第6話 数記の考察

あれから五時間ほど経った。

「カズキ・・・」

数記はずっと眼を閉じたままだ。

しかし、心臓は止まっていないのでまだ生きてはいるみたいだ。

「復活は厳しそうだな」

「ですね」

そんなことを口走った時、数記の眼が開いた。

「あれ、俺、切腹されたんじゃ」

「カズキ、よかった」

シャーロットは泣きじゃくっていた。

泣きっぽい女の子も数記は嫌いじゃないので、そこまで心配してくれて嬉しかった。

「俺の傷は?」

「傷薬で回復しときましたよ」

「そっか。って朝じゃねぇか」

所々で、小鳥が囀っている。

「あ、あさちゅんってやつじゃないですからね。誤解しないで下さい」

「わかってるって。てか、こんな知識どこで手に入れたんだ?」

「アキバハラ」

やはり、あの街はすべての情報の発信地だった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「この世界には、俺達の世界の人たちが多いのか?」

「まあそうですね。2割は、ニッ・ポンって国の住人だと聞いてますけど」

そこから想像はついた。恐らく、地球人がこの世界の創造主だと思われる。

現段階最高Lv都市に最も近い街長の都市は、元々、アキバハラみたいな町並みだったらしい。

しかも現代の1年前(2015年くらい)の町並みだったと資料に書き記されていたので、定期的に日本からこの世界にダイブしてくる人間がいることがわかる。

しかし、NYやParisなどの世界の主要都市がなく、Lv30以上の先進都市エリアにのみあるVRダイブカフェ(Lv15〜25まではネカフェ26〜29は混合型でなおかつVR機器数が少ない)でのみそれらの世界に行けるが、タイムズスクエアしか無かったり、ベンブリッジ時計塔しか無かったりとすごく欠陥的とシャーロットが言っていた。

この世界での、標準時はなぜか、各都市共通で、なおかつ、使う言語もほぼ日本語に近いので、この世界の創造主のことがますます気になってしまう。

「でも、なんでシャロは外人っぽい名前なの?」

「たしか、ここ異世界だーってアピールしたかったからじゃないかな」

お前の親はこんな脳無しではないと、数記は信じたい。

「だって、ツアーガイド的な人だもんなおまえ」

「いやぁ」

数記は褒めてないけどシャーロットはなんか照れた。

テンプレ展開ってやつだよな・・・

「あ、もうそろそろ昨日の敵将が交渉に来る時間帯だ」

「ふ〜ん。って、昔の戦国時代そんなのなかったぞおい!」

「細かいことは気にしな〜い、はい、帽子」

と言いながら、シャーロットは僕の頭に海軍帽らしきものをかぶらせてくれた。

「おお、かっこいー!」

「そ、そうか。似合ってるか」

「はい!カンペキです!!」

やはり、いつものこの笑顔を見ると一目惚れしそうな節が多々あり、シャーロットの笑顔はいつも数記を悩殺してくる悩殺スマイルとなっていた。

「で、交渉場所は何処なんだ?」

「この家の客間です」

「なら、このすぐ隣の部屋か」

「おお、カズキもあたしの家に慣れてきたようだな」

「テンションいつもと違うけどなんかあったか?」

「いいえ、何も。ただ、植物人間になるって思ってたけど、意識が戻ってくれて、とても嬉しくてそれで」

「一つ訊いていいか?」

「はい?」

「どうして俺に親身になれるんだ?」

Tobecontinued...

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