいている。
何処にいるのかもわからなくなるほど、頭が真っ白になりエクスタシーを感じた。
「ああぁ。」
「・・・ん?」
「こんなの・・・初めてよ。」
彼は私のブラウスに手をかけて脱がせようとしたが
「残念ながら、タイム・・・アウトだ。」
彼は私の髪をなで、耳に軽くキスして、背中に手をやり起こしてくれた。
ミネラルウォーターを2人で飲み、私は水で髪を少し濡らして整えた。
「パパ」のオーデコロンのムスクの香りが残っていないか気になったけれど、大丈夫だったみたい。
午後の授業にもなんとか間に合ったわ。
・・・・・・・
「インセストタブー」と文化人類学の先生は授業の間に何度か叫ぶように言う。
叫ぶように聞こえただけかもしれない。
発展途上国や日本の初期の頃の性や結婚制度について研究してるよう。
ある途上国の土地では、かなり遡っても血縁関係者同士の結婚は出来ないらしい。
日本では、いとこ同士でも可能なのに、とんでもない話なわけね。
楽勝科目と言われてるから、出席率も悪いけれど、私はこの授業が好きよ。
高い教科書を買ったけれど、先生の話しだけで楽しめるわね。いえ、勉強できるわね。
後ろで男子が家庭教師センターの登録の話をしている。
だんだん盛り上がってくると、別の誰かが「うるさい」と、「なんだよ、お前。」ともめて掴み合う。
先生が注意して退室するよう言うと、「うるさい」と言った男子は出入り口で
「うるさいから注意してやったんだよ、このタコ禿。」
と大声で言って出て行った。
センターの話をしていた男子達は、ガサガサと荷物を音を立てて退室していく。
・・・・・・・
どうして男子達はパパみたいじゃないのかしら。パパは礼儀があって、夏でも三つ揃えを着て、帰宅すると私にさえ「失礼」と言って上着を脱いでいたわ。
私はそんな時、愛人とするように・・・キスされるのを待っていたのよ。
でも、あのヒトはすぐに来てパパの首に手をまわすの。
どうせ、2人でいやらしいことするつもりなんでしょ。
ほらぁ、やっぱり、予想が当たっちゃって、私はクスクス笑ってしまった。
いけない!
口に手を当てないと、2人に見つかってしまうわね。
(続く)
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